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「営業はダサくて泥臭い」はもう終わり!? セレブリックス今井晶也が教える令和版最強営業メソッド

「営業はダサくて泥臭い」はもう終わり!? セレブリックス今井晶也が教える令和版最強営業メソッド

セールステクノロジーを活用しながら、営業支援・人材支援の領域における課題解決のサービスを展開する「セレブリックス」。独自に生み出した「顧客開拓メソッド」をもとに、これまで1万2,000商品以上の営業支援の実績を上げています。同社の執行役員でありマーケティング本部長の今井晶也さんは、社内に蓄積された営業データを活用し、営業スキルの体系化を通じて成果をコントロールする「セールスイネーブルメント」のプロフェッショナルです。そこで今回は、業界でも注目されるセールスイネーブルメントについて、今井さんにお話を伺います。

営業の極意は「相手の邪魔になる前に、相手の役に立つ」こと

営業の伝道師こと、今井晶也さんに営業の基礎から、顧客獲得のコツまで伺うぞ〜
おかねチップス編集部
まずはセレブリックスの事業内容を教えてください。
今井
さん
セレブリックスでは、営業支援事業と人材支援事業の2つの事業を展開しています。その中で私は、執行役員を務めながら、マーケティング本部長とセールスエバンジェリストを兼任しています。
おかねチップス編集部
セ、セールスエバンジェリスト? 響きからしてイカしたネーミングですが、どんな仕事内容なんですか?
今井
さん
セールスエバンジェリストとは、日本語で直訳すると「営業の伝道師」という意味です。セレブリックスという会社の枠組みを超えて、営業全体に貢献できないかという視点から、法人と新規営業に特化した研究や、営業ノウハウを伝える講演などを行っています。
おかねチップス編集部
なるほど。具体的には、どんな営業ノウハウを伝授されているんですか?
今井
さん
私たち営業支援事業のメンバーは、営業コンサルティングや営業研修などを通して、独自に構築した「顧客開拓メソッド」を提供しています。簡単に言うと、「誰が営業しても、ある一定以上の受注が獲得できる仕組みづくり」のお手伝いをさせてもらっています。
おかねチップス編集部
仕事人にとって営業は超大事なので、ぜひそのメソッドをお聞きしたいです! 「誰が営業しても成果が出る」手法があるなら、かなりの企業から依頼が来ているんじゃないですか?
今井
さん
はい、お陰さまで現在は3カ月待ちとなっております。
企業が行列を成しているというセレブリックスの営業術とは?
おかねチップス編集部
えっー!!!
今井
さん
本当にありがたい限りです。
おかねチップス編集部
そんな予約待ちをしているみなさんを差し置いての質問で大変恐縮ですが、セールスエバンジェリストの今井さんが考える、「営業で一番大切なこと」とは?
今井
さん
営業にとって最も大切なのは、「与える人」になることです。それも、単に与えるのではなく、「相手の邪魔になる前に、相手の役に立つこと」を意識するのがポイントです。
おかねチップス編集部
たしかに営業って聞くと、一方的に商品を売りつけるイメージが先行してしまうかも。
今井
さん
そうなんですよ。営業って邪魔者になりがちなので、まずは相手の役に立つことを率先して行うことが大切です。たとえば、クライアントの「いま知りたい情報」を私たちが先に提供し続けることによって、やがて問題や困難が生じるたびに「セレブリックスに頼れば解決するかもしれない!」と思ってくれるようになります。そんな風に、「相手の役に立つ」体験を、まずは自分から提供することが営業の基本姿勢です。
おかねチップス編集部
なるほど。たしかに欲しいタイミングで欲しい情報が届くなら、お金を払ってでも買いたいですよね。でも、それだけでは「営業の伝道師」とは呼べないですよね? 実際には、もっと奥の手があるんじゃないですか? 
今井
さん
奥の手(笑)。そうですね、弊社では「営業を科学する」というテーマも掲げていて……。
今年8月、今井さんは『Sales is 科学的に成果をコントロールする営業術』(扶桑社)を発表した。購入はこちら
おかねチップス編集部
へ? 営業を科学する……? これは、“なぞなぞ”ですか?
今井
さん
いえいえ(笑)。営業を科学するというのは、「営業という活動自体を過去の事例などから体系的にデータとしてとらえて、再現性を持たせる」ことを意味します。
おかねチップス編集部
再現性……。誰でも営業をできるようにするってことですか?
今井
さん
おっしゃる通り。できるだけ誰でも、です。営業って「背中で見せる」といった精神論がつきもので、どちらかといえば私は必要だとは思いますが、これに頼りすぎてもよくない。ただ、営業する相手は人なので、テクニックや技術における、はっきりとした正解を提示するのが極めて難しいんです。そうした中でもはっきりとわかっていることがあって、「この営業マンからは買いたくない」「こういう言い方をされると嫌だ。検討もしたくない」と思わせる共通項が営業側にあるということ。私たちが提案する「再現性持たせる」というのは、この間違った営業方法を辞めさせること。これをデータで捉えて探求しているんです。

