広告・PR・マーケティング業界の職種マップ|代理店・制作会社・事業会社の違いと年収レンジ

広告やマーケティングの求人を見ていると、「アカウントプランナー」「ストラテジスト」「広報PRマネージャー」「コンテンツマーケター」「SNSマーケティングプランナー」と、隣り合っているようで守備範囲の違う職種名が並びます。しかも同じ「広告の仕事」でも、広告代理店にいるのか、制作会社にいるのか、事業会社の中にいるのかで、一日の過ごし方も評価のされ方もまるで違います。
この記事では、広告・PR・マーケティング業界を「3つのプレイヤー」と「4つの職能」で地図にして、それぞれがどこでつながっているのか、求人票の職種名をどう読み解けばいいのかを整理します。依頼する側の視点で代理店を選びたい方は広告代理店とは?種類・仕組み・業務内容をわかりやすく解説が向いています。この記事はそこで働く側から見た業界の地図です。
広告・PR・マーケティング業界は「3つのプレイヤー」でできている
この業界の職種を理解する近道は、職種名を覚えることではなく、「お金と依頼がどこからどこへ流れているか」を先に押さえることです。プレイヤーは大きく3つに分かれ、どこに所属するかで同じ職種名でも仕事の重心が変わります。
| プレイヤー | 立ち位置 | 主な収益の出どころ | 求人票で見かける職種名 |
|---|---|---|---|
| 広告代理店・マーケティング支援会社 | クライアントの課題を預かり、施策を設計して外部の力をまとめる | 広告費の手数料、企画・運用のフィー | アカウントプランナー、アカウントマネージャー、ストラテジスト、企画提案営業、広告運用・キャスティング営業 |
| 制作会社・PR会社 | 代理店や事業会社から依頼を受け、実際のアウトプットや露出をつくる | 制作費、リテナー(月額顧問)契約 | プロデューサー、アートディレクター、ブランディングデザイナー、Webライター、キャスティングプランナー |
| 事業会社(インハウス) | 自社の商品・サービスを自分たちで売る。外部の使いどころも自分で決める | 自社の売上 | Webマーケティング、コンテンツマーケター、SNSマーケティングプランナー、広報PRマネージャー |
ここで最初に効いてくるのが、「自分で決める側」なのか「決まったものを形にする側」なのかという軸です。事業会社のマーケ担当は予算の使い道そのものを決められる代わりに、扱えるブランドは自社の1つだけ。代理店は複数の業界を横断できる代わりに、最終決定権はクライアントにあります。制作会社は形にする力が資産になる代わりに、上流の意思決定に入れるかは会社と役職によって差が大きい——この違いは、入社後の満足度をかなり左右します。
なお「代理店」と「PR会社」「マーケティングコンサル」は隣接していますが役割が違います。この違いはPR会社と広告代理店の違いと広告代理店とマーケティングコンサルの違いで詳しく整理しています。
職能別に見る職種マップ
3つのプレイヤーを縦軸にすると、横軸には4つの職能が並びます。「取ってくる」「考える」「つくる」「回す」の4つです。求人票の職種名は、この4つのどれかに必ず当てはまります。
①取ってくる:営業・アカウント職
クライアントとの窓口になり、案件を持ってきて、社内のチームに渡す職種です。サクサク仕事探しの掲載でも、この領域は職種名のバリエーションがいちばん豊富で、「アカウントプランナー」「アカウントマネージャー」「企画提案営業」「コンサルティング営業」「フィールドセールス」「WEBプロデューサー・営業」といった名前で募集されています。
紛らわしいのは、この3つの重心の違いです。アカウントプランナーは企画を立てて提案することが主、アカウントマネージャーは担当先との関係と数字を預かることが主、法人営業は新規開拓を含めて案件を取ってくることが主です。会社によって名前の使い方が違うので、職種名ではなく「新規と既存の比率」で読むのが確実です。
②考える:ストラテジー・プランニング職
誰に、何を、どの順番で届けるかを設計する職種です。「ストラテジスト」「プランナー」「SNSマーケティングプランナー」「キャスティングプランナー」などが該当します。調査・分析から企画の骨子をつくるところまでが守備範囲で、手を動かして制作物をつくるわけではありませんが、成果の8割はここで決まると言われる立場です。
