金融関連ワード『アルケゴスって何?』わかりやすく説明します
「アルケゴス」という言葉を聞いたことはありますか?
金融業界で耳にすることの多いワードですが、実際のところはよく知らない方も多いかもしれません。
アルケゴスとは、欧州の投資ファンド「アルケゴス・キャピタル」を指します。
2021年3月〜4月、同社との取引により大きな経済的損失を生んだ「アルケゴスショック」で話題になりました。
今回は、アルケゴスとはどんな企業なのか、アルケゴスショックが起きた経緯とともに解説します。
アルケゴスとは?何が起きたのか
アルケゴスとは、ビル・ファン氏が設立したアメリカの投資会社です。
投資会社として画期的な投資システムにより、限られた資金から多額の利益を生むことに成功し、投資家からも注目されていました。
この投資契約方法が「トータルリターンスワップ(※後述)」です。
これにより、アルケゴスの運用資産は100億ドルからスタートし、2021年には10倍の1,000億ドルにまで膨らみました。
しかし、異変が起きたのは2021年3月。
アルケゴスが集中的に投資していたアメリカの大手テレビ局が増資を発表し、株価は暴落します。
これにより同テレビ局の株を多く所有していたアルケゴスは大損失を被ることとなりました。
この動きを受けて、アルケゴス・キャピタルと取引していた投資家や証券会社がアルケゴス社保有株を大量に売却し、損失はさらに膨らみます。
これにより、他の投資家や金融機関もアルケゴスからの資金回収が不可能となり、アルケゴスと契約していた多くの金融機関が損失を被ることになりました。
ヘッジファンドとは
ニュースなどで、アルケゴス・キャピタルは度々「ヘッジファンド」と呼ばれることがあります。
しかし、アルケゴスは厳密にはヘッジファンドではありません。
ヘッジファンドも株式投資を行う金融企業の1種ではありますが、定義上は以下2つの要件を満たしている必要があります。
・米証券取引委員会(SEC)に登録している
・保有資産・銀行との取引をすべて開示する必要がある
アルケゴス・キャピタルはファミリーオフィスで、SECへの登録義務はありません。
しかし、取引内容はヘッジファンドと似ているため、アルケゴスショックが起きた際は「方の抜け穴を潜った設立方法だったのでは」とも噂されました。
レバレッジとは
金融用語としてよく耳にするのがレバレッジです。
レバレッジとは「小さな力や資金で大きなものを動かす効果」を指します。
特に金融業界では「他人資本をいかに調達できたか否か」を判断する上で、レバレッジというワードが挙がります。
ビジネスを始めるには膨大な資金が必要です。
この資金は自己資本から出すことも可能ではありますが、より大きな資金を調達するには銀行の融資や出資者を募るなど、他人資本を調達することも大切です。
この自己資本と他人資本の数値をもとに「レバレッジ比率」を求めます。
レバレッジ比率は「他人資本/自己資本」で導き出され、数値が多ければ多いほど父さんの可能性が高いというのが定説でした。
しかし、近年では金利の低下から収益率の高いビジネスではレバレッジ率が高くても投資家に注目される傾向にあります。
トータルリターンスワップとは
トータルリターンスワップとは、金融機関から資金調達し投資活動を行う契約方式です。
アルケゴスと証券会社Aとのやりとりを例に解説しましょう。
証券会社Aとアルケゴスがこの契約をする場合、アルケゴスは最初に投資資金を調達すると同時に相場よりも高額な手数料を支払います。
この契約により調達した資金で、アルケゴスが投資・資産運用を行います。
大きなポイントが、この時保有した株はすべてアルケゴスではなく、証券会社Aのものになることです。
しかし、投資による利益・損益はアルケゴスが負います。
つまり、一般的に投資家が得る利益である「株式売買による収益」、投資会社が得る「株式保有」を交換する仕組みです。
まさしく「すべて(トータル)」「リターン(利益)」「スワップ(交換)」する仕組みだと言えます。
アルケゴスショックはいつだったのか
アルケゴスショックは2021年3月から4月の間に起こりました。
きっかけとなった大手テレビ局の増資は同年3月23日のことで、ここから一気に損失が広がっていきます。
このショックは世界中に広がっていき、日本でも3月29日に野村ホールディングスが約2,200億円の損失見込みを発表。
同時に損失を被った企業の株価も暴落しました。
今後の展開に注目していこう
アルケゴスショックは、株価の暴落をきっかけに起こったアルケゴス・キャピタルの債務不履行問題です。
最終的にはアルケゴスショックが扱っていた保有株、契約していた金融機関など多くの企業の株価が暴落するなど、大きな損失を生んだ事件でした。
この中で注目したいのが、今後の展開です。
取引していた金融機関の中には、保有していた株を上手く運用することで損失を最小限に抑えるなど、ショック後の動きは世界中で注目されています。
あなたに関わる企業はもちろん、国内外の企業の動向も注視しながら、今後の金融業界の動向を探りましょう。
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