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音楽業界を根本から変える。「BE:FIRST」プロデューサー・日高光啓がつむぎ出す、新しい日本のエンタメ【後編】改革を続けるため、再びオーディションを始動!?

音楽業界を根本から変える。「BE:FIRST」プロデューサー・日高光啓がつむぎ出す、新しい日本のエンタメ【後編】改革を続けるため、再びオーディションを始動!?

2020年に株式会社BMSGを設立し、1億円以上の多額の私財を投じたボーイズグループ発掘オーディション「THE FIRST」で世間の注目を集めた日高光啓さん。「SKY-HI」名義でアーティストやラッパーとして第一線で活躍される中、THE FIRSTで発掘したメンバーで結成したダンス&ボーカルユニット「BE:FIRST」でムーブメントを起こすなど、経営者やプロデューサーとしてすでにその手腕を発揮しています。後編では、BMSGの代表としての社員雇用についての考え方、クラウドファンディング挑戦への理由などを伺いました。

アーティストや社員に対しての、経営者としての覚悟

2021年9月18日に1周年を迎えたBMSG 。「BE:FIRST」のメンバーや研修生らが所属する

――「BE:FIRST」のクリエィティブディレクターや、A&R(Artist & Repertoire:レコード会社の宣伝業務などにも幅広く携わるポジション)のような方は、BMSGにいらっしゃるのでしょうか?

日高さん:韓国のヒップホップに精通されている鳥居咲子さんに、クリエイティブディレクターとして参画していただいています。咲子さんは大手企業に勤めていましたが、音楽好きが興じて、K-POP、そしてK-HIPHOP に惹かれ、韓国のヒップホップを取り扱うメディアで韓国アーティストの日本での活動の誘致などをされていた方です。

「THE FIRST」でやりたいことや問題意識の話をしていたときに共感することが多く、BMSGへのジョインをお願いしました。韓国音楽カルチャーの評論では第一人者だと思いますが、アーティストのクリエイティブディレクター的な立ち位置でお仕事をされるのは初めてだと伺っています。

――ご一緒にお仕事をされてみて、いかがですか?

日高さん:本当に才能のある方ですね。韓国語と英語も話せて情報共有も丁寧。社会人としてのスキルも高く、それ以上に審美眼がすごく優れていらっしゃる。K-POPの韓国本国でのあり方、そしてK-POPを日本に持ち込んだ際のローカライズでの表現のブレ問題なども、きちんと言語化できるような優秀な方です。

いま、BE:FIRSTやTHE FIRSTの基盤となるシステムの構築は、実際に鳥居さんにだいぶ助けられてますね。自分がやりたいことがあったときなどに、鳥居さんと話すことで頭の中を整理でき、アイデアを具現化できたりすることが多いです。自分1人だったら途中で折れていたり、妥協していた可能性もありますし、そういった意味ではBMSGの根幹を担っていただいています。

――鳥居さんはBMSGの正社員なんですか?

日高さん:咲子さんは、BMSGの最初の正社員です。もともと業務委託でお願いしていたのですが、途中から『正社員でお願いします』とお願いしたんです。お互いにとっても覚悟がいることだと思いますが、「日本の音楽業界を変えるんだ」という気持ちで、この先も一緒に歩んで行くことを決めました。

BMSGのスローガンは「才能を殺さないために」。日高さんの熱い思いが込められている

――現在、BMSGの正社員は何名ほどいらっしゃるのですか?

日高さん:社員契約をしている方は5、6人です。会社全体としては、アルバイトと業務委託の方を入れて20人いないくらいですね。

――今後、正社員を増やしてきたいという考えはあるんですか?

日高さん:そうですね。僕らの会社のためにたくさん頑張っていただいている人に対して、契約社員やアルバイトで長々とお願いするのは不誠実だと思うので、ある程度ご一緒していただく方には将来的に正社員契約をさせていただきたいですね。もちろん、慎重になるべきところはありますし、変わらずに委託させていただく個人や業者もいると思いますが。

――なるほど。日高さんが正社員を雇うことは、いま掲げているビジョンを一過性のもので終わらせず、その情熱を絶やさずにずっと戦い続けていくという約束にもなりそうですね。

日高さん:それはもう、THE FIRST の放送が始まった4月に腹をくくりました。そうやって社員やスタッフと一緒に走ることで、みんなで幸せの感度を上げていきたいですね。近くにいる社員やスタッフが幸せでいてくれなきゃ、自分も幸せじゃないので。

――会社設立して変わったのは、そういう経営者としの覚悟の部分ですか?

日高さん:覚悟や責任であるのは間違いありません。だけど僕自身、与えてもらったものも結構あって。自分に誰かを救える可能性があるとは思っていましたが、実際にTHE FIRSTでメンバーたちと合宿で生活を共にし、絆や信頼関係が生まれた瞬間のこの上ないたぎり、そしてみんなで幸せになる以外の未来しか見えないという高揚感がすごくありました。だからBE:FIRSTから、BMSGに所属を決めてくれた研修生、次に輩出するグループまで、面倒を見る覚悟はもちろんできています。逆に、僕の目が届くよう、メンバーを増やしすぎないつもりでもありますね。

――そうなんですね。今後より会社を大きくし、メジャーレーベルになりたいという思いはありますか?

