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現役の広報担当者に聞く。広報活動でお手本になる企業5選

現役の広報担当者に聞く。広報活動でお手本になる企業5選

企業にとってはなくてはならない大切な業務・広報活動。社会に向けて情報を発信したり、メディア関係者や生活者とコミュニケーションを取ったりと、その活動は多岐に渡ります。そんな業務を全うする広報担当者たちは、広報活動でお手本にしている企業はあるのでしょうか。現役の広報担当者5名に直撃しました。

AuB株式会社 広報・上田麻実さん
「令和トラベルさんのメディアとの共創にやられました……」

上田麻実さん

2015年AuB株式会社に入社し、現在はマーケティング本部 PR部門長として活動。座右の銘は、「笑いは人の薬」。その理由は、「人の一生は決まっています。だったら、私は笑って過ごす時間をたくさん作りたい。笑い(笑顔)にはすごくパワーがあると思うので、自分の笑顔で周りの人たちが笑っちゃうような、幸せな時間を提供できたらと考えています」とのこと。

――ご自身の広報活動で大切にしていることを教えてください。

上田
さん
まずは、自分自身の周辺の人に「好き」になってもらうこと。そして広報・PR活動を通じて、より多くの方に「好き」になってもらうこと。これが広報・PRの一番の目標だと思っています。

――そのためにどんな活動をしていますか?

上田
さん
自分が会社やサービス、プロダクトを愛する必要があると思います。広報・PRチームのみならず、全社員で取り組めることが「好き」を伝播させられる一番の近道だと思うので、社内でも積極的に商品開発やCRM(顧客関係管理)、研究に至るまで疑問に思ったことは口に出しますし、より良いサービスを目指してのディスカッションは活発に行うようにしています。このディスカッションが起こらなくなったら、多くの方々に自社のことを好きになってもらうことは不可能だと感じています。

――お手本にしている企業や広報担当者を教えてください。

上田
さん
「令和トラベル」の大木優紀さんの広報活動です。

――どんな点がご自身の広報活動の参考になっているのでしょうか?

上田
さん
なんといっても、アイデアの数や提案力、プレゼン能力が非常に優れている点です。どうやったら自分のお客さんに情報を届けることができるのか、それを踏まえた上でのアイデアの数はもちろん、そのプランを実際に行うための提案力と実行力が素晴らしい。「WHEN」「WHERE」「WHO」「WHAT」「WHY」「HOW」のまとめ方が非常に上手だなと感じています。良い企画を考えても、社内みんなの合意を得られなければ結局1歩も進めることすらできないですからね。

――「令和トラベル」の広報活動の中で、とくに気になっているものはありますか?

上田
さん
アナウンサーを広報として立て、自社のサービスのターゲット層により深くヒットできるメディア「PIVOT」で広報のイロハを公開しながら、「令和トラベル」という名前やサービスを売り込み、ターゲットをファン化させた取り組みは巧みだなぁ……と感心していました。ユーザーの頭の中に根強く名前が残り、中の人である広報をイメージできるので、旅行をする際の選択肢の一つになる。直接的なサービスのPRではないものの、非常にうまい仕組みだなぁと勉強になっています。

AuB株式会社


「すべての人を、ベストコンディションに。」というミッションを掲げ、サッカー元日本代表の鈴木啓太が創業したヘルステック企業。理想的な腸内環境を持つアスリートの研究から、腸内フローラをケアする独創的なフードテック商品を開発・販売している。AuB の最大の武器は、世界トップクラスの数と自負する、アスリート約 1000 人もの便。その検体数は 2,200 を突破している(2023年3月時点)。選手は、オリンピックの金メダリストをはじめ、海外の一流クラブや J リーグに所属するサッカー選手、プロ野球選手など、超のつくトップアスリートが多数並び、競技はサッカーやラグビー、陸上など、45 種に及ぶ。

