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青木真也が訊く、「DDTとNOAHのM&Aから産まれた”CyberFight”が創るプロレスとコンテンツビジネスの未来」高木三四郎・武田有弘・青木真也、変則3WAY対談「THE MATCH」

青木真也が訊く、「DDTとNOAHのM&Aから産まれた”CyberFight”が創るプロレスとコンテンツビジネスの未来」高木三四郎・武田有弘・青木真也、変則3WAY対談「THE MATCH」

「THE MATCH」は、世間を賑わせるビジネスやお金にまつわる話題をテーマに毎回ゲストインタビュアーをお招きし、対談形式(対決形式)で語り合うコーナーです。

第1回はDDTプロレス設立者であり、現CyberFight社長の高木三四郎社長と、プロレスリング・ノアの元社長であり現CyberFight取締役・武田有弘氏の対談。そこに現役格闘家であり、DDTのプロレスラーでもある青木真也選手がスペシャルゲストインタビュアーとなって話を聞きます。

DDTとプロレスリング・ノアというインディーとメジャーの団体にまつわるお金や運営・経営の話。また、買収、合併を経た団体の今と今後のプロレスのあり方やコンテンツビジネスの行末を忌憚なく語り合っていただきます。

プロレス界をよくしていきたいだけ

青木
さん
今日はよろしくお願いします!
高木
さん
お願いします!
武田
さん
お願いします!
青木
さん
いきなりの本題ですが、プロレス団体を経営するうえで資本の大きさって重要ですか?
高木
さん
そうですね。2010年頃にDDTプロレスが一気に盛り上がった時期があったんですけど、その数年後くらいに新日本プロレスがブシロード体制(※2012年にブシロードが新日本プロレスの全株式を保有して子会社化)に移行して演出が華やかになったんです。
青木
さん
いろんなものにお金をかけていましたよね。
高木
さん
それでもDDTはアイデア勝負でやっていましたが、新日本プロレスを追い越すには100年くらいかかるのではないかなと思ったんです。

どうにもこうにも太刀打ちできない。その頃からプロレスというコンテンツに価値を見出してくれる企業のグループに入れないかと考えていました。世間からの信用も全然違いますし。
青木
さん
それで縁があって2017年にサイバーエージェントグループに参画した、と。ノアはその数年後の参画でしたよね?
武田
さん
3年後の2020年ですね。
青木
さん
それはどういった経緯で?
武田
さん
いろいろあってノアをメジャー団体として存続させられるかの瀬戸際に追い込まれてしまったんですね。

でも、自分のなかで規模を縮小していく選択肢はなかった。だから、メジャー団体を存続できる体制をなんとか構築したいと考えていました。
高木
さん
その話を武田さんから聞いたときに「ノアのCAグループ入りを藤田社長に聞いてみましょうか?」と迷うことなく話したんです。僕自身、藤田社長が快く引き受けてくださったから今のDDTがあるという思いが強かったので。
青木
さん
高木社長がノアの代表になることに対して、アレルギーや違和感はありませんでしたか?
武田
さん
それはまったくなかったですね。
高木
さん
変な話、僕はノアの代表をやりたいわけではないんですよ。プロレス界をよくしていきたいだけ。だから、やってもらえるなら武田さんにぜひお願いしたいと思っています。ただ、そうすると管理コストがかかってしまうので、僕が代表を務めている。それだけなんです。実際、ノアについては数字しか見ていないので、何か発表があっても直前まで知らないことも多いんです。

DDTは「何だ、この野郎」という反骨心が原動力になっている

青木
さん
DDTって動画配信サービスの「WRESTLE UNIVERSE」(レッスルユニバース)でしか観られないじゃないですか。一方のノアは「ABEMA」でも放送している。これは戦略的な意図があるんですか?
高木
さん
ノアのほうが広く観られるべきだろうなと。その点、ABEMAの格闘チャンネルってすごく強いじゃないですか。プロレス・格闘技を配信しているメディアの中でもっとも影響力のあるメディアだと思います。

