電子帳簿保存法の要件まとめ【電子データ保存・スキャナ保存・電子取引】
電子帳簿保存法にはさまざまな保存要件があります。
ひとことで電子帳簿保存法といっても、電子データ・スキャナ保存したデータにより保存要件は異なるため注意が必要です。
今回は電子帳簿保存法における帳簿の保存要件を、わかりやすく解説いたします。
保存要件を満たす対象となる文書とならない文書についても解説するので、導入の参考にしていただけますと幸いです。
電子帳簿保存法の電子データ保存の要件
以下では電子帳簿保存法における電子データで受け取った帳簿の保存要件を解説します。
電子帳簿保存法において、電子データでやりとりされるデータは電子データでの保存義務が存在します。
法改定により大きく変わったポイントのため、必ず知っておきたい管理方法です。
プリントアウトするなど紙面で保管することは認められなくなったため、必ず電子データでの保存体制を導入しておきましょう。
履歴が分かるシステムの使用
電子帳簿を保存するにおいて、管理体制を万全にしておく目的は改ざんを防止するためです。
その方法の1つとして、修正や削除の履歴がわかるクラウドサービスで保存することが挙げられます。
履歴がわかれば保管クラウド内で書類が修正されていないことがシステム上で証明できます。
要件を満たす保存システムを導入するため、履歴の残るクラウドサービスの利用を検討しましょう。
システムの説明書が必要
導入した電子帳簿の保存体制や法律に則った保存方法を従業員に周知するため、システムの説明書も合わせて用意する必要があります。
導入した保存・管理システムの概要書・説明書はいつでも閲覧できるよう備え付けて、正しい保存体制を整えてください。
ツールの準備
電子帳簿の保存システムと合わせて、電子帳簿を作成・やりとりするためのツールも準備しておきましょう。
電子帳簿保存法の導入に伴い、保存体制を整えるだけでなく要件を満たした電子帳簿を作成できる体制を用意することも欠かせません。
また2023年10月1日よりインボイス制度が導入され、消費税の控除には適格請求書を発行する必要があります。
これは電子データで請求書を発行する場合にも同様のことが言えるため、電子帳簿保存法の要件を満たすと同時に、インボイス制度に則った適格請求書をスムーズに発行できるよう、導入するツールを検討しましょう。
検索できるようにしておく
電子帳簿の保存時は検索要件を満たす必要があります。
検索要件は従来より緩和されており、取引年月日・取引先・取引金額の3つを揃えておかなくてはいけません。
ただし法改定により、組み合わせ検索等のシステム要件は必要なくなっています。
電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件
紙で受け取った帳簿・書類を電子データで保存する場合、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存要件を満たす必要があります。
以下では、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件について解説します。
入力期間の制限
受け取った帳簿・書類はおおむね3営業日以内に電子データとして保存する必要があります。
従来は3日以内と定められており、休業日もカウントする必要がありましたが、3営業日以内となり、休業日を除く日数で業務計画を立てるようになりました。
特に領収書等の保存は速やかに行うことも法律内で明記されているため、スピーディにデータ保存できる管理体制を整えておく必要があるでしょう。
システムの使用
帳簿のスキャナ保存では、電子帳簿の保存方法と同様に変更・削除した履歴の残るクラウドサービスを使用する必要があります。
スキャナ保存し電子データ化した帳簿は、電子帳簿と同様の保存体制を敷く必要があるため合わせて押さえておきましょう。
また読み取った帳簿には、スタンプを押した日付まで改ざんが行われていないことを証明するタイムスタンプを発行する必要があります。
電子帳簿保存法におけるタイムスタンプとは?こちらの記事で詳しく解説
事務処理規定の策定
スキャナ保存した電子帳簿の保存・管理において、以下の規定を設ける必要があります。
・帳簿の取り扱いについて業務規程を定め従業員に周知する
・業務ごとに異なる担当者を配置する
・おおむね5年内ごとに全事業所を検査し不備があれば改善を行う
以上の流れを定め、長期的に運用していきましょう。
可視化と解像度
スキャナ保存した電子帳簿は、電子データですべての項目を明確に把握できるようシステムを整える必要があります。
・スキャナデータと帳簿記録の紐付けがされている
・解像度が高くスキャンしたデータの文字を正しく視認できる
スキャナ保存したデータは、電子データでも書類の内容を正しく読み取れる必要があります。
以上の要件を満たすスキャナーを導入し、スムーズに解像度の高い電子帳簿を保存できる体制を整えましょう。
電子帳簿保存法の電子取引データ保存の改正点はあったか
法改定により、電子取引された帳簿・書類は、原則的に電子データでの保存が求められるようになりました。
つまりメールやクラウドサービスを通じて取引された請求書は、必ず電子データで保存する必要があります。
2022年1月から施行された新しい電子帳簿保存法のなかでも特に注目したい改正点のため、必ず把握しておきましょう。
電子帳簿保存法の改定点は?知っておきたいポイントをわかりやすく解説!
電子帳簿保存法で対象となる文書とならない文書は?
ビジネス・経理における文書にはさまざまな種類がありますが、そのなかには電子帳簿での保存対象となる文書とならない文書が存在します。
それぞれ解説するので、ぜひ参考にしてください。
対象となる文書
・仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿
・貸借対照表・損益計算書などの決算書類
・見積書・請求書などの経済活動で発生する国税関連書類
上記のように、経済活動に関するさまざまな書類が電子帳簿保存法に則った保存体制が求められます。
あらゆる事業者に求められる項目であるため、電子帳簿保存法に則った保存体制を整えておきましょう。
対象とならない文書
・手書きで作成した帳簿
・手書きで作成した国税関連書類
以上のように、手書きで作成された文書は、電子帳簿保存法の対象になりません。
引き続き紙での保管が求められるため、手書き書類がある場合は合わせて保管体制を整えておくことが大切です。
それぞれの保存要件は決められているので先に理解しよう
電子帳簿保存法における保管要件について解説しました。
電子帳簿保存法では、電子取引した帳簿は電子データでの保存義務があるほか、スキャナで読み取った書類についても正しい保存体制を整える必要があります。
正しい保存体制を整えておくことは、円滑な税務処理にも繋がります。
今一度、電子帳簿保存法に則った帳簿の保存要件を押さえて、自社の保存体制を整えましょう。
文/おかねチップス編集部
監修文/おかねチップス編集部
おかねチップス編集部
20代後半から40代後半にかけた、ビジネスマンがメインであり、フリーランス、パラレルワーカー、スタートアップ等の読者層が多数。数多くの著名人にも登壇頂いていると同時に各種専門記事については、記事の信頼性を最新性を担保するために、税理士や各業界のプロフェッショナルを監修に迎えたうえで、各記事を編集・校閲・確認を経て制作。
おかねチップス:https://okanechips.mei-kyu.com/
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