プロティアン・キャリア協会/4designs株式会社 広報・今西幸希さん
「レイドさんから、すべてが発信のネタになると学んでいます」

今西幸希さん

広報歴は3年。「The most important thing is to enjoy your life – to be happy(=何より大事なのは、人生を楽しむこと、幸せを感じること)」を座右の銘に、プロティアン・キャリア協会・4designs株式会社(プロティアン・キャリア協会/プロティアン・キャリアドック唯一の認定企業)で広報を担当している。

――ご自身の広報活動で大切にしていることを教えてください。

今西
さん
「チームや関わる人への感謝を忘れない」ことです。プレスリリースやSNS運用など広報業務は多岐にわたりますが、どの業務も一人ではできません。情報を提供してくれた人、文章内容を確認してくれた人、発信内容を拡散してくれた人など様々な方の協力があって広報は成り立ちます。関わってくださった方への感謝の気持ちをその都度伝え、良い雰囲気を循環させながら、みんなで前を向けるチーム作りを広報として心がけています。

――お手本にしている企業や広報担当者を教えてください。

今西
さん
レイド株式会社さんです。

――どんな点がご自身の広報活動の参考になっているのでしょうか?

今西
さん
代表の蒲原さん、広報の山口さん、伊藤さんのSNSやnoteの発信から、日々のコミュニケーション・社内イベントなどすべてが発信のネタになるんだなと学んでいます。例えば、SNSの活用では「今日社内のSlackでこんなやりとりがありました」など社内の様子を画像とともにツイートで伝えており、社内文化の醸成・企業ブランディング作りが自然で魅力的だなと思っています。

また、noteの記事が公開になった際の告知文も魅力的。みなさんそれぞれの視点から案内文をツイートしており、普段から信頼関係がしっかりと構築されているんだなと感じています。みなさんの発信が企業イメージの向上につながっているなぁと、自分の業務の学びになっています。

――「レイド株式会社」の広報活動の中で、とくに気になっているものはありますか?

今西
さん
「夏季休暇の制度、自由研究休暇の導入!」「オンライン防災訓練を実施」といった社内制度やイベントレポートなどは、とても参考にしております。会社として大事にしていること、そこから生まれた施策、浸透させるためのイベントなど一つのnoteで物語のように紡がれており、読み終わったあとはレイドさんがさらに好きになっています(笑)。

プロティアン・キャリア協会でも今後noteの発信を始めたいと思っていて、私たちもプレスリリースでは伝えきれない一つ一つの取り組みへの想いやプロセスなどをnoteを通じて、もっと伝えていきたいなと思います。

プロティアン・キャリア協会

「プロティアン・キャリア」とは、ギリシャ神話で、出てくる相手に応じて何にでも変身できる神様プロテウスをメタファーとして、社会の変化に応じて、自分の意思で自由に姿を変え、形成していくキャリアのこと。1976年に、米ボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授が提唱した理論。これを協会の代表理事である田中研之輔(法政大学キャリアデザイン学部教授)が「現代版:プロティアン・キャリア」に深化させ、個人の主体的なキャリア開発を提唱している。この理論はセミナーや講座を通して、協会設立3年で20万人にも導入しており、人的資本最大化を実現する伴走型のキャリア支援を日々提供している。

株式会社IPPO 広報・徳永美沙さん
「株式会社クラスさんの秀逸なプレスリリースは痺れます」

徳永美沙さん

マーケティング部シニアマネージャー。広報歴は3年。高校の同窓会理事を担当し、企画運営力やリーダーシップを発揮する楽しさを覚え、大学では学友会会長・学祭実行委員長を経験。その後、大学中退し上京。リクルートの代理店にて3年間求人広告営業に従事し、2020年4月よりIPPOにジョイン。座右の銘は、「明日には明日の風が吹く」。

――ご自身の広報活動で大切にしていることを教えてください。

徳永
さん
弊社の場合、マーケティングも兼任の広報のためできる範囲が限られることから、本当に今その内容が会社にとって必要なのかを取捨選択するのが大切だと思っています。

