【得する人と損する人の分かれ道】フリーランスの経費っていくらまで使っていいの?
フリーランスの人は、会社員と違い自分で確定申告をするため、何を経費とするかの線引きが難しいものです。
経費に計上できるモノと効果を知っておけば、確定申告をスムーズに済ませられるようになります。
ここでは、フリーランスが経費をどれくらい計上できるのか、対象範囲を紹介します。また、経費計上によるメリットを解説していくので、確定申告を行うときの目安にしましょう。
フリーランスの経費の上限とは?いくらまでが対象範囲になるのか
基本的にフリーランスの経費について、いくらまで計上できるのか上限は設けられていません。しかし、白色申告・青色申告のどちらで確定申告を行うかで、経費計上できる範囲は異なります。
▼白色申告と青色申告について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
・備品の経費計上について
白色申告で確定申告を行う場合は、10万円以上の備品を購入するときに経費計上が一括でできないと決められています。
耐用年数に応じて費用を計上する「減価償却」を活用する必要があるのです。
ただし、減価償却費に該当するのは、時間の経過・使用年数に応じて価値が減少する資産のみとなります。年数に応じて価格が変動する訳ではない資産、土地などを購入しても減価償却費として計上することはできません。
一方で、青色申告の場合は30万円未満であれば少額減価償却資産となり、一括で経費計上できると決められています。
とはいえ、30万円以上のものを購入する場合は、青色申告と同じく減価償却費として計上する必要があるので注意しましょう。
減価償却費は一つ当たりの価格で10万円あるいは30万円を超えた際に計上できるため、合計金額で超えたとしても対象にはならないので気をつけてください。
・家事按分の経費計上について
フリーランスとして自宅で仕事をしている人は、生活費と事業費が明確に分けられないケースが多いでしょう。
家事按分はこのような混ざっている費用を、一定の割合で経費計上できる仕組みを指しています。
白色申告では、事業で捻出している費用が50%以上を占めないと経費計上ができません。対して、青色申告においては、事業で捻出している範囲を問わず、事業に関わる費用はすべて経費計上できます。
・専従者給与の経費計上について
一緒に生活している家族に仕事を手伝ってもらっているフリーランスの人は、家族に給与を支払う際に「専従者給与」として経費計上ができます。
ただし、専従者給与を経費計上できるのは青色申告のみで、白色申告は専従者控除しか受けられないので気をつけましょう。専従者給与の経費計上をするときは、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。また、経費計上するにあたって6カ月を超える期間専従していることと、15歳以上であることが必須条件となっています。
経費計上できる勘定科目とは?よく使う勘定科目一覧
フリーランスがよく使う勘定科目は、下記の9つが挙げられます。他にも勘定科目はありますが、まずは下記の一覧を参考に仕訳をする癖をつけていくのが理想的です。
経費計上できる勘定科目とは
勘定科目 | 特徴 |
租税公課 | 経費計上できる税金・公的な課金 |
繰延資産 | 効果が長期間発揮される資産 |
広告宣伝費 | 商品・サービスを販売するために必要な出費 |
接待費 | 打ち合わせ時の飲食代、贈答品、お歳暮といった費用 |
原価償却費 | 耐用年数に応じて毎年少しずつ計上できる費用 |
消耗品費 | 取得する際の額が10万円未満かつ耐用年数が1年未満のもの |
雑費 | ほかの勘定科目に該当しない費用 |
旅費交通費 | 接待で使った交通費や、取材で使った旅費など |
通信費 | インターネットだい、通話料、はがき代、切手代など |
・租税公課、繰延資産
租税公課は、経費計上できる税金・公的な課金を指しています。
個人事業税・自動車税・固定資産税などが含まれます。ただし、住民税のような所得に対して課せられる税金や、法令違反による罰金は対象になりません。繰延資産は、効果が長期間発揮される資産が該当します。開業費・開発費に加え、公的施設の負担金などを計上できます。
・広告宣伝費、接待費
広告宣伝費に関しては、商品・サービスを販売するために必要な出費を計上できます。
PRするために利用した広告掲載料やWEB制作費などが該当します。広告掲載やWEB制作の際に関係者を接待した飲食代については、交際費となるので注意しましょう。交際費は、打ち合わせ時の飲食代のほかに、贈答品・お歳暮といった費用も含まれます。
・減価償却費、消耗品費、雑費
減価償却費とは、耐用年数に応じて毎年少しずつ計上できる費用を指しています。耐用年数は、普通車が6年でパソコンは4年とものによって異なります。
消耗品費に関しては、取得する際の額が10万円未満、かつ耐用年数が1年未満のものが対象です。パソコンのような高価なものでも、1つの金額が10万円未満であれば対象となります。
雑費は、消耗品費と区別がつきにくい勘定科目ですが、何を分けるべきかはっきりとした決まりはありません。他の勘定科目に該当しない費用は、雑費に仕訳をするのが一般的です。
・旅費交通費、通信費
旅費交通費は、接待で使った交通費や、取材で使った旅費などが該当します。
フリーランスの人で各地方に取材に行ったり、商談に出向いたりする機会が多い人は、旅費交通費で計上するのが良いでしょう。
通信費は、インターネット代・通話料・送料・はがき代・切手代が含まれます。ただし、リースしている費用に関しては、リース料や貸借料として計上する必要があります。
フリーランスが経費計上するメリット&いくら節税できるのか?
