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うぶごえ副社長・峠玲奈が掲げるクラウドファンディングのネクストステージ

うぶごえ副社長・峠玲奈が掲げるクラウドファンディングのネクストステージ

次世代を担う新しい職業を生業としている方々へのインタビュー企画「シゴトとワタシ」。今回ご登場いただくのは、クラウドファンディングサービス「うぶごえ」を手がけるうぶごえ株式会社で代表取締役副社長を務める峠玲奈さんです。

日本初のクラウドファンディングサービスが誕生して今年で10年。数々のサービスが乱立する時代を超え、成熟期を迎えたように思えるクラウドファンディング市場ですが、「うぶごえ」が誕生したのは今から1年前の2020年9月のことでした。同サービスは業界初となる掲載手数料0円を掲げて大きく躍進。購入総額が億を超えるプロジェクトもあり、その勢いをさらに加速させています。

しかし、なぜこのタイミングでクラウドファンディング市場に参入しようと考えたのでしょうか。その思惑について峠さんに伺いました。

クラウドファンディングは魔法の杖じゃない。だからこそ、やる意義もある

ーーSKY-HIさんが手がける「THE FIRST」のプロジェクトの購入総額が4億円を突破しました。

峠:おかげさまで。私たちとしても、これだけの金額になるとは思っていなかったので、とても驚いています。

ーー想定外でしたか?

峠:目標金額である1億円は当然目指していましたが、まさかここまで大きな反響をいただけるとは想定していませんでした。本当に幅広い年代の方が応援してくださっていて、それが大きなうねりになっているのだと感じ、THE FIRSTの広がりの大きさを実感しています。

「THE FIRST」のプロジェクトは、2021年10月22日の時点で目標金額を大きく超える4億円以上の購入総額が集まっている。応募締切は2021年10月30日まで、応募はコチラ

ーーうぶこえには、この「THE FIRST」以外にも目標金額を大きく超える購入を受けているプロジェクトが数多く存在しますよね。後発のクラウドファンディングながら、ここまでの反響を呼ぶことができている要因をどのように分析していますか?

峠:ひとつ考えられるのは、うぶごえでは一つひとつのプロジェクトに対して「なぜクラウドファンディングをやるのか?」という根本的な部分からヒアリングをして、応募期間が終了したあとも伴走していることでしょうか。それだけひとつずつのプロジェクトにコミットしているので、審査基準も厳しくしています。反社チェックはもちろん、景表法や薬機法などの観点からも考察して、場合によってはお断りすることもありますね。

ーー必要事項だけ記入してあとは勝手に掲載してください、ということではないわけですね。

峠:そうですね。事業そのものを一緒に考えさせていただいたり、そこからのPRプランをご提案させていただくケースもあります。

峠さんは、バックオフィスの基盤づくりやアーティストのマネジメントなどを行なってきた経歴を持つ

ーー峠さんが担当されたプロジェクトのなかで特に印象に残っているものはありますか?

峠:アマングループ「アマネム」で統括料理長を務めた稲葉正信さんがオープンした「銀座稲葉」のプロジェクトですね。ヒアリングからスタートして、返礼品の内容やメッセージの出し方などについて稲葉さんのもとに何度も足を運びながら決めていったのですが、結果的に目標金額だった200万円をはるかに超える2000万円ほどのお金が集まりました。うぶごえが生まれて間もない頃で実績もほとんどない状態にもかかわらず、オーナーのMUGEN内山正宏社長が私たちを信じてプロジェクトを立ち上げてくださったので、大きな成果を出すことができてすごく嬉しかったです。

目標金額から1000%を超える購入総額を得るに至った「銀座稲葉」のプロジェクト。クラウドファンディングの可能性を感じることができる事例になった

ーークラウドファンディングというと、もともとファンがいるアーティストのような著名人が強いイメージがあるのですが、一般人でも一攫千金を狙えるものなのでしょうか?

峠:うーん、そもそもクラウドファンディングは一攫千金を狙える魔法の杖ではないんですよね。誰もが目標金額を達成できるわけではないですし、何より人に注目してもらうのは本当に大変です。でも、その分だけ熱量のあるファンを作ることができるかもしれない。だからこそ、挑戦してみる価値があると思うんです。ただ、大きな成果を得るためにはそれなりの知識や努力が必要で。たとえば、知人一人ひとりに購入を呼びかけたり、何度も何度もSNSで発信をしたり。そういう地味な活動を続けていると少しずつ影響の波が広がっていって、最終的に大きな結果に繋がることになるんです。

うぶごえがこだわる手数料0円の美学

ーークラウドファンディングというビジネス自体、プレイヤーが出揃っていてレッドオーシャンの様相を呈している印象があるのですが、勝ち筋は残っているのでしょうか?

峠:私たち自身はあると踏んでいます。うぶごえが強いジャンルはエンタメ・飲食なのですが、まだまだクラウドファンディングでやれることばかりだと思っています。またクラウドファンディングで大きな取り組みができていない業界・業態があると感じていて、そこへどんどんアプローチをしていくことで新しい市場を創出できると考えています。 

ーー掲載者は掲載料や成功報酬などの手数料が0円で、調達金額を100%活用できるのも特徴のひとつですよね。どうしてそういったモデルを採用したんですか?

