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「ただ言われたことをやる人材は必要ない」これからの時代を生きるエンジニアに求められる“プラスα”の能力

「ただ言われたことをやる人材は必要ない」これからの時代を生きるエンジニアに求められる“プラスα”の能力

1月25日より、「おかねチップス」が、「クリエイター支援メディア BRIK」と共同で、公開収録オンラインイベント「ジョブクロッシング -仕事と職の交差点-」をスタートさせました。

同じ名前の職種でも、業界や業態の違いにより、大きく役割が異なるもの。その役割の違いを正しく理解することで、それぞれに必要なスキル、仕事における考え方やこだわりをひもといていく、クロストーク対談企画です。第一回のテーマは、「令和時代エンジニアのマストスキルの進化とその先の真価」ということで、株式会社ワントゥーテン 川村崇さん、WAmazing株式会社 伊藤友衣子さん、株式会社GIG 福田拓実さんの、技術職に就く3名に登壇いただきました。

<登壇者>
株式会社ワントゥーテン 川村崇 氏
普段はデザインとエンジニアリングの中間のような仕事をしながらプライベートではツミキルーム名義でインタラクティブな視覚演出の研究をしている。 Hyper geek @DOMMUNE(Super DOMMUNE)、超テクノ法要×向源(ニコニコ超会議2022)、Futures In-Sight展(21_21DESIGN SIGHT)などに参加。
https://www.1-10.com/

WAamazing株式会社 伊藤友衣子 氏
金沢大学卒業後、2017年に旅行会社エイチ・アイ・エスに入社。 店舗スタッフとして働きながら、訪日外国人を対象としたサービスを立ち上げる。その後エンジニアに転換し、オンラインオフィスサービスやライブ配信アプリなどの フロントエンドを担当する。2021年にWAmazingに入社。 現在は訪日外国人向けECサイトの開発を担当する。
https://corp.wamazing.com/

株式会社GIG 福田拓実 氏
神戸大学海事科学部を卒業後、 Web広告代理店にてディレクターを担当。その後は起業を経て、 2019年6月にGIGへ未経験エンジニアとしてジョイン。現在は自社サービスのEM兼PdMを担当。
https://giginc.co.jp/

“作りたいもの”があるからエンジニアになった

1つ目に語ってもらうテーマは「いまの役職に必要なスキルとこだわり」。それぞれ、フリップに回答を記載してもらいました。

伊藤さん:私は「巻き込む力」です。スキルとして、技術力は必須条件。ですが「自分がこういうアプリやサービスをつくりたい」となったとき、理想的なチーム編成が必要となってきます。それを叶えるために巻き込む力と書きました。

WAamazing株式会社 伊藤友衣子 氏

ーーコードが書けなければ、その“巻き込み”は難しいものなのでしょうか。

伊藤さん:やっぱり、書けるだけで「説得力」が違ってきますが、コードを書くこと自体は必須ではなく、どれだけ視野を広げることができるかと言うのが重要だと思っています。いま、私のチームは、エンジニアが4名、デザイナーが1名、そこにPMとディレクターを入れた計7名で伴走しています。私はフロントエンドなので、よくデザイナーと会話するんですが、UIのことを話すには、バックエンドのことも多少は理解していないといけません。ひとつの分野にこだわるのではなく、他のテクニカルなことも頭に入れておくようにしています。

ーーなるほど。福田さんはどうですか?

福田さん:僕は「提案力とエゴ」です。エンジニアは経営者、営業などと話し合ってシステムを構築していかなければなりません。「なぜこの仕様にする必要があるのか」などという提案する力はもちろん、それを押し通すだけの「芯」を持っているのか。これらは相互に作用していくのかなと思います。

株式会社GIG 福田拓実 氏

ーー実際にそうした事例を経験された上での回答ですね。

福田さん:いま、チームマネージャーをしているのですが、普段から事業部長やカスタマーサクセス、営業メンバーから数字を追いたい、お客様にこたえたいという要望をもらいます。ただ、使いやすさなどの観点から、すべてを反映することは難しいので、「この機能はいる」「この機能はいらない」と、エンジニア以外の人が納得できるような説明を常に用意しています。

ーー川村さんはどうでしょうか?