この職能は営業から移ってくる人とマーケ実務から移ってくる人が混ざるのが特徴で、未経験からいきなり就くのは難しい部類です。実際の募集も、経験者採用か、営業・運用担当としての入社後に社内異動でたどり着くルートが中心になります。
③つくる:クリエイティブ職
決まった方向性を、見える形・読める形にする職種です。「アートディレクター」「ブランディングデザイナー」「Webライター」「プロデューサー」などが並びます。広告のクリエイティブは、デザイン業界やムービー制作とかなり地続きなので、職種の全体像はデザイン業界の職種マップと映像・動画業界の職種マップもあわせて見ると立体的に把握できます。
この領域の頂点にいるのがクリエイティブディレクターで、広告の「何を言うか」そのものを決める立場です。どんな人がその役割を担っているかは日本の有名クリエイティブディレクター31人を眺めると輪郭がつかめます。
④回す:マーケティング実務・広報職
出した施策を運用し、数字を見て改善し続ける職種です。「Webマーケティング」「コンテンツマーケター」「WEBコンサルタント」「広報PRマネージャー」といった募集が該当します。事業会社の中に置かれることが多く、成果が自社の売上に直結して返ってくるのがこの職能の面白さです。
日々どう動いているかはWebマーケターの仕事内容|現役マーケター1週間の業務内容が具体的です。広報PRだけは少し性質が違い、広告のように出稿枠を買うのではなく、メディアや世の中の関心に働きかけて記事や話題という形で露出を得ます。買えないぶん再現性は低く、そのぶん人と関係を続ける力が資産になる職種です。
1つの施策が動くとき、誰が何をしているか
職種の関係は、実際の案件の流れに並べるといちばん分かりやすくなります。事業会社が新商品のプロモーションを外部に依頼したケースで、登場人物を時系列に置いてみます。
| 段階 | 主に動く人 | やっていること |
|---|---|---|
| ①課題の相談 | 事業会社のマーケ担当 / 代理店の営業・アカウント職 | 売上・認知の課題を共有し、予算感とゴールをすり合わせる |
| ②戦略の設計 | ストラテジスト / プランナー | ターゲットと訴求軸を決め、使う媒体と配分を組み立てる |
| ③企画の提案 | アカウントプランナー / クリエイティブディレクター | 戦略を具体的な企画案とビジュアルの方向性に落として提案する |
| ④制作 | 制作会社のプロデューサー / アートディレクター / デザイナー / ライター | 実際の広告物・記事・映像をつくる。進行管理もここに入る |
| ⑤露出・出稿 | 広告運用担当 / キャスティング営業 / 広報PR | 媒体に出す、起用者を押さえる、メディアに働きかける |
| ⑥運用と報告 | アカウントマネージャー / マーケ実務担当 | 数字を見て改善し、クライアントと社内に結果を返す |
この表で気づいてほしいのは、①と⑥に同じ人たちが戻ってくることです。広告の仕事は「つくって終わり」ではなく、数字を返して次の相談につなげるところまでが1周です。だから営業・アカウント職の求人でも「分析」「レポート」の記述が必ず出てきますし、逆にマーケ実務の求人でも「社外パートナーの管理」が業務に入ってきます。
必要なスキルと知識
職能ごとに求められる中心スキルは違いますが、募集要項に共通して並ぶ土台の部分があります。
| 職能 | 中心になるスキル | あると有利な経験・知識 |
|---|---|---|
| 営業・アカウント | ヒアリング、提案資料の構成、社内調整、数字の説明 | 他業界の法人営業経験、業界知識、予算管理 |
| ストラテジー・プランニング | 市場と競合の調査、仮説の立て方、企画書としての言語化 | 広告運用の実務、消費者調査、データ分析の基礎 |
| クリエイティブ | デザイン・コピー・映像の制作力、方向性を人に伝える力 | ポートフォリオ、進行管理の経験、印刷やWebの実務知識 |
| マーケ実務・広報 | 広告媒体の運用、効果測定、コンテンツの企画と改善 | SNS運用の実績、SEOの理解、メディアとの関係構築 |
そのうえで、どの職能でも共通して重視されるのが次の3つです。
- 数字で話せること——「よくなった気がする」ではなく、何がどれだけ動いたかを言える。職種を問わずいちばん効く土台です
- 人の間に立てること——クライアント、制作、媒体、社内。関係者の多さがこの業界の特徴で、板挟みを引き受けられる人が重宝されます
- 興味の幅が広いこと——担当する業界は自分で選べません。食品も金融もBtoBも、面白がって調べられるかが分かれ目になります
