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Web・アプリ業界の職種マップ|制作から運用までの役割分担と年収レンジ、自分に合う入り口の選び方

Web・アプリ業界の職種マップ|制作から運用までの役割分担と年収レンジ、自分に合う入り口の選び方

「Web業界で働きたいけれど、職種名が多すぎて何がどう違うのかわからない」——求人サイトを開くと、ディレクター、プロジェクトマネージャー、UIデザイナー、フロントエンドエンジニア、Webマーケター……と横文字が並びます。この記事では、Web・アプリ業界にどんな職種があり、ひとつの案件の中でどうつながって動いているのかを1枚の地図のように整理します。年収レンジの目安、似ている職種の見分け方、自分に合う入り口の選び方まで、求人票の読み方とセットで解説します。

Web・アプリ業界の職種は5つのグループに分けて考える

職種名を一つずつ覚えようとすると、100を超える呼び方に埋もれてしまいます。実際の現場では、「案件の中で何に責任を持つか」で5つの職能グループに分かれていると考えると、一気に見通しがよくなります。

職能グループ責任を持つもの代表的な職種名
ディレクション・進行案件が期日・予算どおりに完成することWebディレクター、プロジェクトマネージャー、アシスタントディレクター、テクニカルディレクター
デザイン見た目と使い勝手が目的にかなっていることUI/UXデザイナー、Webデザイナー、アートディレクター、グラフィックデザイナー
エンジニアリング設計どおりに動き、壊れず動き続けることフロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニア、Webエンジニア、テスター
マーケティング・グロース作ったものが使われ、数字が伸びることWebマーケター、広告運用担当、SNSマーケティングプランナー、コンテンツマーケター
ビジネス・営業案件が発生し、取引が続くことセールス、企画提案営業、アカウントマネージャー、カスタマーサクセス

この5グループは、どの会社にもだいたい存在します。違うのは比重です。制作会社ならディレクション・デザイン・エンジニアリングが厚く、事業会社(自社サービスを持つ会社)ならマーケティング・グロースが厚くなります。求人票を読むときは、まず「この募集は5つのうちどこか」を当てはめてみてください。職種名が聞き慣れないものでも、業務内容を読めばだいたいどこかに収まります。

なお、実際の求人では職種名の表記がかなり揺れます。同じ仕事でも「WEBディレクター」「ディレクター」「プロデューサー」と書かれていたり、英語表記の「FRONTEND ENGINEER」だったりします。名前より業務内容の記述を優先して読むのが、この業界の求人を見るときのコツです。

案件はどう流れるのか|工程で見る職種のつながり

職種の関係は、ひとつの案件が始まってから終わるまでの流れに並べると理解しやすくなります。Webサイトやアプリの制作案件を例に、工程ごとの主役と脇役を整理します。

工程中心になる職種一緒に動く職種この工程で決まること
①案件の獲得営業、アカウントマネージャーディレクター、プロデューサー予算、納期、ゴールの合意
②要件定義・設計ディレクター、プロジェクトマネージャーデザイナー、エンジニア、テクニカルディレクター作るものの範囲と仕様
③デザインUI/UXデザイナー、アートディレクターディレクター、エンジニア画面構成、トーン、操作の流れ
④実装・開発フロントエンド/サーバーサイドエンジニアテクニカルディレクター、デザイナー実際に動くもの
⑤検証・修正テスター、ディレクターエンジニア、デザイナー品質、公開できる状態か
⑥公開・運用ディレクター、運用担当エンジニア、マーケター安定稼働と改善の体制
⑦集客・改善Webマーケター、広告運用担当デザイナー、エンジニア、アカウントマネージャー数字の伸びと次の施策

この表で注目してほしいのは、ディレクター系の職種がほぼ全工程に顔を出していることです。だからこそ求人数も多く、業界の入り口としてよく挙げられます。仕事内容の詳細はWebディレクターの仕事内容プロジェクトマネージャー(PM)とは?で詳しく解説しています。

もうひとつのポイントは、⑦の集客・改善から②の要件定義へ戻る流れがあることです。近年のWeb・アプリの仕事は「作って納品して終わり」ではなく、公開後の数字を見て改善を回し続けるものが増えました。運用フェーズを担当する職種の求人が増えているのはこのためです。

職種ごとの年収レンジの目安

年収は会社の規模、地域、経験年数で大きく変わるため、「この職種は○○万円」と一律には言えません。ここではおかねチップスが運営する「サクサク仕事探し」に掲載されている求人で、実際にどのくらいの数字が示されているかを職能グループごとにまとめます。

職能グループ掲載で見られる年収の幅幅が生まれる主な理由
ディレクション・進行350万円台〜500万円台担当する案件規模と、予算責任の有無
プロダクト系マネジメント450万円台〜850万円台事業への責任範囲。上位職は経営に近い
デザイン480万円台〜700万円台専門領域と、方向性を決める立場かどうか
エンジニアリング360万円台〜650万円台担当領域と、チームを見る立場かどうか
マーケティング・グロース350万円台〜500万円台予算の運用規模と、企画から担うかどうか
ビジネス・営業300万円台〜500万円台新規開拓の比率と、目標の持ち方