しかも、それが同じグループにある。この強みを活かさない手はないですよね。
青木
さん
選手としては、どれだけ露出があるのかも重要な要素になると思うんです。そういう意味では、DDTとノアで差がついていくことに対してリスクを感じることはないんですか?
高木
さん
けっこういろんなところで聞かれるんですけど、DDTって反発する気持ちがないとダメな気がしていて。

新日本プロレスやノアに対して「何だ、この野郎」という反骨心が原動力になるというか。僕自身、そうやって鼓舞している自覚があります。
青木
さん
「もっと露出したい!」という選手が現れたらどうしますか?
高木
さん
それは応援しますよ。DDTに所属している竹下幸之介選手がAEW(※アメリカのプロレス団体。オール・エリート・レスリングの略)の試合に出場したいと言ったときも後押ししましたし。

現地でいろんなことを経験して吸収し、太って帰って来ればいいじゃんって。ただ、DDTもABEMAに露出しないわけではないので。電流爆破みたいなバラエティ性が強いものは放送してもいいと思っています。
武田
さん
両方に力を入れていますからね。ABEMAも力を入れていますし、WRESTLE UNIVERSEにも力を入れています。
高木
さん
結局のところ接触回数をどうやって増やしていくのかの話だと思うんですね。DDTはYouTubeでも配信しているんですけど、それはWRESTLE UNIVERSEの会員数を伸ばすために取り組んでいることですし。
武田
さん
それが順調にいけばDDTに所属している選手も自ずと評価されると思います。
本取材が行われた後、AEWにDDTの選手が挑戦していくことが発表された
青木
さん
無料でどこまで見せるかという感覚って時代とともに変化していますか?
高木
さん
海外だと、ケーブルテレビで無料のコンテンツを見せて、月1回のPPV(※ペイ・パー・ビューの略。視聴ごとにお金を払う仕組み)で稼ぐのがスタンダードになっています。それがうちだとABEMAやYouTubeで無料で見せて、WRESTLE UNIVERSEで稼ぐスタイルになっています。
青木
さん
数字的な話だと、コロナのことは避けて通れないと思うのですが、何か影響はありましたか?
高木
さん
実はWRESTLE UNIVERSE の登録者数が4倍以上増えたんですよ。2020年の3月に配信した潮崎豪選手VS藤田和之選手の試合で飛躍的に増えて。あれには驚きましたね。
武田
さん
30分睨みあった試合ですね。
青木
さん
あれにはドキドキしました。キテレツな感じでしたよね。
高木
さん
やられたという感情になりました。
青木
さん
なんとなくですけど、無観客試合だったから起きたことなのかなと思います。人がいる状況だったら、もっといろんな動きがあったんじゃないかなと。
高木
さん
そうかもしれないですね。そういう意味でも、あの試合の展開は間違っていなかったと思います。
青木
さん
一方で、配信がないプロレスの存在価値が問われている気がします。コロナ禍だと余計に。
青木
さん
ぶっちゃけた話、プロレスのPPVって稼げるんですか? 
武田
さん
スカパー時代はすごく稼いでいたんですよ。その全盛期より今は全然ですが、近いうちに必ず超えます
青木
さん
格闘技のPPVは選手によって売れる売れないがはっきりしている気がするんですけど、プロレスはどうなんですか?
武田
さん
格闘技はメイン勝負な部分が強い事が多々あるジャンルですが、プロレスはそういう売れ方はしないですね。ストーリーがあるのが魅力なので、短くて1年、長くて5年は見ないといけない。その難しさはあると思います。
2022年3月26日に青木真也選手が出場する『ONE X』での青木真也 VS 秋山成勲もPPVで行われる
青木
さん
格闘技は点だけど、プロレスは線で見ないと面白さが半減するっていうことですよね。その伝え方ってどうしているんですか?
高木
さん
かつてだったら、国技館でのタイトルマッチに向けて地方巡業をして、それをスポーツ新聞やプロレス雑誌が追いかけて記事にしていたんですけど、そのモデルが崩壊しているのが今だと思うんです。

