何だか怪しい???ペーパーカンパニーについて解説
「ペーパーカンパニー」とは、その名前の通り紙面上だけに存在する会社を設立することです。
一見すると怪しい・違法というイメージを持たれがちなペーパーカンパニーですが、その仕組みを理解し上手く活用することで、節税効果を期待できます。
しかし、ペーパーカンパニーを活用した節税はグレーな部分も多く、軽い気持ちでペーパーカンパニーを設立することは避けなくてはいけません。
そこで今回は、ペーパーカンパニーを設立することのメリット・デメリットと共に、ペーパーカンパニーの設立に際して違法行為と見なされないためのポイントを解説します。
ペーパーカンパニーとは?
ペーパーカンパニーとは「紙面上だけの会社」、つまり登記はされているものの経営実態がない会社を指します。
ペーパーカンパニーはあくまでも通称で、法的に明確に定義付けられているものではありません。
しかし「形だけはあるものの実際には会社として運営している様子がない」状態の会社を、ペーパーカンパニーと呼ぶケースが多いです。
ペーパーカンパニーを設立することにはさまざま目的がありますが、なかでも注意したいのが犯罪目的で設立されたペーパーカンパニーです。
また犯罪を企てるため、隠れ蓑としてペーパーカンパニーを立ち上げて活動するケースもあります。
もし新しい会社と取引する・プライベートで新しい会社のサービスを利用する際は、その会社がペーパーカンパニーでないかどうかちゃんとリサーチしましょう。
そして前提として知っておきたいのが「ペーパーカンパニーの設立」そのものが違法ではないことです。
しかし、犯罪目的で設立されるケースが多く、むやみにペーパーカンパニーを設立すると怪しく取られてしまう可能性があるため、慎重に動きましょう。
ペーパーカンパニーは節税になるの?
ペーパーカンパニー設立における目的の1つとして、節税対策が挙げられます。
なかでも多いのが法人税軽減を目的としたペーパーカンパニーの設立です。
税金は利益が多ければ多いほど課税されます。
そこで、ペーパーカンパニーを設立し利益を分散することで、法人税・事業税など利益により変動する税額を節約する効果を期待できます。
また、消費税軽減も可能です。
消費税の納税は、収益1千万円以上の企業では1年度中に「支払った額」「受け取った額」両方を申告し「支払った額」の方が多い場合は還付されます。
この仕組みを使い、ペーパーカンパニーに自社の商品を販売・受け渡しすることで「支払った消費税」の額を増やし節税効果を望めます。
ペーパーカンパニーを創るメリットデメリット
ペーパーカンパニーを設立することには、メリットとデメリット両方が存在します。
ここではペーパーカンパニーを創ることのメリットとデメリットについてご覧ください。
メリット
・利益を分散し法人税を節約できる
・自社商品を転売し消費税の納税額を減らせる
・交際費を経費計上できる
・売却損益を計上できる
法人税・消費税の節税のほか、交際費の経費計上や売却損益の計上ができるのも、ペーパーカンパニー設立によるメリットです。
損益(マイナス)を計上すれば、利益を減らすことができ課税額は減額されます。
この損益を出す方法の1つとして挙げられるのが、自社が持っている資産のなかで購入時より価値が下がったものを販売する方法です。
価値が暴落したものをペーパーカンパニーに売却することで損益計上します。
また、ペーパーカンパニー設立のメリットとして「タックスヘイブン(法人税が安い国に拠点を置き税額を減らすこと)」も挙げられます。
しかし、近年ではペーパーカンパニー設立によるタックスヘイブンでの節税を防ぐため「タックスヘイブン対策税制」が導入されました。
これにより、タックスヘイブン目的での会社設立だと見なされた場合、ペーパーカンパニーの利益もすべて親会社(国内企業)のものとして課税されます。
そのため、タックスヘイブンによる節税効果はあまり期待できなくなっているのが現状です。
デメリット
・法人住民税を別で支払う必要がある
・決算書を作成・確定申告する必要がある
・節税(脱税)だと見なされる可能性がある
経営実態がないとは言えど、会社を設立し登記するからにはペーパーカンパニーの場合も法人住民税の納付や確定申告が必要です。
つまり、経営者が新たにペーパーカンパニーを設立した場合、2社分の税務が必要となるため、業務が煩雑になってしまう可能性が挙げられます。
また、ペーパーカンパニーは活用方法によっては犯罪・脱税に利用できるため、厳しくチェックされるかもしれません。
特に近年ではペーパーカンパニー設立やタックスヘイブンによる節税・脱税は問題視され、取り締まりも厳しくなっています。
賢く節税したつもりでも、脱税と見なされ罰則を受けてしまえば会社の評価が下がることにも繋がりかねません。
ペーパーカンパニー設立による節税は非常にハイリスクだということがわかります。
ペーパーカンパニーで犯罪に巻き込まれないために
自分でペーパーカンパニーを設立する予定はなくても、犯罪目的で設立されたペーパーカンパニーには気をつけることが大切です。
ペーパーカンパニーを隠れ蓑にしている犯罪組織には、以下のようなものが挙げられます。
・詐欺やマルチ商法を目的としたペーパーカンパニー
・カルト宗教などが活動するためのペーパーカンパニー
このように、犯罪組織やカルト宗教団体が活動目的で会社を設立しているケースがあります。
初めて利用するサービス・会社についてはペーパーカンパニー、ひいては経営実態が怪しい会社でないかどうかチェックしましょう。
チェックする方法を3つご紹介します。
・HPに掲載されている連絡先や住所が正確ではない・不明瞭
・経営実態がなく活動している様子がない
・海外法人で登記情報がわかりづらい会社は要注意
このように「怪しい」と感じる企業については、悪質なペーパーカンパニーの可能性もあるため、注意が必要です。
特に初めて利用するネット通販サイトなど、オンライン上ですべてが完結するサービスは、詐欺の可能性も考え運営者情報を確認しておきましょう。
節税のためのペーパーカンパニーはハイリスク
結論として「ペーパーカンパニーの設立」そのものは違法ではありません。
過去は経営していたものの現在は活動していない、法に触れない業務に際して明確な役割がある場合は、法的にも問題がないと言えます。
しかし、節税目的のペーパーカンパニー設立には注意が必要です。
・ペーパーカンパニー設立は法人税・消費税の節税効果を期待できる
・節税目的の会社設立は問題視されており監査も厳しい
・脱税と見なされると会社の評価を落とすことにも繋がる
ペーパーカンパニーの設立は、確かに明確な節税効果を期待できますが、同時にハイリスクな方法でもあります。
そのため、ペーパーカンパニー設立による節税は避けるべきだと言えるでしょう。
会社経営はクリーンで、正しく継続していくことが何より収益を望めます。
法に則って運用・経営していくことで、より円滑な企業経営を目指しましょう。
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