渋谷に大型サウナ施設「渋谷サウナス」が誕生!その全貌を“仕掛け人”とともにレポート
2022年12月23日(金)、渋谷に待望のサウナ施設がオープンしました。
『渋谷サウナス(SAUNAS)』と名付けられたその施設は、マンガ「サ道」の原作者・タナカカツキさんが総合プロデュースを手掛け、9つのサウナ室と4つの水風呂という、サウナビギナー&サウナ好きと、誰が来ても満足できる設備を揃えました。その全貌とともに、タナカ氏とともに、このプロジェクトを形にしてきた“仕掛け人”のインタビューをお届けします。
桜丘町の好立地に建設
渋谷サウナスの場所は、渋谷駅から徒歩約5分の好立地。渋谷区桜丘町の桜の名所・さくら坂に存在します。
地上3階建てとなっており、1階はワークスペースやヴィーガンフードレストランも展開。ミシュラン2つ星レストラン『精進料理 醍醐』四代目の野村祐介氏監修による“サウナでととのった後でも体の健やかさを妨げないカジュアルフード”をコンセプトに、カレーやラーメン、ドーナツ、クラフトオロポといった、気軽に楽しめるメニューが用意されています。
また、入り口を入ってすぐのフロアマップの横にある写真。一見するとポスターかな?と見間違えそうですが……
寄って見ると実は液晶画面。一定の時間が経つと表示が変わるようになっています。もう1階の時点で、施設のポテンシャルがうかがえる……。
「Amazonの電子書籍端末で使われているような、非発光の目に優しい液晶を使用しています。細かいところまでこだわりましたよ」
そう声をかけてくれたのが、冒頭で記した渋谷SAUNAS“仕掛け人”のTOYOKE古屋 蔵人さんと、株式会社イースト代表取締役の長島 秀晃さんです。どういった経緯でこの施設をつくろうと思ったのでしょうか。
古屋さん「僕は元々広告の会社をやっていたんですが、2年前にコロナでロックダウンがあったじゃないですか。そのとき結構な打撃があって、『これはちょっと合間を埋めないと』と、昔からやりたかったサウナに目をつけた感じですね。精進料理をプロデュースしてもらっている野村とは幼馴染で、彼とあと何人か加わってスモールチームではじめたんですけど、システムを作れる人が必要となったとき、長島さんを紹介してもらって」
長島さん「これまでは、商業施設などの業務スキームに関する構築が主だったのですが、サウナに関するご依頼ははじめてでした。これまでは、たまにサウナに行くくらいだったんですが、古屋さんから手ほどきを受けまして、今ではすっかりサウナ好きになっています(笑)」
「世界中のサウナを回ってきたことや、長島さんたちと出会えたことで『いいものを作れる』という自信も生まれました」と、渋谷という一等地で勝負することを決めた古屋さん。総合プロデューサーのタナカカツキさんとも旧知の仲だったと話します。
古屋さん「大学生ぐらいの時から、もう20年ぐらいお付き合いがある大先輩で。その関係からダメ元で『サウナを作りたいんですけど、一緒にやってくれませんか……』と聞いたら、『ぜひぜひ!』と」
2階から“サウナー”の心を掴む仕掛けが
ここからは、古屋さんたちとともに、館内の解説に戻ります。2階からは、お待ちかねのサウナエリア。東側ゾーン「LAMPI(ランピ)」と西側ゾーン「WOODS(ウーズ)」でエリア分けされており、男女日替わりで使用ゾーンが変わります。
「MUSTA(ムスタ=黒)」では、格子窓が特徴的な和の意匠を取り入れており、照度を抑えて落ち着いた空間でセルフロウリュが楽しめます。移動する途中、「ここは見てほしい」と古屋さんが石造りのシッティングスペースに腰掛けました。
「ここは“ととのう”ために作ったんですが、体重が分散されるように角度を研究していて、背中と腰も楽ちんなんです。石でできていますが、硬さも感じないようなものを使っていて」
浅めに作られた水風呂「MATARA(マタラ=浅い)」は、従来の水風呂とは違い寝そべるような仕組みに。頭を置く部分にも水が流れ、後頭部も冷やすことができるように設計されている。
2階にはほかにも、コンパクトな室内をヴィヒタで覆い尽くした白樺香る空間「VIHTA(ヴィヒタ)」や、ベッドのように3人まで寝転ぶことができるオートロウリュ付きのサウナ「BED(ベッド)」がつくられています。ここだけでも相当長い時間楽しめそう……!