年収の目安とキャリアパス
サクサク仕事探しに掲載されている広告・PR・マーケティング領域の募集を見ると、年収300万円台〜500万円台の提示が中心で、職能による差よりも「経験の有無」と「役職がつくかどうか」による差のほうが大きい印象です。掲載で確認できたレンジを職能別に整理すると次のようになります。
| 職能 | 掲載で見られる年収レンジ | 備考 |
|---|---|---|
| 営業・アカウント | 340万円台〜450万円台の掲載が見られます | 企画提案営業・アカウントプランナー・キャスティング営業など。インセンティブの有無で総額が変わる |
| ストラテジー・プランニング | 300万円台〜500万円台の掲載が見られます | ストラテジストは高め、プランナー職は経験に応じた幅が広い |
| クリエイティブ | 年収非掲載の募集が目立ちます | 「経験・スキルに応じて決定」が多く、ポートフォリオ次第で振れ幅が大きい |
| マーケ実務・広報 | 400万円台〜450万円台の掲載が見られます | 広報PRマネージャーなど役職付きの募集が含まれる |
注意したいのは、この業界は年収を掲載していない募集がかなり多いことです。とくにクリエイティブ職と、経験者を想定した職種は「経験に応じて決定」とだけ書かれていることが珍しくありません。掲載がない=低いという意味ではないので、カジュアル面談の段階でレンジと評価の基準を必ず聞いてください。Webマーケティング領域の年収の考え方はWebマーケターの平均年収は?も参考になります。
キャリアの伸び方には、大きく3本の道があります。①縦に上がる——プレイヤーからマネージャー、そして部門長へ。②横に移る——代理店から事業会社へ、あるいはその逆へ。この業界は転職での行き来がとても多く、代理店で複数業界を経験してから事業会社のマーケ責任者になる流れは定番です。③独立する——ライター、プランナー、運用担当は業務委託の募集も一定数あり、フリーランスとして続ける選択肢が現実的な職能です。
未経験から入るには
この業界は資格が不要で、他業界からの転職者がとても多いのが特徴です。未経験から入りやすい順に、現実的な入り口を4つ挙げます。
- 営業・アカウント職——他業界の営業経験がそのまま持ち込めます。未経験可の募集がいちばん多いのもこの職能で、入ってから企画やプランニングへ横移動する人も多い入り口です
- 広告運用・SNS運用——ツールの操作は入社後に覚えられる前提の募集があります。個人でSNSアカウントを伸ばした経験や、広告を自腹で回した経験が評価されることがあります
- ライター・コンテンツ制作——業務委託の募集があるため、副業から実績を積んで正社員に切り替える道が使えます。書いたものがそのまま実績になるのが強みです
- アシスタント・インターン——学生や第二新卒であれば、営業インターンなどから現場に入る手もあります。業界の言葉に慣れるまでの助走として有効です
逆に、ストラテジストやクリエイティブディレクターのような「決める側」の職種に未経験でいきなり就くのはほぼ不可能だと考えてください。これらは上記の入り口から3〜7年かけて到達するポジションです。マーケ職を目指す具体的な手順はWebマーケターになるための方法3選にまとまっています。
求人票で確認したいポイント
この業界は職種名の使い方が会社ごとにばらつくため、職種名ではなく業務内容の記述で判断するのが鉄則です。応募前に次の7点を確認してください。
- プレイヤーはどれか——代理店なのか、制作会社なのか、事業会社のインハウスなのか。会社概要の「事業内容」で確認する。ここを取り違えると仕事の中身が根本から変わります
- 新規と既存の比率——営業・アカウント職なら必須。「新規開拓中心」と「既存深耕中心」では日々の負荷も評価軸も別物です
- 上流にどこから入れるか——課題のヒアリングから関われるのか、決まった企画を実行するところからなのか
- 担当する業界・クライアント数——1社を深く担当するのか、10社を並行するのか。求人票に書かれていなければ面談で聞く
- 制作は内製か外注か——内製なら社内のクリエイターと日常的に組み、外注中心ならパートナー管理の比重が上がります
- 年収の提示方法——「経験に応じて決定」の場合は、レンジと、次の等級に上がる条件をセットで確認する
- 働き方——リモート可否と出社頻度。撮影立ち会いやクライアント訪問が前提の職種は出社が多くなります
