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自分を幸せにするための、「生きた」お金の使い方|りょかちのお金のハナシ#23【最終回】

自分を幸せにするための、「生きた」お金の使い方|りょかちのお金のハナシ#23【最終回】

文筆家として活躍するりょかちさんが、“お金にまつわるエピソード”をお届けする本連載。およそ2年に渡り、お金についてあれこれ綴っていただきましたが、今回が最終回。最後にりょかちさんが届けるのは、人生をより豊かにするための「生きた」お金の使い方について。

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趣味で友人とポッドキャスト番組を運営しているのだが、この間「お金についての考え方を話してほしい」というリクエストがあって話したところ、おもしろい話になった。

友人が「『お金をどれだけ使わなかったか』も大事だけど、『どれだけお金をちゃんと使えたか』も大事にしている」と話してくれたのだ。

油断するとすぐに浪費してしまう私と反対で、油断するとすぐに節約してしまうという友人は、定期的に日常をより良くする投資ができているかを振り返っているというのである。

確かに、貯金大好きな国民性だからか、私たちは気がつけば「いくらお金を使わずに済んだか」ばかり考えている気がする。しかし実際、節約して使えるお金を増やすことは素晴らしいけれど、そのお金によってどれだけ自分が豊かに生きられているかどうか考える機会は不足しているように思える。

この話をして思い返したが、学生時代貧乏だった時の悩みごとは、「人生を変えるには最低10万くらい必要なのに、人生を変えるためのお金がない!」ということだった。

例えば、引っ越すにしても絶対にそれくらいはお金がいるし、海外旅行や大型家電の購入など、生活を大きく変えようとすると、十万単位でお金が必要になる。学生時代は、手元に数万円はあっても、日々のキャッシュフローを回すのに精一杯で10万円ですら、まるで貯まらなくて、代わり映えしない毎日を過ごすことが悩みだった。

オトナになって、家電購入や引っ越しなど、必要最低限のお金は用意できるようになった。だけど、そう特に悩むことなく、生活をアップデートできるようになった今は逆に、あんなに切実だった「この投資が生活をきちんとよくしたか」を、きちんと振り返れていない気がする。

時間とお金が人生をつくる。だからこそ考えたい「生きた」お金の使い方

私はお金に関しては浪費家だけど、時間に関してはかなりケチだ。だから、同じことを時間に関してはよく考える。

この時間は自分にとって意味があったか? 楽しかったか?

お金に絡んだ話であれば、支出だけではなく「収入」においても、きちんと楽しく意義ある稼ぎ方ができているか考える。

楽しく仕事ができているか? 自分の将来に役立つ時間として仕事の時間を使えているか?

お金をたくさんもらえても、楽しくなく将来的な価値に変えられない時間ばかり過ごしているのはもったいない。人生は一瞬の連なりであり、有限だ。

品川にある、素敵な茶室でお茶とお菓子を楽しめる「瀧爪」さんに行きました。
目の前にある「今」を全身で楽しめて良い時間を過ごせました

時間とお金と人生にまつわる名著といえば、ミヒャエル・エンデの『モモ』だろう。『モモ』の中には、時間とお金にまつわるたくさんの名言がある。

「時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです」


「たしかに時間貯蓄家たちは(中略)お金もよけいにかせぎましたし、つかうのもよけいです。けれども、ふきげんな、くたびれた、おこりっぽい顔をして、とげとげしい目つきでした」

「時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとに貧しくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとはしませんでした」

『モモ』(ミヒャエル・エンデ著)

お金は豊かな時間をつくるし、時間は豊かになるためのお金をつくるための資源。だから世にあるビジネス書の多くは、「時間」と「お金」をうまく使って良い人生をつくりましょう!という話に帰結する。

しかし、その時に気をつけたいのは、とにかく「お金」や「時間」をキチキチ使うことにばかり意識を向けて、少ない投資で何かを得ようとすることだ。

大事なのは、「お金」や「時間」をつかって、「こころ」が喜ぶ瞬間を作ることだ。

「タイパ」「コスパ」で大切なのは「パ」

最近は、日本が貧しくなりつつあるからか、テレビや雑誌や普段の会話でも「タイパ」「コスパ」という単語をよく使う。しかしその時に大切なのは、「パ」の方なのだ。どれだけ時間やお金を圧縮できたかではなく、それによって、どれだけ人生が豊かになったか(=パフォーマンス)。

せっかくお金や時間を使うなら、「生きた」使い方をしたい。生きたお金の使い道や生きた時間が、イキイキした毎日をつくるのではないかと思うから。

秋ってどんどん一瞬になってませんか。気持ちいい秋の夜風を浴びる機会を逃さぬようによく散歩しています

そういう意味で、この連載でもお金にまつわるさまざまなことを書いてきた。だけど結局、お金を考えることは暮らしを考えることであり、「どう生きるか」を考えることなのだと実感する。

もうすぐ年末がやってくる。年末になると、お金や時間の使い方を反省することも多いけれど、同時に「自分をハッピーにしたもの」は何か、そして「自分をハッピーにする」ためにお金を使えているかもしっかり振り返りたい。

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒業。学生時代より、ライターとして各種WEBメディアで執筆。「自撮ラー」を名乗り、話題に。現在では、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、企業のコピーライティング制作なども行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎)。朝日新聞、幻冬舎、宣伝会議(アドタイ)などで記事の連載も。

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