私自身、IPPOに入社するまでは広報未経験かつ社内にも広報の知見があるメンバーがいなかったため、入社当初からできるだけ交流会や勉強会に参加するようにしていました。その中で他社の広報さんとお互いに相談することもあるのですが、それがどのように会社にいかせるかを考えるようにしています。

――お手本にしている企業や広報担当者を教えてください。

徳永
さん
株式会社クラスさんです。もちろん、競合企業は常にウォッチしていますが、クラスさんのプレスリリースが秀逸で、とても勉強になっています。

――どんな点がご自身の広報活動の参考になっているのでしょうか?

徳永
さん
プレスリリースの切り口やキーワード選定です。協業や新サービス開始などでもコーポレートビジョンを絡めるだけでなく、検索ボリュームの大きいキーワードを取り入れながらより多くのユーザーに向けて発信されている点です。

――「株式会社クラス」の広報活動の中で、とくに気になっているものはありますか?

徳永
さん
グリーンフライデー(2022年11月25)に合わせて、コーポレートカラーをグリーンに変更されたことです。サステナブルな社会実現を目指していることをプレスリリースやSNSでも発信されていたので、そのイメージはあったのですが、この取り組みでより一層そのイメージが深まりました。時事性のある内容とコーポレートビジョンを掛け合わせることや取り組みの中で、同じベクトルを持った10社での連携は「マネしたい!」と思いました。

株式会社IPPO

スタートアップ・ベンチャー企業に特化し、経営戦略や採用計画を詳細に把握した上でお客さまに最適なオフィス移転の総合コンサルティングをメインに行っている。居抜き移転にもいち早く着目し、居抜き退去の支援から入居時の煩雑な処理までワンセットで支援。また、居抜き移転の入居・退去ができる「ハイッテ」の運営を行う。都心6区の居抜き・セットアップオフィスのみ掲載しており、スタートアップ・ベンチャー企業にぴったりの物件を探すことができる。

株式会社PR Table PR室 室長・久保圭太さん
「ラフールさんの戦略的なメディア露出は、非常に参考になります」

久保圭太さん

アドウェイズでネット広告の営業・人事・広報責任者を経て、2018年よりPR Tableへ。コミュニティ運営やカンファレンス企画などPublic Relationsの探究活動を行いながら、コンサルタントとして導入企業様向けのコンテンツ企画・活用支援に従事。その後、CS組織の立ち上げを経て現職。広報歴は約7年。座右の銘は、「いつも心に、花束を」。

――ご自身の広報活動で大切にしていることを教えてください。

久保
さん
PRの仕事には、「役に立つ」と「意味をつくる」の2つの役割があるということ。例えば、採用や営業リードへと貢献するような記事発信やメディア露出などの獲得は、「役に立つ」仕事として、他チームからもわかりやすく感謝されます。一方で、ビジョン浸透やカルチャーづくり、ブランディングなどの「意味をつくる」仕事は短期的に効果が見えにくく、評価がされづらいが決して力を抜いてはいけない。時間軸が違うが重要な2つの役割を理解したうえで、経営と現場の両方と向き合い、信頼を得ることが大切だと思っています。

――お手本にしている企業や広報担当者を教えてください。

久保
さん
株式会社ラフールさんです。

――どんな点がご自身の広報活動の参考になっているのでしょうか?

久保
さん
メンタルヘルスチェックのサーベイツールを運営するBtoB企業でありながら、「人的資本経営」や「ウェルビーイング」という社会的関心が高いテーマを軸に、セミナーやアワード開催、専門メディアへの寄稿、取引先企業のメディア露出施策など滞りなく施策を展開。企画の作り方やメディアへのアプローチ手法などは、とても参考にさせてもらっています。

――「株式会社ラフール」の広報活動の中で、とくに気になっているものはありますか?