「間違った営業」をやめて、まずは成功体験を!

営業パーソンが陥りがちな、間違った営業方法って?
おかねチップス編集部
間違った営業方法って何ですか?
今井
さん
ものすごくいっぱいあるんですが、たとえば、クライアントにいきなり「御社の課題は何ですか」と質問をすること。課題解決型営業という言葉が流行っていますが、相手との信頼関係が築けていない状態でのこの質問を投げ変えたら、「何であなたにそんなこと言われないといけないの?」っていう気持ちになりますよね。だからまずはお客さんとの関係性をちゃんと築くことが重要ですね。
おかねチップス編集部
ふむふむ。ちなみに、いまはSNSもあるし、営業しなくても売れるものを企業がつくればいいのでは? そもそも会社に営業部って必要ですか?
今井
さん
なくてもいいです(キッパリ)。ただし、営業しなくてもそれを必要とするお客さまがいて、お客さまに価値や情報を適切に届けられる場合は、という前提がつきます。でも業界トップの会社はマーケティングコストを投じてそれができるかもしれませんが、それ以外の企業がお客さまを獲得するのは難しい。だからそういう企業が顧客を開拓する場合、お客さまに合わせて営業パーソンが課題設定や価値提案を行う必要性があると感じています。
おかねチップス編集部
オーダーメイドの営業方法みたいな?
今井
さん
はい。営業パーソンがいない購買というのは、お客さまがWEB上でいろいろな情報を探して検討をしていくのだと思いますが、必ずしもそれが正しい情報とも限らないし、その企業にフィットする商品ではない可能性もありますよね。ほかの企業の成功例、失敗例を元に新しい気付きを与えたり、そもそもお客さまが感じている課題は本当に正しいのかという、第三者的な目線でメスを入れる必要があります。そうした必要がある企業や商品には、営業の関わりが必要だと思っています。このようにお客さまの課題や問題に合わせて最適な提案をし続けることができれば、営業パーソンは邪魔者ではなくてウエルカムな存在になるわけです。
おかねチップス編集部
営業は、コンサルやパートナーのような存在になるべきだと?
今井
さん
ええ。営業パーソンがコンサルタントやパートナーのような役目を果たせたら、お客さまと私たち営業、お互いにとって利点だらけ。どちらも幸せになれるじゃないですか。
おかねチップス編集部
今井さんがおっしゃるような、クライアントに必要とされる営業パーソンになるにはどうしたらいいんですか?
今井
さん
全員なれると言ったら嘘になりますが、私たちのメソッドを使ってお客さまの買わない理由をなくしていけば、改善されると思います。組織を形成すると、2:6:2の法則が起きるというじゃないですか。
おかねチップス編集部
2:6:2の法則???
今井
さん
組織にいる人の2割がほっといても売上をつくれ、またの2割の人がやる気がないor不適合で、残りの6割の人はどちらにもなり得るというものです。私たちのメソッドで対象になるのは、どちらにもなり得るという6割の人。この人たちは売上を達成するときもあれば、できないときもある。この達成しないときをできる限り減らしてあげるのが大事なんです。ここには必ず「間違い」があるので、それを改善していくんですよ。
