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みなし残業って何ですか?意味や種類、導入するときのポイントを解説

みなし残業って何ですか?意味や種類、導入するときのポイントを解説

近年「みなし残業」を制度化する企業が徐々に増えてきています。

しかし、社員に正当な労働の対価を支払うためにも、みなし残業制度については深く知識を身につけなければいけません。

今回は、みなし残業とは一体何なのか、その仕組みやメリット・デメリット、みなし残業制度を導入する注意点を解説します。

みなし残業制度の導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

みなし残業とは

みなし残業とは、あらかじめ残業時間のながさを見積もって残業代を計算する方法を指します。

一般的に残業は、働いた時間に応じてタイムカード等で記録し、そこから残業代を割り出す仕組みです。

しかし、自宅で働くリモートワーク社員や、外回りの多い営業職はその記録付けが難しく、事前に「残業時間はこれくらい」と見積もって給与の一部に加えます。

みなし残業には二種類ある

みなし残業を給与支払いの仕組みに取り入れるには、2種類のみなし残業の算出方法を把握する必要があります。

みなし残業の仕組みは大きく分けると2種類です。

ここでは、みなし残業の2種類の仕組みを解説します。

みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、1日の労働時間の中で「残業時間」にあたる部分を「みなし残業」と設定し残業代として支払う方法です。

例えば、1日7時間の労働時間と就業規則で決まっているのに対し、実際は8時間労働している場合、1時間は「みなし労働時間」として残業代が支払われます。

この仕組みはさらに3つに分けることが可能です。

事業場外労働:リモートワークや営業職など社外で働く労働時間を算出するため利用
専門業務型裁量労働制:労働時間の把握が難しい専門業務の給与を算出するため利用
企画業務型裁量労働制:労働時間の配分を社員個人に任せる場合に利用

仕事内容や企業の労働方針により、労働時間の算出方法や考え方は異なります。

その中から自社に合った運用方法を見つけることが、みなし残業制度を導入する上で大切なことです。

固定残業代制

固定残業代制とは、給与に固定の残業代を含む形で支払う制度です。

例えば基本給が25万円、みなし残業代を月5万円と設定した場合、月々の給与を30万円として毎月支払います。

このとき、実際の労働時間が5万円以下であっても5万円以上であっても、一定の額を支払うため、従業員はより効率的な業務が求められます。

みなし残業のメリットデメリット

みなし残業制度を導入することにはメリット・デメリットが存在します。

ここでは、そのメリット・デメリットをそれぞれご覧ください。

メリット

残業代を計算する時間やコストを削減できる
将来的な人件費の見積もり計算がスムーズになる
社員に安定した給与を支払える
社員の業務効率を上げられる

みなし残業制度を導入すれば、残業代を算出する手間は一気に削減できるため、経理部門の業務効率化を目指せます。

また、人件費の見積もりをはじめ将来的な経理業務の負担も減らせるため、この点もメリットの1つです。

また、みなし残業制度では一定の残業代を支払うことになるため、月々の給与も一定です。

残業時間が超過してもそうでなくても一定の残業代が支払われるため、生活残業を防ぐ上でも役立ちます。

デメリット

みなし残業時間内は退社しづらい雰囲気になる可能性がある
超過分はサービス残業だと思い込む社員が出てくる
実際よりも多い残業代を支払うケースがある

みなし残業時間制を導入すると「みなし残業」に定められた時間は、業務が終わっていても退社しづらい雰囲気になってしまうケースがあります。

また、みなし残業時間から超過した分の残業代は別途支払う規則があるにもかかわらず、超過分は残業代が発生しないと思いサービス残業をしてしまう社員も。

そのため、みなし残業制を導入するのであれば社員へのルールの周知は不可欠です。

また、みなし残業時間を多めに見積もると、時間制で残業代を支払う場合よりも多く残業代を支払うケースも出るため、残業時間を正確に測り設定する必要があります。

みなし残業は違法なの?条件は?

みなし残業と言うと、あまり良いイメージを持たない方も多いかもしれません。

しかし、みなし残業制を取り入れることそのものに違法性はなく、労働基準法の要件を満たせば問題なくこの制度は取り入れられます。

その導入の要件は以下の3つです。

従業員に労働条件やみなし残業時間制について明示している
基本給と残業代を分けて明細に表記・支給している
規定時間の超過分の差額は支払っている

以上3つの要件を満たせば、いずれの会社もみなし残業制を導入できます。

労働基準法に則り、正しい手順でみなし残業時間制を導入しましょう。

みなし残業を導入する際の注意点

みなし残業を導入することには注意点が存在します。

ここでは、みなし残業導入の注意点を2つご覧ください。

就業規則などにみなし残業制度について明示する

みなし残業制度は社員に明示しなくては違法性が問われます。

中でも正しく明示しておきたいのが、就業規則・雇用契約書・求人募集の3つです。

この3つに記載がないと、違法性が問われる可能性があるため、必ず明記しましょう。

また、同時に社員に規則について正しく説明し、超過分のサービス残業を防ぐなど社員への制度の浸透を促すことも忘れてはいけません。

従業員の実際の労働時間を正しく把握・管理する

従業員の実際の労働時間を正しく把握しなくては、みなし残業制度を導入しても毎回ほとんどの社員がみなし残業時間を超過したり、大きく下回る可能性があります。

そこで、導入する際は従業員が実際にどれくらい残業時間を費やしているのか、正しく把握・管理しましょう。

また、規定の労働時間を著しく超過しているのであれば、みなし残業制の導入とともに、業務効率化についても考えることが大切です。

みなし残業の上限と未払いに注意して導入検討していこう

みなし残業制に違法性はなく、むしろ業務効率化においてさまざまなメリットがあります。

しかし、社員の労働時間を正しく把握しなくては、メリットを上手く取り入れられないため、正しい労働管理もみなし残業時間制を導入する上での課題の1つです。

最後に、みなし残業制を導入するポイントをまとめます。

みなし残業は2種類の仕組みから自社に合った制度を選ぶ必要がある
みなし残業を導入する際は社員に規則を明示し正しく周知しなくてはならない
みなし残業導入に合わせて、社員の労働時間や業務を正しく把握・管理する

みなし残業時間制を上手く導入すれば、従業員・管理部門ともに労働環境を大きく改善することに繋がるでしょう。

社員の労働時間の見直しを検討している方は、ぜひみなし労働時間制も選択肢の1つとして考えてみてください。

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