だから、最近だとスパンを短くしたり、クライマックスから先に見せたりといった変化がありますね。
青木
さん
日本だとそういうものがウケるようになっている、と。自分自身、長尺のものを見るのが割としんどいことがあるので、その変化は理解できます。そうした反応は海外だとまた違いますか?
高木
さん
タフな試合が評価される傾向が強い気がします。最近だと中嶋勝彦選手と拳王選手が60分試合をしたんですけど、そういうものって海外だとあんまりないらしくて。
武田
さん
タフマッチみたいなものは、ファンからしたらすごいものを見た感覚になるんでしょうね。
青木
さん
 シリアスな試合が好まれる?
武田
さん
そうですね。
青木
さん
東京女子プロレスってどういう位置づけなんですか? 調子はよさそうですが。
高木
さん
女子プロレスは成長産業ですね。昨年の『CyberFight Fes』以降で注目度が格段に上がり、週刊プロレスの表紙を度々飾るようになっています。また、旗揚げから9年目にして両国国技館にも初進出を果たしました。

ようやくここまで辿り着くことができましたが、実は武藤(敬司)さんが「女子プロレスをやりたい」って過去に言っていたんですよ。あの武藤敬司が。それで理由を聞いたら「男よりも感情が出るじゃん」と言っていて。確かにそうなんですよ。
青木
さん
高木さんは選手でもあるわけじゃないですか。人よりも多くの試合を観ていると思うのですが、目が肥えてくると女子プロレスの試合は迫力が足りないと思うことはないんですか?
高木
さん
なんだろう、楽しむものが違うというか。感情をストレートに出すんですよね。この選手は本当に相手のことが嫌いなんだなってことがわかる。だから、男性以上にヒリヒリ感が伝わってきて、観る側としても感情移入しやすいんだと思います。
青木
さん
確かに女性のほうが揉めている感じがダイレクトに伝わってくる感じはありますよね。

ノアを世界中のレスラーが憧れる団体に

青木
さん
DDTはインディー、ノアはメジャー、という認識があるのですが、その2つが現在はCyberFightという同じ運営元になっているわけじゃないですか。そうなってくると、プロレス団体におけるインディーとメジャーの違いってどこでつければいいのでしょうか?
高木
さん
その差は説明が難しいところがありますよね。
武田
さん
なんとなくですけど、新日本プロレスと同じ構造だったらメジャーなのかなと思います。所属する選手・レフェリー・社員がいて、道場やリング、さらにはトラックやバスも所有している感じというか。組織的な運営ができているじゃないですか。とはいえ、DDTが組織的じゃないかと言われたら組織的でしょうし、難しい話ですね。
高木
さん
でも、僕はDDTのことをメジャーだと考えていないですよ。嘘でもインディーと言い続けたい。それは精神的な意味合いもあって。豊かになってはいけない気持ちがあるというか。
青木
さん
ちなみにDDTとノアの間で選手の異動はありますか?
高木
さん
基本的には選手の自己判断に任せたいと考えています。
青木
さん
そもそも所属になるメリット・デメリットはあるんですか?
武田
さん
DDTはフリーとか他ジャンルの方を招いていますが、ノアは所属している選手が中心になっています。
高木
さん
僕は日本的な「所属」ってあんまり好きではないんですよ。このことについては、武田さんと考え方が違うと思います。
青木
さん
それはどういう違いが?
高木
さん
プロレスラーは個人事業主だと思っています。ただ、興行的なことを考えたら才能のある選手をつなぎとめておきたい気持ちも理解できるし、だから実態として年俸を払って契約していると思うのですが、全員が全員それをしてしまうのも違うかな、と。

でも、それくらいカラーが違うほうが面白くないですか? その考えでDDTは25年間やってきたわけですし、そんなに間違ってはいないはず。
青木
さん
そうですね。
高木
さん
いずれにせよ、CyberFightは興行会社としてきちんとしないといけないし、DDTもノアもそれぞれに間口を広げていく必要があるのかなと思います。
青木
さん
高木さんはCyberFightで今後どんなことを実現したいと考えていますか?
高木
さん
プロレス・格闘技問わず、幅広く取り組んでいきたいですよね。そのうえで収益をきちんと出せる体制を構築したいと考えています。その要がWRESTLE UNIVERSEです。あとは、全部を見渡せる経営者がいたらいいなと。
青木
さん
高木社長が現役を退いて経営に専念する可能性もありますか?
高木
さん
どうなんでしょう。試合がストレス発散になっている側面もありますからね(笑)。
青木
さん
DDTとノアがタッグを組んで取り組むことも増えていく予定ですか?
高木
さん
その時々に応じてなのかなと思います。去年開催した『CyberFight Festival 2021』ではDDTとノアの対抗戦もあったわけですから、可能性はゼロではない。それぞれの魅力が発揮されるようなタイミングがあれば、挑戦してみたいです。