外気浴スペースもバッチリ確保
そして3階へ。「KERO(ケロ)」は、樹齢数百年のフィンランドパインが立ち枯れてできた希少性の高い「ケロ材」を使用したサウナ室。「ウィスキングマイスター」によるウィスキングの施術を受けることも可能です。
古屋「ウィスキングとは、シラカバなどの枝葉を束ねた『ウィスク』を用いて行うリラクゼーショントリートメントのことです。まるで森林浴をしているかのような気分を味わえます」
2階のVIHTA同様、シラカバの香りがムンムンと部屋の前から漂ってくるのが印象的です。そして「TUULI(トゥーリ=風)」なる一室は、ここサウナスで最大級の大きさ。
古屋さん「床から天井までを木材で埋め尽くした空間で、天井が高く、20人程度を収容可能。なにより、この開放感がいいですよね」
「SOUND(サウンド)」は、「サ道」劇伴を担当した音楽家・とくさしけんごさんとWHITELIGHTが共同開発したサウンドシステムを搭載し、ロウリュの熱と音の広がりを考慮して設計された音を愉しむためのサウナ。「サウナの熱に耐えられるスピーカーを特注したんです。スピーカー4台とウーハー2台が内蔵してあります」(古屋さん)
「TEATA(テータ=茶)」は、胡座になってサウナストーブを囲み、小窓からの景色を愉しめる茶室をイメージしたサウナ。クロモジ茶のアロマを使用しており、これがまたずっと座っていたくなる良い香りです。
途中、なにやら桶のようなものが。これは……?
古屋さん「『ガッシングシャワー』と言うんですが、高い位置に取り付けられたバケツに水を溜め、紐を引っ張ると水がバシャーと落ちてくるんです」
この位置、当初は一般的な「シャワー」の予定でしたが、そうすると建物の規約的に屋根をつけなければならず、開放感も失われるという悩みが。そこで思いついたのがこのガッシングシャワーでした。
3階の外気浴スペースでは、フィンランドの森を連想させるミスト噴霧により、よりととのい度も深まること必至。都市型サウナでは外気浴スペースを確保するのが難点ですが、その点もサウナスは問題なしです。
外にはこだわりの水風呂「SYVÄ(シヴァ=深い)」も存在。水深は関東最大級の160センチと、小柄な人なら頭まですっぽり潜ることができる造りになっている。
渋谷で愛されるサウナ施設に
細かいところを挙げればキリがないこの施設。古屋さんたちがどれだけ熱意を注ぎ込んだか、少しは感じ取れましたでしょうか。
古屋さん「もちろん収益のことは考えましたけど、基本的には『ただただサウナが好き』ということで動き出した計画でした。そんな僕が行きたくなる、行って楽しくなるものができたと、いま自信を持って言えますね。いちおう、暫定施設という形にはしていますが、できるだけ長く渋谷に根付いていけばいいなと思います」
長島さん「古屋さんが『スモールチームでスタートさせた』と言ってましたけど、各々が経験を生かして得意なところで貢献してきたからこそ、このサウナができたと思っています。ノウハウを生かして、他県でもできれば良いですね」
「全てのサウナファンが求める細部にまでこだわったサウナ」を目指した渋谷サウナス。8種類9つのサウナ室と、2種類4つの水風呂に外気浴スペース……予想を超える体験ができる施設に、皆さんも“ととのいに”来てみてはいかがでしょうか。
古屋 蔵人(ふるや くらんど)
映像プロデューサーとしても活動しており、CMディレクターとして無印良品、Spotify、TOTO、Netflixなどのキャンペーンを展開。また、展示ディレクターとして銀座SONYパークをはじめ、三菱地所本社のショールームの演出や、GUCCIやCartierなどハイブランドのデジタル展示の演出も手がける。
長島 秀晃(ながしま ひであき)
「SC(ショッピングセンター)の総合商社」を標榜し、商業施設向けに施設運営、システム、プロモーションなどの各種ソリューションを提供。元大手電機機器メーカーの出身でもある。
渋谷サウナス
【場所】
東京都渋谷区桜丘町18-9(地上3階建て)
【入場料】
月〜金 ¥2,800(¥3,080 税込)〜
土日祝 ¥3,500(¥3,850 税込)〜
【営業時間】
8:00〜24:00 ※不定休
※当面の間、営業時間は8:00〜23:00を予定、予約制となります。ご来館の際はWEBサイトをご確認ください。
写真/酒井恭伸
取材・文/東田俊介、おかねチップス編集部
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