日高さん:メジャーレーベルになりたいとは、あまり思わないですね。もしかしたら、僕たちと同じようなことを考えて立ち上がる、新興のマネージメント会社や新たなレーベルが出てきたとき、新しいメジャーレーベルとしてそこと並び称されることは、5年先の未来に起こり得るかもしれません。ただ、従来のメジャーレーベルと呼ばれている会社のようなシステムやチームをつくろうとは思ってないです。

――ベンチマークしている会社はあったりしますか?

日高さん:実は、LDHさんの活動や功績に、すごくシンパシーを感じることが多くて。クリエイションそのものはBMSGの表現とは異なるので意外に思われそうですが、アーティストのことを考えて個々に道を用意し、事業を進めていくところは大変リスペクトしていますし、共感もしています。

アーティストの権利を極力他社に渡さず、上場もせず自分たちで資金をプールしていき、グローバルに展開していく。そういった取り組みやビジョンは素敵ですし、近年は社会貢献もされていて、その仕方も会社として美しい。僕は素晴らしい会社だなと思っています。

クラウドファンディングで調達する4億円の使い方は?

「うぶごえ」のクラウドファンディングでは、目標金額の1億円をはるかに超え、すでに4億円以上の金額を集めている(10月28日現在)

――BE:FIRSTの運用のため、「うぶごえ」でクラウドファンディングに挑戦し、現時点では1億円の目標金額をはるかに超える4億円という金額が集まっていますね。なぜ、クラウドファンディングという方法をチョイスされたのでしょうか?

日高さん:理由はいっぱいありますね。まずクラウドファンディングに挑んだのは、会社の体力的に考えても、その必要性が大いにあったというのが一番ですかね。

――今回、BMSGが挑戦するクラウドファンディングは、従来のクラウドファンディングとも、ファンクラブの特典とも違う気がして。どういうスタンスで取り組まれているのか気になります。

日高さん:実は、最初はクラウドファンディングと言わず、グッズ販売と言い切ろうという話もありました。ですが、運営資金をいまのタイミングで集めることの本質を考えると、クラウドファンディングとしっかりと明言しないといけないと思って。つまり、本質がアーティストへの投資や応援=クラウドファンディングなので、それをグッズ販売として言葉を濁すと、BMSGが大事にしている“想いの純度”も濁ってしまう。だから、そこは明確にした方がいいと思ったんです。グッズ販売に近い形だけどクラウドファンディングと言うし、クラウドファンディングと言ったからにはクラウドファンディングらしい、応援や気持ちをお金に変えるコースも用意した方がいいと思い、そういう立て付けのプロジェクトにしました。

――なるほど。BMSGのファンの方は、クラウドファンディングでBMSGの未来に投資することで、いっそうファン度が増しそうですね。一方で、そのクオリティに対してより期待値が上がって、ファンから厳しい目で見られる可能性もある気がします……。

日高さん:そうですね。 投資していただくことで自分ごと化しやすくなるので、熱狂は生まれやすくなりますね。でも批判の対象になる危機感は、そこまで感じていません。というのも今回、前向きな気持ちで支援してくださった方々には、何にも邪魔されずやりたいことをやってほしいと支援してくれている方が圧倒的に多く、その熱量も高いようにも感じています。だから、周りの目は気にならないですし、本当にかっこいいと思うものを突き詰めてクリエイティブを創出することは担保できます。そこに対しての不安はないですし、むしろ早く世の中に出したいと思うくらい、最高にいいものをつくっていける自信があります。

日高さんが送り出すBMSGのクリエイションに期待が集まる

――なぜ、うぶごえを選んだのでしょうか?

日高さん:代表の岡田さんと関係値があったのは大きいですね。クラウドファンディングでは僕らを信用していただき、賛同してくださった方に先に金を出資してもらいますが、BMSGのリソースや知見だけで対応できるのであれば、極端な話、一番条件のいいプラットホームを選べばいいだけの話。

手数料という条件面でもうぶごえが一番よかったですが、ただそれだけではありません。何か問題が起きたときに、「そこはBMSGさんの範疇なんで、うちは関知しない」みたいな対応をプラットフォーマーからされた場合を考えると怖いなと思っていたんです。だから代表の岡田さんがエンタメとプラットフォームの両方を理解していて、すでに自分と信頼関係を築けているのはすごく大きかったですね。それにうぶごえさん自体も手厚く対応してくれるサービスなので、とても心強いなと思ったんです。信頼を売ってお金を集めるという、ある種の危険性を伴うからこそ、中の人の温度を感じる運営はありがたいし、クラウドファンディングに挑戦する上で必要なことだなと思います。

――現在4億円超の資金が集まっていますが(10月28日現在)、その資金は何に使われるんですか?

