フリーランスが廃業するときにやるべき手続きとは
フリーランスは廃業にあたって、法的な手続きを踏む必要があります。
より自分に合った働き方を求めて、またはライフスタイルの変化を理由にフリーランスを廃業する方は少なくありません。
しかし、フリーランス人口が増加している一方で、廃業の手続きがあまり浸透していないのも事実です。
そこで今回は、フリーランスが廃業する際に必要な手続きとともに、給付金や廃業手続きにおける注意点について解説します。
フリーランスが廃業時に必要な手続き
フリーランスに必要な廃業手続きは大きく分けると5つです。
5つというと多いように見えますが、順を追って行うことで正しく手続きを済ませましょう。
ここでは、フリーランスが廃業に際して必要な手続きを順に解説します。
廃業届
個人事業主は事業に際して開業届・廃業届を原則1ヶ月以内※に提出する必要があります。
開業届・廃業届は国税庁HPからダウンロードでき、それを印刷して必要事項を記入し、管轄の税務署に提出することで済ませられます。
書式等は管轄の税務署によって異なるため、基本的には税務署に指示に従って記入しましょう。
※東京都内は10日以内など地区によって期限が異なります
青色申告取りやめ届出書
確定申告に際して青色申告を行なっていた場合は、青色申告承認を解消するための「青色申告取りやめ届出書」の提出が必要です。
青色申告取りやめ届出書は申告する年の翌年3月15日までに提出する必要があります。
こちらも国税庁HPから書類をダウンロードできるため、廃業届と合わせて印刷・作成しましょう。
減額申請書
廃業にあたって、納付する所得税が予定納付額の基準に満たない場合は「所得税及び復興特別所得税の予定納付額減額申請」が必要です。
これにより納付する所得税を減額できるため、必ず手続きしておきましょう。
また、この手続きは業績不振をはじめ昨年よりも収入が著しく下がった場合にも申請できます。
減額申請書についても、国税庁HPからダウンロードの上、管轄の税務署に提出することで済ませられます。
ただ、承認については審査が必要なため、前もって手続きすることが大切です。
国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」
事業廃止届出書
事業廃止届出書は、課税されている事業者が税務署に提出する必要がある書類です。
こちらは明確に提出期限は定められていませんが、廃業に際して「速やかに」提出を求められる書類のため、廃業届などと合わせて手続きの準備をしておきましょう。
給与支払い事務所等の廃止届出書
廃業にあたって、従業員を雇い給与を支払っていた場合は税務署に「給与支払い事務所等の廃止届出書」を提出する必要があります。
こちらの書類は「廃業から1ヶ月以内」と期限が定められており、早めに提出する必要があります。
なお、この書類を早めに提出しなければ余計に納税義務が生じてしまうため、早めに手続きを済ませましょう。
特例について
廃業しても、事業に際して経費を支払う必要があるシーンは少なくありません。
これら廃業後の経費については、特例として廃業後も経費として計上できるため、合わせて知っておきましょう。
これら廃業後に必要な経費は、廃業年の所得金額を計上する際に、損金算入できます。
例えば8月に個人経営の飲食店を廃業し、廃業届も8月中に提出したとします。
しかし、店舗は事業撤退にあたり9月まで借りていたとすると、廃業後の9月も賃料は発生します。
この場合、9月以降の賃料や光熱費をはじめとした事業にかかる経費は、翌年の確定申告に際して損金として計上できるのです。
また、翌年に課税される事業税なども所得から控除されるため「どの項目が控除対象となるのか」は把握した上で、廃業手続きを踏みましょう。
また経費計上できるかどうか判断が付かない項目がある場合は、管轄の税務署に相談することもおすすめします。
給付金について
廃業にあたって、給付金・再就職支援制度の活用も視野に入れましょう。
給付金・支援制度にはさまざまな種類がありますが、中でも注目したいのが以下の2つです。
・求職者支援制度:生活支援給付金(月10万円)を受けながら職業訓練を受講できる制度
・小規模企業共済:加入していれば廃業時に納付額に応じた給付金が支給される
以上の給付金・支援制度は、事業者の廃業後の経済状況や加入しているか否かで異なります。
特に小規模企業共済は、事業者が事前に加入申請を行なっておく必要があるものです。
そのため、フリーランス・個人事業主の場合は、廃業する前から「もしもの場合」に備えておくことも大切だと言えるでしょう。
廃業時の注意点
廃業時に注意したいのが、確定申告です。
確定申告では、毎年1月1日から12月31日を区切りとして収支を計算し申告します。
そのため、年度の途中に廃業届と青色申告取りやめ届出書を提出してしまうと、月割の個人事業税の控除額が翌年の申告に反映されません。
そのため、事業を廃業する際はなるべく12月31日に近い日取りで申請することをおすすめします。
まとめ
フリーランスの増加傾向に伴い、廃業を選択するケースも増えています。
廃業に際して、手続きや税務上の仕組みを知っておくべきことは多いため、前もってその仕組みを把握した上で税務を行なっておくことが大切です。
最後に、フリーランスが廃業するにあたって知っておきたいことをまとめます。
・フリーランスが廃業する際に行いたい税務手続きは大きく分けて5種類
・廃業に際してなるべく早く書類を提出する必要がある
・廃業にあたって必要な経費も算入できることを把握しておく
・廃業はなるべく12月31日に近い日程に行うのがおすすめ
廃業は、非常に勇気が必要なことであると同時に、廃業後の経済状況も不安になりがちです。
だからこそ、廃業後の負担をなるべく減らすための手続きや給付金の仕組みを知っておく必要があります。
次のビジネスに前向きに進むためにも、仕組みを正しく把握した上で廃業手続きを踏みましょう。
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