久保
さん
社内の福利厚生「花粉症手当」の戦略的なメディア露出です。花粉症が飛び始める時期にあわせて、経済的損失額や手当の効果などのデータを用いながら、テレビの露出を狙った企画書をつくりアプローチし、広報観点で制度自体への見直しにも介入されました。結果として、テレビやWebなど30媒体以上の露出に繋がり続けているというのをお伺いし、広報の介在価値を最大化していると感じました。

株式会社PR Table

2014年、PR業界出身の兄弟で創業。企業の採用課題を解決するPRプラットフォーム「talentbook」を通じて、これまで累計1,000社以上の大企業・成長企業の情報発信や採用広報の支援をしている。有名ベンチャーキャピタルより、累計11億円強の資金調達を完了。テクノロジーと人の力で笑顔が生まれる“きっかけ”を増やし、「働く人の笑顔が“連鎖する”世界をつくる」をビジョンに掲げている。

株式会社ケップル 冨田悠美さん
「ニットさんの時流を捉えた広報活動は、ぜひマネしたいです」

冨田悠美さん

スポーツメーカーや飲料メーカーなどを経て、2022年6月に株式会社ケップルに入社。広報歴はトータルで10年ほど。現在は自社で運営するスタートアップメディアの編集担当と広報を兼務。座右の銘は、「明日は明日の風が吹く」。その理由は「成功にはおごらず、失敗は引きずらず、常に気持ちを切り替えて、新しい日を迎えたいから」だそう。

――ご自身の広報活動で大切にしていることを教えてください。

冨田
さん
私が最も大切にしているのは、自分自身が自社の1番のファンであることです。心から会社やプロダクト、サービスを好きでいることが、気持ちのこもった広報活動につながると考えています。

また、日頃から社内外のあらゆるステークホルダーと良好な関係を築くことも大切にしています。メディアの方々のみならず、従業員、そのご家族、取引先、顧客のみなさまなど、少しでもケップルに良い印象を持っていただけるよう、誠実なコミュニケーションを心がけています。

――お手本にしている企業や広報担当者を教えてください。

冨田
さん
株式会社ニットさんです。

――どんな点がご自身の広報活動の参考になっているのでしょうか?

冨田
さん
時流を捉えた積極的な広報活動に注目させていただいています。とくに参考にさせていただいているポイントは、世の中のイベントごとに合わせた先手の情報発信で多くのメディア露出獲得されている点や、社内のさまざまな情報をキャッチし積極的なプレスリリース配信を行われている点、社員のみなさんが誠意ある対応でファンを増やされているSNSの活用方法など、例を挙げればキリがありません。ニットさんのメディアのニーズひいてはその先の視聴者や読者のニーズを汲み取ったタイムリーな情報発信は、少しでも見習いたいと思っています。

――「株式会社ニット」の広報活動の中で、とくに気になっているものはありますか?

冨田
さん
「ChatGPT」が話題になると、すぐに活用セミナーを行われた点です。マーケター向け、地方企業向け、就活生向けなど、あらゆる切り口で実施されており、メディア露出につなげられているのは、さすがだなと思いました。まさに時流を捉えた広報活動だと感じています。

私たちケップルは、投資家や起業家の方々向けのBtoBサービスを展開する企業として、未上場株式のセカンダリー取引に特化したファンドの設立など、時代に先駆けてさまざまな事業を手がけています。ニットさんの事例を参考にしつつ、新たな潮流を創り出していけるよう、活動を行ってまいります。

株式会社ケップル

「Create New Industries(世界に新たな産業を)」というミッションを掲げ、スタートアップエコシステムの発展に貢献するためのさまざまな事業を展開。代表的なプロダクトとして、イノベーションを促進するためのスタートアップデータベースや、スタートアップメディア、VC・CVCや事業会社向けの未上場株式投資管理SaaSなどを運営する。また、ファンド決算業務の受託、スタートアップ企業の株価算定、スタートアップの成長を支援するVCの運営など幅広いサービスを提供し、新産業の創出を担うスタートアップが数多く生まれる世界の実現を目指している。

取材・文/おかねチップス編集部

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