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富裕層といわれる人たちの思考と行動パターン|澤円コラムVol.06

富裕層といわれる人たちの思考と行動パターン|澤円コラムVol.06

元日本マイクロソフト業務執行役員で「プレゼンの神様」とも呼ばれる澤円さんが、「時間とお金」をテーマにコラムをつづる本連載。今回は、富裕層の人たちの思考や行動パターンから成功のヒントを探ります。

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みなさんこんにちは、澤円です。
連載第6回目をお届けします。

世の中には想像を絶するお金持ちというのがいます。この原稿をお読みになっている方々も、「あの人はお金持ちだよな」と思いつく人がいるかもしれませんね。その人たちは、メディアを通して見る人たちだったり、自分の勤める会社の経営者だったり、家の近所で見かける豪邸に住んでいる人だったりするでしょう。そして、大多数の人たちは、お金持ちの実態を間近で見る機会はあまり多くないのではないでしょうか。

そこで今回は、ボクが知るお金持ちのちょっとした実態について書いてみたいと思います。

ボクは、世界で一番お金持ちだった人の下で働いていたことがあります。その人の名前はビル・ゲイツ。マイクロソフトの創業者です。ボクは日本法人の末端で働いていただけなので、別に面識があるわけではありません(笑)。なので、彼の生活を直接みていたわけではないです。ただ、創業間もないマイクロソフトと深く関わっていた、日本法人を立ち上げた古川享さんから色々なこぼれ話を聞くことができて、超弩級富裕層の人たちの思考や行動のパターンを垣間見ることができました。

ビル・ゲイツは確かにお金持ちです。ただ、それは「ビジネスの成功の結果としてお金持ちになった」ということで、「お金持ちになるためにビジネスをしていた」というわけではなさそうです。

彼が打ち立てたマイクロソフトのビジョンは「すべての机とすべての家庭にコンピューターを(A computer on every desktop and in every home.)」というものでした。まだコンピューターが一般家庭に届いていないどころか、個人で使うレベルのサイズのものも存在していない頃から、ゲイツさんはコンピューターに魅了され、その普及に人生を賭けることを決めていたのでした。天才であると同時に、相当な狂人でもあるゲイツさんは、さまざまなチャンスをものにして、会社を大きくし、世界で最も成功した会社の一つになりました。

そして、古川さん曰く「ビルは会社をうまく経営することだけを考えていて、あらゆるコストに目を光らせていた」とのことです。自分自身も、ずっとエコノミークラスで世界中を飛び回っていたそうですし、これまた超大富豪のウォーレン・バフェットと一緒にマクドナルドに行ってクーポンでハンバーガーを買って食べるエピソードなども有名です。

その一方で、とんでもないカーコレクターだったり、シアトル郊外に広大な敷地の自宅を持っていたりと、わかりやすい資産家としての側面もあることはあります。ただ、結局彼は多くの資産を事前活動に費やすことを決め、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」を立ち上げて、世界中のさまざまな課題の解決のために投資を行っています。

さて、彼の生き様を見ていると「お金持ちになるために仕事をしている」というわけではなく、「会社の売り上げをアップするための行動の結果が自分を資産家にした」というのが納得感を持って伝わってくると思っています。

そして、資産を大きくしたのはゲイツさん本人というよりは、カスケードインベストメントと呼ばれる投資顧問会社であり、もっと言えばマイケル・ラーソンという人物がそのほとんどの任務を担っているとか。その内情は明らかにされておらず、二人とも秘密裏にすることを徹底しているようです。

ついつい資産家を見ると、本人が「お金のために頑張っている」と見えてしまうのですが、大抵の場合何らかの優れた仕組みが裏側にあり、本人は「本業」に没頭できる環境に身を置いているようです。一般庶民からすれば、「あれだけのお金があったら何をしようかな」と思ったりしそうですが、本人たちはそこには意識は向いていないのかもしれないですし、もっと言えばソッチに目がいっちゃう人は本物の資産家にはなれないかもしれないですね。

さて、ゲイツさんよりはもうちょっと身近なお金持ちのお話も。ボクはまぁまぁ値の張る車に、縁あって乗ることができています。そのディーラーさんは、いわゆる富裕層ビジネスを手掛けていて、ボクのように「ギリ1台買えるかどうか」という人から、「億単位の車を複数台所有する」という人まで幅広く顧客として抱えています。そして、トップ層の顧客であればあるほど、「ぱっと見ではわからない」という共通項があるとか。

店舗にやって来る時に、同等のスポーツカーに乗って来る人がトップレベルの富裕層であることは多くなく、スクーターや軽トラ、あるいは徒歩でやって来る人の方が多いんだとか。

これは、店舗がかなりの都心の超一等地にあるため本人たちの自宅がめちゃくちゃ近く、わざわざスポーツカーを引っ張り出して来るような距離じゃない、ということらしいです。これまた納得なロジックですね(笑)。そういう方たちがディーラーに来る目的は、「顧客体験全体を楽しむため」のようです。そもそも店になんて来なくても、電話一本・メール一通で動いてくれる人たちがいくらでもいる世界。それにもかかわらず、わざわざその場所に訪れるのは、「どう時間を過ごすか」ということへの投資に他ならないようです。そういう方に限って、横柄な態度などはとらないものの、「あ、ちょっと気に入らないな」と思ったら2度とコンタクトできなくなるとか。それだけ、時間に対する価値観がシビアってことでしょうね。

ちなみに、若かりし頃のビル・ゲイツは、時間の無駄を徹底的に嫌っていたそうで。講演会場の動線をちょっと間違って引き返すだけでも激怒していたとか(今はすっかり丸くなったみたいですけどね)。富裕層ビジネスというのは、なかなか緊張感があるようです。

澤円(さわ まどか)

株式会社圓窓 代表取締役、元・日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 専任教員。
 
立教大学経済学部卒業後、生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、大手外資系IT企業に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。最新のITテクノロジーに関する情報発信の役割を担う。2006年よりマネジメントに職掌を転換し、ピープルマネジメントを行うようになる。直属の部下のマネジメントだけではなく、多くの社内外の人たちのメンタリングも幅広く手掛けている。数多くのイベントに登壇し、プレゼンテーションに関して毎回高い評価を得ている。2015年より、サイバー犯罪に関する対応チームにも参加。2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。また、美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオなどの出演多数。

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