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マネーリテラシーが高い人の思考術|澤円コラムVol.05

マネーリテラシーが高い人の思考術|澤円コラムVol.05

元日本マイクロソフト業務執行役員で「プレゼンの神様」とも呼ばれる澤円さんが、「時間とお金」をテーマにコラムをつづる本連載。今回は、マネーリテラシーの高い人の思考術から考える、お金との付き合い方について。

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みなさんこんにちは、澤円です。
連載第5回目をお届けします。

ボクには、何人かとてもマネーリテラシーが高い友人がいます。たまたま、そんな友人と会う機会があったので、いろいろとインタビューしてみました。その友人は、日本最大規模の元国営企業出身で、ごく一般的なサラリーマン家庭に育った人です。めちゃくちゃ特別な教育を受けたわけでもなく、普通に大学を出て就職活動をして会社に入った人です。

その後の転職先がボクと同じマイクロソフトだったご縁で知り合いました。だいたいボクと同じくらいのポジションだったので、年収もさほど差はなかったと思います。

いつも素晴らしい立地のところに住んで、いい車に乗っている。そして、趣味のスキーに行きまくり、なんだかめちゃくちゃ人生をエンジョイしているなぁといつも感心していました。実に「うまく生きてる人」という印象を持っていました。

インタビューしてみてわかったのは、彼は「うまく借金をしていた」ということでした。この「借金」というのは、主に不動産購入のローンのことです。最初に親との共同出身でマンションを購入し、そこに住むことで家賃はゼロ。購入したマンションがあった場所が、その後大規模開発が行われたおかげでいい値段で売ることができ、別のところを購入。そのマンションも高く売れるタイミングで手放し、また別の場所を購入。その間に、自分の給与も上がり、与信も通りやすくなっていたので、借入金の枠はどんどん大きくなったそうです。

もし万が一働けなくなった時の保険もしっかり準備して、日々楽しく暮らしているということなのだそう。これはサラリーマンとしての特権を大いに生かしたお金の使い方だなぁと改めて感心しました。

そして、あくまでも「コントロールできる範囲内」でのお金で、楽しい人生が送れているというのもポイントですね。派手なようで堅実、という実にいいお金との付き合い方をしていたんだなぁ、とさらに感心してしまいました。

お金の話を正面切って尋ねるのはなかなか勇気がいることかもしれませんが、具体的な金額ではなくて、「向き合い方」や「使い方」については、大いに参考にしてもいいのではないかと思います。そういう観点での会話では、ボク自身も惜しむことなく情報を提供しています。お金はあまりにもわかりやすい単位であるので「いくら儲かった」「資産が何億円だ」「彼はXX円のクルマを買った」というように、直接的な金額が話題になりやすいように感じます。でも、金額の多い・少ないよりも「どのように向き合うのか」を自分が認識しておく方が、はるかに大事ではないかと思います。

この観点が抜けていると、「お金がたくさんなければ幸せになれない」という考えに取りつかれてしまって、極端な節約に走ってしまったり、危ない金融商品に手を出してしまって大やけどを負ったりしかねません。

「昔は『貯めるフェーズ』と『使うフェーズ』が分かれていた」とボクの大の仲良しであり、Voicyの経済専門パーソナリティであるDJ Nobbyさんが語っています。

いやこれホントそうだよな~~と、えらく腹落ちしました。終身雇用が当たり前で、退職後もめちゃくちゃ手厚い福利厚生が受けられていた時代はもう終わりを遂げているわけで、今までのマネーリテラシーの原理原則は全く通用しないといっても過言ではないわけですよね。そうなると、「自分はどうやってお金と向き合うのが幸せなのか」という観点で考えるのが何よりも大事ということになります。

そして、ここで陥ってはいけないのは「自分の幸せ度を他人と相対的に計る」という考え方です。

これ、絶対に幸せにならないだろって思います。自分が幸せを感じる生き方と、他人のそれとは、まったく同じであるはずがないのです。でも、SNSでたくさんの「ハッピーな瞬間っぽく見える情報」がばらまかれている昨今、どうしても「あの人のようにふるまわないと幸せではないのでは」と感じてしまう人がいるのも無理からぬ話かもしれません。でも、その人と自分は違う人生を歩んでいるわけですし、それはお金とは無縁のところで実現できるかもしれないのです。

価値観が大きく変わるプロセスを描いた「365日のシンプルライフ」というフィンランドの映画をご存じでしょうか。

ある男性が失恋をきっかけに、このような大いなる実験を始めます。

「365日のシンプルライフ」での大いなる実験

  • 自分の持ち物すべてを倉庫に預ける
  • 1日1個だけ荷物を倉庫から持ってくる
  • 1年間、続ける
  • 1年間、何も買わない

さて、どうなるのでしょうか? 興味がある方は、ぜひご覧になってくださいね。

澤円(さわ まどか)

株式会社圓窓 代表取締役、元・日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 専任教員。
 
立教大学経済学部卒業後、生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、大手外資系IT企業に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。最新のITテクノロジーに関する情報発信の役割を担う。2006年よりマネジメントに職掌を転換し、ピープルマネジメントを行うようになる。直属の部下のマネジメントだけではなく、多くの社内外の人たちのメンタリングも幅広く手掛けている。数多くのイベントに登壇し、プレゼンテーションに関して毎回高い評価を得ている。2015年より、サイバー犯罪に関する対応チームにも参加。2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。また、美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオなどの出演多数。

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