【2023年最新】法改正で電子帳簿保存法の申請方法が変わりました
電子帳簿保存法では、承認申請書の廃止をはじめさまざまな点で変更点が出てきました。
保存体制については大きく緩和された点が多く、導入のハードルも下がっています。
そのためこれから電子帳簿保存法に対応した管理体制の導入を検討しているのであれば、申請方法や承認申請書の扱いについても押さえておきましょう。
今回は電子帳簿保存法を導入するための承認申請書の扱いが、法改定によりどのように変わったのか解説します。
承認申請書の扱いと合わせて押さえておきたい電帳法の変更ポイントも合わせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
電子帳簿保存法の申請が不要に?
2021年制定・2022年1月より施行された新しい電子帳簿保存法では、保存体制におけるさまざまな点が緩和されました。
なかでも注目したいポイントが税務署に提出する承認申請書です。
従来の電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存体制を築くため税務署長に承認申請書を提出する必要がありました。
しかし、承認申請書の提出義務があるとなかなか電子帳簿への移行が進まず、ペーパーレス化社会に対応できない側面もあります。
そのため2022年1月より始まった改定版の電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存体制を導入するための税務署長への承認申請書の提出が不要となりました。
宥恕措置についても事前申請不要になった
2022年1月からの法改定では、電子帳簿保存におけるさまざまな点が大きく変更されています。
なかでも電子取引された電子帳簿は必ず電子データとして保存しなければいけないなど、従来の電子帳簿保存法とは真逆のルールが定められた点もあります。
そのためすぐに新しい電子帳簿保存法に対応することが困難な事業者も少なくありません。
そこで電子帳簿保存法には2年間の宥恕措置(猶予期間)が定められ、この期間中に電子帳簿保存法に対応した保存体制を築くことが求められています。
なお、この宥恕措置を利用するうえでも、承認申請書の届出等を出す必要はありません。
宥恕期間内に導入を済ませられるよう、計画的に法に則った保存体制を築いていくことが大切です。
電子帳簿保存法の今までの流れ
従来の電子帳簿保存法では、以下の流れに沿って導入する必要がありました。
・導入3ヶ月前を目安に税務署長に承認申請書を提出する
・電子書類の保存要件を満たす保存システムを導入する
・電子帳簿の保存業務を開始する
上記のように、3ヶ月前から申請したうえで、電子帳簿の保存システムを導入していく必要がありました。
特に承認申請書は書類の種類ごとに提出する必要があったため、申請そのものも煩雑で社会全体の電子帳簿保存体制がなかなか進みませんでした。
そのため法改定された電子帳簿保存では、承認申請書も不要になり、事業者がより電子帳簿保存体制を導入しやすい法律へと変わっています。
2022年1月の法改正で変わったこと
承認申請書が不要になったことのほかにも、改定された電子帳簿保存法では、さまざまな変更点があります。
以下では電子帳簿保存法の法改定により変わった電子帳簿の保存ルールについて、書類の形式別に解説します。
スキャナ保存
・タイムスタンプの要件が緩和
・適正事務処理要件の緩和
・書類の入力期限が2ヶ月とおおむね7営業日以内に
紙で受け取った電子帳簿や取引書類には、タイムスタンプと呼ばれる電子帳簿の改ざんがないことを証明するシステムを発行する必要がありました。
しかしタイムスタンプは書類の修正・削除履歴が残るクラウドサービスへ保存することでも要件を満たせるため、不要になる場合も。
さらに従来は2名以上での管理体制を置く必要があった適正事務処理要件ですが、こちらも1人で行えるよう緩和されています。
電子データ保存
・適正事務処理要件の緩和
・検索要件の緩和
・電子取引された書類の保存義務化
電子データで保存する請求書や領収書についても、スキャナ保存する書類と同様に適正事務処理要件の緩和など、さまざまな措置が取られています。
なかでも押さえておきたいのが、電子取引された書類の義務化です。
2023年12月末までは宥恕措置が設けられていましたが2024年からは電子保存が義務化されるため、2023年内には保存体制を築いておきましょう。
電子帳簿保存
・検索要件の緩和
・電子作成された帳簿の保存義務化
会計ソフトを使用して作った電子データの帳簿や会計書類も、電子帳簿として保存義務が存在します。
保存体制や検索要件をはじめ保存方法は緩和されていますが、合わせて義務化に対応していくことが大切です。
電子帳簿保存法への準備
電子帳簿保存法の宥恕期間は2023年12月末のため、2023年内には電子帳簿保存法に対応した帳簿・書類の保存体制を用意しておくことが求められます。
以下では電子帳簿保存法に対応した保存体制を築くならまず行いたい準備について2つご覧ください。
最新の電子帳簿保存法の要件を都度確認していく
電子帳簿保存法は、社会全体の電子帳簿の導入スピードや導入が進まない原因となる煩雑なルールが指摘されるごとに、少しずつ変化しています。
そのためこれから電子帳簿保存法に則った保存体制を準備するなら、まずは最新の電子帳簿保存法の要件を確認することから始めましょう。
最新の動向は国税庁のHPのほか、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスや会計ソフトの公式HPから確認することも可能です。
電子帳簿保存法対応のシステムの導入
要件を確認したら、実際に電子帳簿保存法に対応したシステムを導入しましょう。
なかでも注目したいシステムが以下の2つです。
・電子帳簿を保存するためのクラウドサービス
・スキャナ保存した電子書類に発行するタイムスタンプサービス
クラウドサービスにはさまざまな種類があり、なかには導入するだけで電子帳簿保存法に合わせた保存要件の多くを満たせるものもあります。
導入の手間や負担を減らしたいと考えているのであれば、電子帳簿保存法対応のクラウドサービスの利用を検討しましょう。
電子帳簿保存法対応のクラウドサービスはどれ?目的別にサービスを紹介!
電子帳簿保存法申請方法まとめ
電子帳簿保存法の承認申請書について解説しました。
2022年1月より施行された電子帳簿保存法により、税務署長への承認申請書は不要になりました。
導入において申請手続きが必要なくなったほか、法に則った電子書類の保存ルールそのものも緩和されています。
そのため小規模事業者や個人事業主も、少ない負担で電子帳簿保存法に則った保存体制を築けるようになったといえるでしょう。
また法改定により電子取引された書類は電子データでの保存義務が存在するなど、義務化された点があることも知っておきたいポイントです。
電子帳簿保存法の宥恕期間は2023年末まで、義務化は2024年1月より始まるため、2023年内に導入体制を見直して、正しい保存体制を導入しましょう。
文/おかねチップス編集部
監修文/おかねチップス編集部
おかねチップス編集部
20代後半から40代後半にかけた、ビジネスマンがメインであり、フリーランス、パラレルワーカー、スタートアップ等の読者層が多数。数多くの著名人にも登壇頂いていると同時に各種専門記事については、記事の信頼性を最新性を担保するために、税理士や各業界のプロフェッショナルを監修に迎えたうえで、各記事を編集・校閲・確認を経て制作。
おかねチップス:https://okanechips.mei-kyu.com/
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