黄色の個性的なホワイトボード(?)に図を書き出して、2:6:2の法則を説明してくれる今井さん。めっちゃやさしい
おかねチップス編集部
どうやって改善していくんですか?
今井
さん
営業手法の1つであるテレアポを例に取ると、「メソッドの通りやってみたら契約が取れちゃった」という成功体験を与えるのが手っ取り早いですね。とくに新規獲得のためのテレアポだと営業の中でも無下にされがちですが、正しいトークを使った正しい方法で営業すれば、アポは取れます。
おかねチップス編集部
正しい方法って?
今井
さん
0.5秒の余白をつくれるかどうか、です。
おかねチップス編集部
な、何ですか、それは???
今井
さん
テレアポの場合、電話がかかってきて「待ってたよ。この瞬間に君から電話がかかってくる予感がしてたんだ」って思う人なんていないですよね。まさに営業パーソンが邪魔者になるわけです。だから、営業の電話だとわかった瞬間、相手は電話を切ろうとする行動に出るんです。そういう人たちに営業側がすべきことは、0.5秒の余白をつくって電話を切るのをためらわせること。そのために重要なのが、短い言葉で結論から伝えることと、相手にとってのメリットになるような情報を与えることですね。
おかねチップス編集部
それは相手の業界に合わせて、パターンを用意しておくんですか?
今井
さん
ある程度業界ごとにパターンはあるんですが、それを対象企業ごとに興味を持っていただける内容にアレンジする感じですね。
おかねチップス編集部
つまり、コール数よりかは、一本太いコールをかけられるかが大事ということですか?
今井
さん
私から言わせれば、太いコールをコール数を増やしてやれよって話ですね。
テレアポの質と本数、どちらも営業は手を抜いてはいけない……
おかねチップス編集部
でもリサーチしたり、台本を書いたりする時間をつくらないといけないから、コール数は稼げないですよね?
今井
さん
電話をかけるたびに、そこでトークを考えようとするから数を稼げないわけです。だから事前にターゲットリストに書いておけばいいんです。リサーチや台本にかける時間は投資ですが、間違った話をしたり、間違ったお客さまに営業する時間は浪費なので。
おかねチップス編集部
う、う、うまい……。さすが営業の伝道師!
今井
さん
ありがとうございます(笑)。要するに邪魔者から、なるべく早い段階で役に立つ人に変われるかがポイントです。もう少しお話しすると、新規営業のテレアポにおいて、ファーストコンタクトでキーパーソンに繋がる率は15%と言われているんですよ。ここで大事なのは、キーパーソンにいかに早く繋いでもらうか、です。
おかねチップス編集部
そんなことできますか?
今井
さん
できます。「何度も連絡すると失礼になると思いますので、何時頃にお電話をさせていただくとスムーズに繋がりますか?」という会話にしたり、「毎回取次の確認をしていただくのは逆にお時間をとらせちゃうので、ここで代表に繋いでいただいて、電話が不要だとおっしゃっていただけたらもう連絡しないようにします」と話して、その場で判断していただくようにするんです。
おかねチップス編集部
またまた、うまい!
今井
さん
相手の邪魔をしたくないので。でも役に立てると確信しているんですよ。だから自分が役に立つかどうかだけ、クライアントに1回ジャッジしてもらうんです。