川村さん:「エンジニアの想像力」です。我々エンジニアは、“表現の手段”のためにプログラムを利用しています。従来の広告グラフィックなどでできなかったことが、デジタルの力を借りると実現できる。既存の考えにはないようなものを考えて、実行する、そういった能力が必要なのかなと思います。

株式会社ワントゥーテン 川村崇 氏

ーーちなみにみなさんは、どういう経緯でいまの職種にたどり着いたのでしょうか?

伊藤さん:もともと「何かを作るのが好き」っていうのが根底にはあって、社会人の途中で「こんなWebサービスを作りたいな」という思いから、エンジニアへの道を歩み始めました。最初は旅行代理店にいて、文系で、さらにはブラインドタッチも出来ない状態からスタートしました。最初は「Glide」とか「Bubble」っていう、ノーコードでプログラミングができるツールを使っていたんですが、機能を拡張していくにあたってはコードを覚えなければならず、その都度学んでいった感じですね。

福田さん:僕は今の会社に入る前に、起業をしてゴリゴリに失敗した経験があるんですけど(笑)、そこからは伊藤さんと同じで、Webサービスを作る能力が必要だと感じたことから、プログラミングの勉強をスタートさせました。

川村さん:自分は……デザインやヴィジュアライゼーションについては強い興味があるんですが、エンジニアは向いてないかなと。ノードをつないで仕組みは作るけど、お二人みたいにスクリプトは書けませんし。「何かを作る」という熱量が高い方であれば、明日にでもはじめられるのではないでしょうか

最初は技術がなくても、成長意欲があればいい

2つ目のテーマに入ります。「自分以外の二人に聞きたいことは?」ということで、それぞれの方に質問を書いてもらいました。

伊藤さん:「新しいメンバーがなじめるようになにかしていますか?」ということをお聞きしたいです。

川村さん:結構な問題ですよね。エンジニアって、一緒のプロダクトを進めていれば馴染んでいくんでしょうけど、それまでは日常会話がおぼつかない人もいそう(笑)。自分は結構、「飲みに行こうぜ」って誘っちゃいますね。

福田さん:冷たいかもしれないんですが、僕はあんまり馴染める工夫はしていないかも。入ってくるメンバーは、カルチャーフィットの観点を持って面接していて、コミュニケーション能力に優れたメンバーが多いので。あとは、仕事でパフォーマンスを出して、「うまく馴染んでくれ」っていう感じです。チームで毎朝集まって共有ミーティングをするので、そこで紹介したりはしますね。

「ジョブクロッシング」配信の様子

ーー入ってくる人のスキルが足りていない時、フォローアップはするんですか?

伊藤さん:弊社は原則フルリモートなので、週に一度の「1on1」で話す機会を設けています。あとはペアプログラミングで、画面共有しながら「ここをこうして」などと教えていたり。仮に最初は期待通りの行動を取れなかったとしても、後から成長すればいいだけの話なのかなと。

川村さん:ウチは、独り立ちできるまでフェローが付きっきりでサポートしています。いろんな外注案件があるので、ひとりで回せるようになるまではその体制ですね。これまで幸い、どうしようもないっていう人はいません。

福田さん:教えることで自分も成長できるっていうのはありますよね。

ーーでは川村さんの質問に移って、「エンジニアのマネジメントってどうしていますか?」ということですが。

川村さん:私みたいに、「見た目」の部分を作る人は目立ちやすいけど、サーバーサイドは表立って成果が見えにくいじゃないですか。そのあたり、適切な評価をしてあげないと、モチベーションも下がっていくのかなと。

福田さん:できるだけその人が得意な仕事を渡せば、“半プライベート”な感じで集中もできますし、メンタル的にも不安なくできるので、そうした調整はするようにしています。ちょうど先日、サイトの不具合が業務時間外にあって、さすがに自分が対応しないとなと思ってPCに向かったのですが、すでにインフラ専任として入った新メンバーが対応始めてくれていて。「落とさないサービスを作ろう」という意識が高い人に仕事を振っていたから、自主的に動いてくれていたんですよね