現時点で言えることは少ないですが、CyberFightの各団体のトップ選手が集うのはもちろん、演出面を豪華にしていきたいと考えています。
 青木
さん
では、団体としてはどのポジションを目指していくんですか?
武田
さん
ノアは新日本プロレスに並ぶ業界2大メジャーを目指しています最終的には、世界中のレスラーが憧れる団体 になるのが目標です。サイバーエージェントグループに参画したわけですから、それはもう使命みたいなものですよね。
高木
さん
ノアはそうなるよね。DDTはもっとバラエティに富んだ感じがいいかなと考えています。たとえば、芸能人の方にリングに上がってもらうとか。その交渉がいちばん難航するんですけどね(笑)。
青木
さん
そこは頑張ってもらわないと(笑)。ということで、時間が来てしまったので、そろそろ終わりにしたいと思います。本日はありがとうございました!
高木
さん
ありがとうございました!
武田
さん
ありがとうございました!

高木三四郎(たかぎ・さんしろう)

株式会社CyberFight代表取締役社長
1970年1月13日生まれ。大阪府豊中市出身。株式会社CyberFight代表取締役社長であり、現役プロレスラー。文化系と言われるエンタメ性の高い興行で日本武道館や両国国技館での大会を成功させアイデアマンとして有名。2017年9月、サイバーエージェントグループに参画。2020年にプロレスリング・ノアがサイバーエージェントグループ入りしたことを皮切りにDDTプロレスリングおよびプロレスリング・ノアとDDTフーズの3社を経営統合。株式会社CyberFightとして興行・サービスの拡充に取り組んでいる。また、2022年2月にはプロレス動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」のアプリを提供開始。2022年6月には4団体合同興行の「CyberFight Festival 2022」をさいたまスーパーアリーナで開催する。

WRESTLE UNIVERSEのWebサイト:https://www.wrestle-universe.com/
高木三四郎さんのTwitterアカウント:https://twitter.com/t346fir

武田有弘(たけだ・なりひろ)

株式会社CyberFight取締役
1971年11月13日生まれ、大分県出身。新日本プロレスや全日本プロレス、武藤敬司選手が立ち上げたレッスル・ワンの運営など、長年プロレス団体の運営に関わっている。2019年にはノア・グローバルエンタテインメントの社長に就任。2020年よりCyberFight取締役。

武田有弘さんのTwitterアカウント:https://twitter.com/Ntakeda1113

青木真也(あおき・しんや)

格闘家
1983年5月9日生まれ。静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に、柔道から総合格闘技に転身。大学卒業後に静岡県警に就職するが、2カ月で退職して再び総合格闘家に復帰。「DREAM」「ONE FC」で世界ライト級王者に輝く。2022年3月26日にシンガポールで行われるONE10周年記念大会『ONE X』で秋山成勲とのレジェンド対決を控える。

青木真也さんのTwitter:https://twitter.com/a_ok_i
青木真也さんのnote:https://note.com/a_ok_i/

イベント情報

◼︎ CyberFight イベント情報

CyberFight Festival 2022

日時:2022年6月12日(日)開場 12:00 開始 14:00


◼︎青木真也選手 出場大会

ONE X

日時:3月26日(土) 14:00開始(日本時間)

対戦カードはコチラ


14:00〜 ONE X:第1部

18:00〜 ONE X:第2部

21:00〜 ONE X:グランド・フィナーレ

※青木真也選手はグランド・フィナーレの第3試合に出場予定

撮影/酒井恭伸
取材・文/村上広大

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