とくに1つ目は、この業界特有の落とし穴です。同じ「マーケティング担当」でも、代理店なら他社の予算を預かる仕事、事業会社なら自社の予算を使う仕事。求人票の職種名だけでは見分けがつかないので、必ず事業内容から逆算してください。
よくある質問
広告代理店と事業会社のマーケ、未経験ならどちらが入りやすいですか?
募集の数だけを見れば代理店・支援会社側のほうが入りやすい傾向があります。営業やアシスタントを含めて未経験可の枠が多く、複数の業界を短期間で経験できるので、業界知識の蓄積も早くなります。事業会社のマーケ職は少人数で運営していることが多く、即戦力を求める募集が中心です。代理店で2〜3年経験してから事業会社へ移るのは、この業界でもっとも一般的なルートのひとつです。
「プランナー」と「ストラテジスト」は何が違うのですか?
会社によって使い分けはまちまちですが、傾向としてストラテジストは調査と分析から戦略の骨格を決める役割、プランナーはその骨格を具体的な施策や企画に落とす役割を指すことが多いです。ただし小規模な会社では一人が両方を担うため、職種名ではなく業務内容欄に「調査」「分析」の記述があるかで見分けてください。
広報・PRは広告の仕事とどう違いますか?
いちばん大きな違いは「枠を買えるかどうか」です。広告は出稿枠を買って、伝えたい内容をそのまま出せます。広報・PRはメディアや世の中の関心に働きかけ、記事や話題という形で取り上げてもらうため、内容も掲載可否もコントロールできません。そのぶん第三者が語ることによる信頼度が高くなります。この役割分担はPR会社と広告代理店の違いで詳しく整理しています。
この業界の仕事は激務だと聞きますが、実際はどうですか?
関係者が多く、締め切りが動きにくい仕事なので、繁忙期に負荷が集中しやすいのは事実です。ただし近年の募集ではリモート勤務や出社頻度を明記する会社が増えており、条件は会社ごとにかなり差があります。求人票の勤務地欄に「リモートワークメイン」「週1程度の出社」といった記載があるかを見ると、その会社の働き方の実態が読み取れます。
Web業界やデザイン業界の職種とはどう関係していますか?
強く重なっています。広告の仕事はWebサイトやアプリ、映像、グラフィックといった成果物を伴うため、制作の現場では同じ職種が登場します。隣接する業界の地図はWeb・アプリ業界の職種マップ、映像・動画業界の職種マップ、デザイン業界の職種マップにまとめてあります。制作の進行を担う役割についてはWebディレクターの仕事内容もあわせてどうぞ。
まとめ
広告・PR・マーケティング業界の職種は、「代理店・制作会社/PR会社・事業会社」という3つのプレイヤーと、「取ってくる・考える・つくる・回す」という4つの職能の掛け合わせで整理できます。初めて見る職種名でも、この2軸に当てはめれば大体の位置は見当がつきます。
求人票を読むときは、職種名ではなく①どのプレイヤーか、②新規と既存の比率、③上流にどこから入れるかの3点から見てください。年収は300万円台〜500万円台の掲載が中心ですが、年収非掲載の募集も多いため、レンジと評価基準は面談で確認するのが安全です。未経験からであれば、営業・アカウント職、広告運用、ライターのいずれかが現実的な入り口になります。まずは実際の募集要項を何本か読み比べて、自分がどの職能に近いのかを確かめるところから始めてみてください。
知識を皆に
シェアしよう!

広告・PR・マーケティング業界の職種マップ|代理店・制作会社・事業会社の違いと年収レンジ
この記事のシェアをする
こちらの記事は
役に立つはずだよ!
編集部のおすすめ記事
新着記事
-

2026.10.09
制作デスクとは?仕事内容・プロダクションマネージャーとの違い・1日の流れと年収レンジ、未経験から目指す手順
-

2026.10.09
パンフレット制作の進め方|作り方の手順と折り方・製本・紙の選び方、入稿データのチェックリスト
-

2026.10.08
会社案内パンフレットの作り方|載せるべき項目・ページ数別の台割とデザイン発注の進め方、準備チェックリスト
-

2026.10.07
コンテンツマーケターとは?仕事内容・Webライターとの違い・1日の流れと年収レンジ、未経験から目指す手順
-

2026.10.07
合同会社とは?わかりやすく解説|株式会社との違いと向き不向き
-

2026.10.06
SNSマーケティングはやめとけと言われる理由|向く商材・向かない商材の見分け方と自社運用・代行の判断基準























