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電子帳簿保存法の改訂後の紙保存だと青色申告取り消しになってしまうのか

電子帳簿保存法の改訂後の紙保存だと青色申告取り消しになってしまうのか

電子帳簿保存法に対応していなければ、青色申告取り消しになってしまうとの話を聞いて、不安を覚えた方も多いのではないでしょうか。

結論として、電子帳簿保存法に対応していないことが発覚したら、すぐさま青色申告取り消しになるわけではありません。

しかし、電子帳簿保存法は法改正により厳罰化も進んでおり、罰則の1つとして青色申告取り消しが存在することも事実です。

今回は、電子帳簿保存法における青色申告取り消しになる場合について解説します。

電子帳簿保存法に対応した書類・帳簿の保存体制の導入がまだ進んでいない方は、ぜひご覧ください。

電子帳簿保存法後に要件が満たされなかったら青色申告取り消しではない

2022年1月より法改定された電子帳簿保存法が施行されました。

法改定された電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存体制のさまざまな面が緩和されている一方で、電子取引された電子帳簿は電子データでの保存でしか認められなくなるなど、義務化されている部分も存在します。

そして義務化されたルール・電子帳簿の保存体制については厳罰化もされており、罰則の1つとして青色申告取り消しが候補として挙がっているのです。

“なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断しています。”

引用:国税庁|電子帳簿保存法一問一答

罰則には青色申告取り消しのほか、追徴課税や罰金も存在します。

つまり、電子帳簿保存法の要件を満たさない保存体制のままの場合、すぐさま取り消されるわけではなく、複数ある罰則のなかから青色申告取り消しの罰則が妥当とされたときに課されます。

さらに2021年11月には、電子帳簿保存法と青色申告取り消しの関係性について、国税庁からさらに詳しく言及されました。

電子書類の保存に関して、取引内容や申告内容が正しいことを書面で確認でき、間違っている要素が電子帳簿の保存体制のみである場合は、青色申告取り消しにはならない旨が明示されています。

罰則がどのように決まるかは、税務調査をもって総合的に判断されるため、必ず正しい保存体制を導入しておきましょう。

どんな時が取り消し対象にならないのか

電子帳簿保存法に則った保存体制を導入することは、あらゆる事業者に求められることです。

特に義務化されている電子書類・帳簿は、必ず法に則った保存体制を導入しなければいけません。

しかし、以上の義務事項はやむを得ない場合に限り罰則の対象外となります。

その1つとして国税庁からも明言されているのが、災害時であることです。

災害等により電子帳簿・書類を紛失してしまったり、事業復旧に時間が掛かり電子帳簿保存法に合わせた保存体制の導入まで進んでいなかったなどの場合は、青色申告取り消しの対象にはなりません。

青色申告取り消しになった場合に起きるデメリット

青色申告には税務面でさまざまな優遇措置があるため、青色申告取り消しになれば、多くのデメリットが生じるでしょう。

青色申告が取り消しされると、以下の項目が認められなくなります。

・65万円の青色申告特別控除

・赤字の3年繰り越し(法人は10年)

・特別焼却税控除

・減価償却

・青色事業専従者給与

・家事按分

青色申告取り消しを受けると、税負担が大きくなるほか、特別焼却税控除や減価償却などあらゆる面で税的な負担が大きくなります。

また青色事業者専従者給与や家事按分など、給与として支払っていた項目も活用できなくなるため、小規模事業者や個人事業主は、さらに負担が大きくなるでしょう。

青色申告取り消しにならないよう、確定申告はもちろん電子帳簿保存法に則った電子書類の保存体制についても、合わせて考えていくことが大切だといえます。

インターネットバンキングでの取引は電子帳簿として保存するべき?明細の扱い方を解説

電子化に向けた準備を正しく進めていくことが大切です

電子帳簿保存法に違反した場合の青色申告取り消し処分について解説しました。

電子帳簿保存法に則った保存体制を築けていないことを理由に、すぐさま青色申告取り消しになるわけではありません。

しかし税務調査の結果、罰則として青色申告取り消しが妥当と判断される可能性はあります。

電子帳簿保存法に合わせた保存体制を導入して、正しく準備を進めていきましょう。

なお、電子帳簿保存法には2023年末までの猶予期間があります。

猶予期間内に導入を済ませられるよう、計画的な準備で電子帳簿保存法への対応を目指してください。

文/おかねチップス編集部
監修文/おかねチップス編集部

おかねチップス編集部

おかねチップスは、毎月30件以上の記事配信と業界人へのインタビュー記事等を多く取り上げており、創刊1年で月間25万PVと22万UUの購読者数へと成長。
20代後半から40代後半にかけた、ビジネスマンがメインであり、フリーランス、パラレルワーカー、スタートアップ等の読者層が多数。数多くの著名人にも登壇頂いていると同時に各種専門記事については、記事の信頼性を最新性を担保するために、税理士や各業界のプロフェッショナルを監修に迎えたうえで、各記事を編集・校閲・確認を経て制作。

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