クライアントのライバル企業の分析も欠かさずに

今井さんの講義はまだまだ続く
おかねチップス編集部
営業をするうえで、相手の企業のリサーチはやっぱり重要ですか?
今井
さん
ええ、もちろん。リサーチで大切なことは大きく分けて2つあります。「マナー違反にならないためのリサーチ」と、「良い仮説を立てるためのリサーチ」ですね。まずマナー違反にならないためのリサーチというのは、「こんなことも調べてないんですか」と相手をがっかりさせないための基礎的な情報ですね。このリサーチ不足は、営業パーソンとしてはあってはならないことです。一方の良い仮説を立てるためのリサーチは、お客さまのお困りごとにどう役に立てるかと、商品の必要性をイメージするための取り組みです。
おかねチップス編集部
「良い仮説を立てるためのリサーチ」って、具体的にどうしたら?
今井
さん
「3C分析」という言葉があるのをご存知ですか?
おかねチップス編集部
すみません、初耳です!
今井
さん
「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(会社)」の頭文字を取ったもので、これらを分析することを言います。たとえば、私がとある企業に営業代行を提案する場合、お客さまのターゲットが何に関心があるか。ライバルがどこの会社でどんな強みと弱みがあるのか。そしてお客様が持っている技術や売りポイントは何か。こういったデータを整理していくと、営業先のお客さまが困っていることや、ビジネスを成功するために必要なことが見えてきます。
再び黄色のホワイトボード(?)を使って、3C分析をレクチャーしてくれる今井さん。ありがとうございます!
おかねチップス編集部
これらを分析すれば、クライアントが利益を上げる仕組みを見出せる?
今井
さん
そうです。企業というのは、利益を出すための営利団体。継続的に利益を出し続け、事業を存続している状態を目指しているわけですね。そのためにクライアントを基点とした、3C分析をするんです。市場、競合、会社を第三者目線で見直すことで問題点や課題点が見えてきます。先ほどもお話ししたように、営業はいかにクライアントの役に立つかが大事。だからこうした問題点や課題点を改善に導くための助言と提案を行うことで、クライアントの成長と利益に繋がる。いかに私たち営業の力が必要かを理解してもらうんです。
おかねチップス編集部
ほほう。たとえば、対象のクライアントが小規模な企業の場合、WEBサイトなどに情報が載ってないので、3C分析が難しい気もします。どうしたら?
今井
さん
その場合は、同業種の上場企業を調べるんですよ。上場企業ならある程度情報が開示されているので、そこで3C分析をすれば同業界における問題点や課題点を洗い出すことができます。クライアントだけでなく、ライバルの上場企業まで調べると、業界全体の話題をだいたい掴めるし、商談を成功に導く可能性が上がります。
クライアントのライバル企業や顧客の3C分析も忘れてはならない
おかねチップス編集部
たしかに業界自体の情報を把握していれば、商談が円滑にいきそうですね。ちなみにですが、編集者、ライター、カメラマンなどフリーランスが営業するとき、何かコツとかありますか? なかなか営業できないって声が多い気がして。
今井
さん
SNSやホームページなどで実績や作品を見える化することと、それから「自分は◯◯の専門家です」ってラベリングするのがいいと思います。自分ができることをあれこれアピールして、「いやそれ必要ない」と相手から言われてしまうと、そこに対して切り返しても相手の意見を否定しているように思われて、向こうとしては気持ちよくない。だから、相手の欲しいものを最適なタイミングで与えられるのが一番のいいコミュニケーションになるし、双方ともにストレスがかかりません。自分の得意領域をしっかり可視化するのがおすすめです。
おかねチップス編集部
やはり、いかに相手の役に立てるかがポイントなんですね。では最後に、今井さんが考える「営業職」そして、営業を通して実現したい世界とはどのようなものかをお聞きしたいです。
今井
さん
これまで営業は「泥臭い」「ダサい」「精神論」「誰でもできる」などと、カッコ悪いイメージがどこか定着していたと思うんです。だけど、私は営業を専門職だと思っていて、「Sales is cool=営業はカッコいい」という標語を掲げたいと考えています。
おかねチップス編集部
Sales is cool! シンプルでカッコいいですね。
今井
さん
はい。営業という職種がお客様の事業をより成長させるためのパートナーとして、商品や専門知識を使った専門コンサルタントといった立ち位置を築いていけば、地位も上がっていきますし、印象も変わると思っています。そして、営業がそういう人たちだけになれば、買う人も、営業する側も幸せになり、企業の経済が回ることで、また新しい経済が生まれます。そうやって世の中全体の経済の循環が良くしていくのが理想です。だから、最適な提案でお客さまを幸せにできるような、本当に技術を持った営業がスタンダードになる世界を実現したいです。
今井さんは営業のニュースタンダードを実現させていく

今井晶也(いまい まさや)

株式会社セレブリックス 執行役員 マーケティング本部長。
1983年生まれ、東京都出身、群馬県育ち。2008年、株式会社セレブリックスに中途入社し、未経験から営業職に従事。現在はセレブリックスのエバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演を行う傍ら、営業の№1を決める大会「S1グランプリ」の審査員を務めるなど、多方面で活躍の幅を広げている。2021年8月に、『Sales is 科学的に成果をコントロールする営業術』(扶桑社)を発売。
 
セレブリックス:https://www.cerebrix.jp
今井さんのTwitter:@M_imai_CEREBRIX

撮影/SHUNYA KAWAI 取材・文/小山田滝音

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