ーーそういうときのエンジニアさんは「神」のように見えますよね。福田さんの質問はシンプルに「趣味って?」ということですが。

福田さん:僕に趣味が全く無くて、良いものを探しているっていう感じなんですけど(笑)。

伊藤さん:私は割と働くのが趣味ですね。休日も、個人で作りたいアプリがあって、なるべく手を動かすようにしています。

川村さん:自分は英語の勉強ですかね。もう半年してるんですけど、全然上達していなくて(笑)。

ーーでもプログラムって英語で書かれていますよね?

川村さん 確かにそうですね(笑)。でもプログラムの場合は、直接読める人に聞けちゃうし、英会話の文法とは全然違うんですよね。

「プログラミングの中から発生する想像力」が世の中を変える

最後、3つ目のテーマは「エンジニアの拡張性とポテンシャル」についてです。

川村さん:私は「言語化する前にコード化する」という回答です。よく「これはエンジニアが主導で作っているんだな」というインスタレーションを見ることがあるんですが、そんな時に、すごくポテンシャルを感じるんですよね。プログラミングの中から発生する想像力っていうのは、これまでにない、世の中に刺激を与えるものばかり。みなさんがエンジニア力を身に着ければ、どんどんそんな作品が生まれるのかなと思います。

伊藤さん:私も考える前にコードに起こす人間で、常に頭の中にあるものを表現できたらと思っています。最初から「こうしたい」っていう具体的なものはなくて、作りながら考えるのが面白いんですよね。

ーー次の回答ですが、福田さん、「めっちゃある!」というお答えですが。

福田さん:エンジニアのポテンシャルがあったから、いまこの仕事をしている側面はありますよね。拡張性に関してはどうなんでしょう……いままったくシステムを導入してない会社はないに等しいので、サービスの価値を見極めて、提案できる力は必要ですよね。

ーー福田さんに聞きたいんですが、いまエンジニアは給料上がってるんですかね?

福田さん:僕の後輩はフリーランスで、めっちゃ稼いでいて、「なんで俺が飯おごってんねん」ってときはありますね(笑)。単価とか市場は盛り上がっている感じはあります。

福田氏の率直な意見に会場も盛り上がる

ーー最後に伊藤さんの回答ですが、「エンジニアリングプラスαが必要」と。

伊藤さん:今後もエンジニアの需要があるのは間違いないですが、どんどん技術が発達してコードがなくても大丈夫なケースが出てきているので、“ただ言われたことをやる人”は必要ないのかなと思います。例えば「マネジメントができます」とか、「このサービスに必要な技術を見極めることができます」とか、「プラスα」の力があれば、それこそ給料も上がっていくのではないでしょうか。

ーーそうしたスキルを身につける順番は大事なんですかね?

伊藤さん:大事ですが、あとで挽回することも可能だと考えています。私も、いま思えば理系に進みたかったし、学生の時からプログラミングを学んでおけば良かったなと思う瞬間は何度もありますが、なんとか働くことができている状態です。

川村さん:私も美術大学卒で技術職に進んでコンプレックスを感じながらも、“美大なりのメリット”を感じる瞬間があるので、トントンかなと。ただ三角関数を使う機会があって、もっとちゃんと数学をやっていけばよかったなとは思っています(笑)

福田さん:僕も……先にプログラミングの知識つけときゃよかったなとは思います。ただ、いまマネージャーやってるのは、以前営業職を経験していたディレクターとか、マーケティングを学んでいたっていう「プラスα」があったからこそ、そういう観点も必要なマネージャーのポジションを任せてもらえていると思います。今後もっと大きいサービスを作るために、大人数で開発しても、バグりにくく速度を落とさない開発方法を知らなきゃいけないですね。

※Vol.2の様子も近日公開いたします!

撮影/武石早代 
文/ヒガシダシュンスケ

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