峠:そもそも購入者は、自分の出したお金の10~20%程度が、プラットフォームに手数料として渡っているという認識すら薄いのでは? と感じています。掲載者が全額を受け取れないことに、割り切れない思いを感じている人もいるはず。​​たとえば、なんとか頑張って1000万円を集めたとしても手数料が引かれると考えたら、その金額って小さくはないじゃないですか。だったら0%にしてみたらどうだろう、と考えました。また、コロナの影響を受けた人向けにサービスを打ち出しているプラットフォームは多いのですが、コロナの影響を受けていない人なんていないですよね。一部を除けば、ほとんどの人が何らかのマイナスな影響を受けていると思います。だからこそ、私たちが「この業界は困ってるよね、この業界は大丈夫だよね」と最初から決めつけないで、全企業・全個人に対して掲載料や成功報酬などの手数料が0円、ということをやりたかったんです。代わりに購入者さまからお返しの5%+システム手数料330円をいただく形を取っています。

ユーザーファーストを徹底的に追求したクラウドファンディングサービスを目指したいと語る峠さん

ーーちなみにオンラインサロンのようなサービスをスピンオフとして手がける予定はありますか?

峠:それはないですね。コミュニティの運営にはクラウドファンディングとは別のノウハウが必要になってくるので。

ーーそうするとプロジェクトの数を増やしていくことで利益増を目指すことになると思うのですが、具体的に何か考えていることがあるのでしょうか?

峠:数を増やすだけではなく、プロジェクトの質を高めることも重視していますし、今後は10億円規模のプロジェクトにも取り組んでいきます。

現状で実現できていることはまだほんのひと握り。クラウドファンディングの可能性をもっと広げていきたいと峠さんは語る

40代、50代になっても活躍できるスタートアップでありたい

ーー峠さん自身のことも伺いたいと思います。取締役として企業に関わるのがはじめてだということですが、どうしてボーディングメンバーとして参画しようと考えたのでしょうか?

峠:誘われたときは戸惑いました。私自身もともとはバックオフィスでみんなを支えたい人間で、経営側にまわりたいと考えるタイプではないので。クラウドファンディングに関しても、プロジェクトを掲載する側として一度だけ挑戦したことはありましたが、クラウドファンディングの運営側にまわることは考えてみたこともありませんでした。代表の岡田とは、私がアーティストのマネージメントの仕事をしていたときに一緒に仕事をしていたことがあったんですね。そのときに岡田からうぶごえの構想について話を聞いているうちに、組織に足りない部分を私が補うことができる気がしたんです。あと、これまでは上司の指示に従って行動することが多かったんですけど、経営陣になれば自分の理想とする組織を自分で作っていける。それで挑戦してみることにしました。

ーー峠さんにしかできないことがあるので副社長に就任したとおっしゃいましたが、具体的にどういうことに取り組みたいですか?

峠:たとえば、ベンチャー企業って長く働く場所じゃないというイメージがあって。みんな3年とか、長くて5年くらいで転職していくじゃないですか。でも、本当は10年でも20年でも働いていいし、働きたいと思える場所にしないといけないと思うんです。 

ーー終身雇用の再定義をするようなイメージでしょうか。

峠:人にはいろいろなライフステージがあると思うのですが、いくつになっても活躍し続けられる場所があると良いな、と思うようになってきました。その点で言うと、うぶごえでは40代や50代の採用に力を入れています。というのも、クラウドファンディングは多様なプロジェクトがあるので、経験が豊富なほど企画づくりに役立つんですよ。年齢を重ねれば重ねるほど転職しづらくなると思うんですけど、何歳になってもチャレンジしたいと考える人たちが安心して働けるように体制を整えていきたいと考えています。今後はシルバー採用も積極的に取り組んでいきたいですね。

「子供がいらして働く時間が限られる方にもうぶごえで活躍してもらいたいんですよね」と峠さん

ーー最後の質問です。峠さんが自分でプロジェクトを立ち上げるとしたら、どんなことに挑みたいですか?

峠:自分がやるとしたら……廃盤になってしまったゲームを復刻させたり、日本で発売されていない海外のゲームをローカライズさせたりしたいですね。私、洋ゲーにのめりこみすぎて、やばいくらい好きなんですけど、日本未発売の作品や字幕オンリーなものも多くて、コスト面や権利の問題とかでプレイできない作品がたくさんあるのが悲しくて。そういう個人の力ではどうすることもできない物事でも、みんなでお金を出し合うことで解決できるのもクラウドファンディングの魅力なので、もっとさまざまなプロジェクトを提案できるようになりたいと思います。

峠 玲奈(とうげ れいな)

うぶごえ株式会社 代表取締役副社長
2011年に株式会社gloops入社。スタートアップの人事総務で組織が3〜4倍に急成長するのを支えつつ、広報として自身がインフルエンサーとして活動。2017年からは株式会社Candeeでアニソンシンガーや女優、生配信者などのマネージャーを務める。2018年、株式会社エブリーで総務の立ち上げ、労働環境の改善に務めた。2020年9月より現職。

うぶごえ:https://ubgoe.com/
峠さんのTwitter:https://twitter.com/toge_yay

撮影:小財美香子
取材・文:村上広大

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