日高さん:まず、今カツカツのところの補填をしようと思っています。クラウドファンディングでの当初の設定金額の1億円で、来年度の上半期の制作物に対する最低限の予算は成り立つように考えていたので、それ以上に出資いただいた金額でできることを何個か考えていて。

その1つとして、ダンススタジオの年間契約を決めました。事務所は一軒家を借りているので、みんなが集まってごはんを食べる場所やレコーディングスペースを設け、アーティストがいつでも曲をつくれる環境が整っています。一方、ダンスのできるスタジオはなく、現在レンタルで対応しているんです。それだと「ちょっと時間が空いたから練習をしよう」というアクションが起こしづらく、現場マネージャーにも負荷がかかってしまっていました。それでダンススタジオを年間契約することで、そういった問題を解決しようと考えています。

あと、アーティストの住環境を整えるためにも費用を割きたいです。上京して一人暮らしを始めるときは出費が増え、金銭面での不安もあると思うので、その辺の補填に費用を使っていきます。ほかには、オリジナルの動画コンテンツもいろいろと制作したくて。アイデアはたくさんあるのですが、人手も場所もないので、そういったところにもお金が補填できるのはとてもありがたいです。年明けから供給の質と量が増えることになると思います。

BMSGが生み出した「BE:FIRST」は、11月3日(水・祝)に、シングル『Gifted.』でメジャーデビューを果たす

――BMSGの新しい社員さんを雇うことは考えていますか?

日高さん:最近、動画制作班は1人増やしましたし、足りていないので人はまだまだ増やしたいですね。

――日高さんの面接を合格するのに、必要な条件ってありますか?

日高さん:一番は、社会人としてしっかりとしているということですね。これまでの芸能マネージャーは、社会人としての常識やマナーより、体力を求められがちでした。それは僕自身、問題意識として感じている部分でもありました。そういう思いもあって、報告、連絡、相談、共有ができて、アーティストや社外の人間に対しても思いやりと愛を持って接することができるのが、僕が求めるマストのスキルですね。

――日高さんが音楽業界に革新を起こそうという思いに対して、共感して参画したいという優秀な方はたくさんいらっしゃりそうですね。

日高さん:いまが一番大変なので、そうだとうれしいですね。会社のカラーをちゃんと確立して、それを全うすることにストレスやプレッシャーを感じない会社の体制を整えたら、3年後を目安にいったん社長職をおりて、アーティスト業とプロデューサー業に専念できる期間を30代のうちに1~2年設けるつもりです。

だから、いまから3年間は会社のカラーをつくることに注力しないといけない。僕自身、アーティストにはいままでしっかりと向き合って成長を促せた一方で、会社のスタッフに対してそれをちゃんとやれていたかどうか……。会社設立してからいままで自分がやってきたことは、社長業でなくプロデュース業で、社員やスタッフを率いる社長としてのフォローは全然できてなかったと猛反省中です。これがいまの僕の課題の一つでもありますね。

――再びオーディション番組をやろうと思っていますか?

日高さん:サバイバルオーディション番組ブームはまだ続くだろうし、自分としては来年、もう一度開催したほうがいいなと思っています。うちには来年デビューさせると決めている子がいるんですが、人数がまだ足りてないので、どっちみちオーディションをやらないといけない状況です。

あと、裏で社員募集オーディションもしたら面白いですよね。かつて、韓国の芸能プロダクションのJYPエンターテインメントが社員募集オーディションをしていましたし。だから僕がいま、社員オーディションまでやりだしたら、JYP エンターテインメントがやったことを節操なくやっていると思われそうですけど(笑)。リアルに社員が必要というのもありますし、これまでの音楽・エンタメ業界がしてこなかったことに、BMSGの社長として挑戦していきたいと思っています。

日高光啓(ひだか みつひろ)

1986年生まれ。2005年「AAA」のメンバーとしてデビュー。同時期から「SKY-HI」として都内クラブなどで活動をスタートし、レーベル非公認でMCバトルやクラブに出演するように。2013年にはソロ名義でメジャーデビューを果たす。2020年に株式会社BMSGを設立し、ボーイズグループ発掘オーディション「THE FIRST」を開催。
 
BMSG:https://bmsg.tokyo/
Twitter:https://twitter.com/SkyHidaka

『八面六臂(はちめんろっぴ)』が10月27日(水)にリリース

一緒に音楽をつくりたいと思う相手と制作した楽曲が詰まった、SKY-HIとして約3年ぶりとなるオリジナルアルバム。
 
タイトル:『八面六臂』
CD:3,000円+Tax 
CD+DVD/BD / 8,000円+Tax
初回生産限定盤(AAA Party / AAA mobile / BMSG MUSIC SHOP / mu-mo SHOP限定商品)
CD+DVD/BD+4c100p写真集+ステッカー / 10,000円+TAX
 
https://sky-hi.lnk.to/haskyhi chimenroppi

BMSGが挑戦中のプロジェクト
「THE FIRSTから羽ばたく皆にもう一億円をかけたい!」

「THE FIRST」から生まれたダンス&ボーカルユニッ「BE:FIRST」、そして今回そこには入らずとも今後もBMSGと歩むことを選んだ才能のために、もう1億円を投資するためのプロジェクト。

実施期間:〜2021年10月30日 23:59
URL:https://ubgoe.com/projects/78

取材・文/高山美穂

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