フリーランスが経費を計上するメリットとしては、節税効果が一番大きいといえるでしょう。
支払う税金を安く抑えるためには、事業を運営するのにかかる費用を経費計上するのがおすすめです。ただし、何でもかんでも経費計上すれば良いというものではなく、適切に計上していないと税務調査が行われるケースもあります。
▼必要経費についての詳細はこちら
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
・所得額と課税所得金額の計算
フリーランスの人に限らず、所得がある人は所得額に応じた所得税が課せられます。課税所得額を出すには、収入から経費・控除を差し引く必要があります。上記で述べた経費の合計金額と、青色申告特別控除などの控除額を算出し、所得額および課税所得額を出してみましょう。
たとえば、年収300万円・経費50万円・青色申告特別控除額65万円・生命保険控除額2万円の場合、ざっくりと計算すると課税所得額は183万円となります。税率は課税所得額によって異なり、195万円までは税率5%で控除額が0円、195~330万円までは税率10%で9万7,500円です。上記のケースの場合は課税所得額が183万円なので税率5%・控除額0円となるため、所得税は9.15万円と算出できます。
・自分の税率から節税額が求められる
上記で課税所得額を求める際に「自分の所得に対する税率」が分かりますが、税率が分かれば節税効果がどのくらいあるか簡単に求められます。仮に、経費計上したい飲食代が5,000円だとすると、税率が5%ならば250円の節税効果があると分かります。つまり経費計上できる額・所得に対する税率が大きければ大きいほど、節税効果を感じられるでしょう。
ちなみに、課税される税率は、所得額が330~695万円は20%、695~900万円は23%、900~1,800万円は33%です。また、所得金額が1,800~4,000万円は40%、4,000万円超は45%となっています。
もしも、4,000万円超の所得がある人は、上記と同じ飲食代5,000円を経費計上すると2,250円の節税効果があります。所得額が大きい人は、経費計上できる明細書・領収書を管理する癖をつけましょう。
・個人事業税が課せられる業種もある
個人事業税という地方税が課せられる業種があり、第一区分に当てはまる業種は税率5%、第二区分は税率4%、第三区分は税率5%あるいは3%となります。確定申告をしたときに個人事業税の対象となる人には、後日納付書が送られてきます。納期は8月・11月の年2回ですが、所得が290万円以下のケースでは控除されるので支払う必要がありません。ただし、1年間の事業継続が条件のため、1年に満たない場合は控除額290万円が月割計算され、控除されない分は支払う必要があります。
フリーランスで働く人は経費計上をしっかりとしよう!
これからフリーランスで働く予定の人は、取引をきちんと帳簿に記録するようにしましょう。
明細書や領収書がある分に関しては都度仕訳するようにし、明細がない場合は出金伝票に記録して仕訳するようにしてください。
後でまとめて仕訳をしようと思っていても、明細書の紛失や、記録を付けこと自体を忘れてしまう可能性があります。経費をしっかりと申告することで、無駄な税金を支払わなくて済むようになります。
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