掲載を見ていくと、いくつかの傾向が読み取れます。まず、アシスタント職やインターン、契約社員の入り口は300万円前後からの掲載が見られます。一方で、エンジニアリングマネージャーやプロダクトマネージャーのように事業やチームに責任を持つ立場は650万円台〜850万円台の掲載もあります。

つまりこの業界では、職種そのものより「何にどこまで責任を持つか」で年収が動きます。同じ「デザイナー」でも、指示を受けて手を動かす立場と、案件全体の方向性を決める立場では倍近い差がつくことがあります。求人票の年収欄だけでなく、業務内容に「立案」「決定」「管理」「マネジメント」といった語が入っているかを合わせて見てください。

なお年収が非掲載の求人も少なくありません。これは「経験・スキルに応じて決定」という意味であることが多く、必ずしも低いわけではありません。面談の場で確認できる項目です。

混同しやすい職種の違いを整理する

この業界の職種名は、隣り合うものほど紛らわしくなります。特に質問が多い組み合わせを整理します。

ディレクター・プロジェクトマネージャー・プロデューサー

職種主に見ているものよく問われる力
Webディレクター制作物の中身と品質要件の整理、制作チームへの指示
プロジェクトマネージャー進行・予算・人の配置計画づくり、リスクの先読み
プロデューサー案件そのものの成立と収支提案、座組みづくり、対外交渉
テクニカルディレクター技術的な実現性と設計技術判断、実装チームとの橋渡し

ただし会社によって呼び方の境界はかなり違います。小規模な制作会社ではディレクターが提案から進行まで全部担うことも珍しくありません。技術寄りの立ち位置についてはテクニカルディレクターとは?で整理しています。

デザイナー系の分かれ方

デザイナーは「何をデザインするか」で分かれます。画面の操作性を設計するのがUI/UXデザイナー、印刷物や広告ビジュアルを扱うのがグラフィックデザイナー、案件全体の見た目の方向性を決めるのがアートディレクターです。求人では「デジタルプロダクトデザイン」「コーポレートデザイナー」といった会社独自の呼称も見られます。職種の選び方はデザイナーになるには?職種の違いと自分に合う選び方、UIとUXの違いはUXデザイナーとは?UIデザイナーとの違い、印刷まわりの実務はグラフィックデザイナーの仕事内容が参考になります。

エンジニア系の分かれ方

画面に見える部分を作るのがフロントエンド、データベースやサーバー側の処理を担うのがサーバーサイド、両方扱うのがWebエンジニアやフルスタックと呼ばれる立場です。品質検証を専門にするテスターや、チームを見るエンジニアリングマネージャーの募集もあります。種類の全体像はエンジニアの仕事内容は?種類別で解説目指すべきエンジニアは?レベル別に全20種類で確認できます。

ビジネス側の分かれ方

新しい取引を取ってくるのが営業・セールス、すでにある取引先を担当して伸ばすのがアカウントマネージャー、施策の企画立案が中心ならアカウントプランナーやプランナーと呼ばれます。詳しくはアカウントマネージャーとは?アカウントプランナーの仕事内容クリエイティブ業界の法人営業とは?をどうぞ。

職種によって必要なスキルはどう変わるか

「未経験だから専門スキルがない」と考えがちですが、この業界では職能グループごとに問われるものがはっきり違います。自分の手持ちがどこに刺さるかを見極めるほうが近道です。

職能グループまず問われる力入り口で求められがちな経験
ディレクション・進行段取り、要点をまとめて伝える力接客・事務・進行管理など、人と期日を扱った経験
デザイン目的から逆算して形にする力制作物のポートフォリオ、ツールの基本操作
エンジニアリング言語やフレームワークの理解、調べて解決する力自作物やコードの提示
マーケティング・グロース数字を読み、仮説を立てる力数値管理の経験、SNSや広告の運用経験
ビジネス・営業相手の課題を聞き出し、提案に変える力他業界での営業経験も評価されやすい

実際の求人では、ディレクション系とビジネス系は他業界からの転職者を受け入れる募集が比較的多く、デザインとエンジニアリングは制作物やコードで実力を示せることが前提になりやすい傾向があります。マーケティングは中間で、数字を扱った経験があれば業界未経験でも入り口が見つかることがあります。Webマーケターを目指す場合は未経験でWebマーケターにチャレンジできる?も参考にしてください。

自分に合う入り口をどう選ぶか

職種を選ぶときは、憧れの職種名から入るより、自分がストレスなく続けられる働き方から逆算するほうが失敗しにくくなります。次の項目に答えてみてください。

  • 人と調整するのは苦ではないか:苦でない→ディレクション・ビジネス系/集中して作りたい→デザイン・エンジニアリング系
  • 成果が数字で出るほうが燃えるか:燃える→マーケティング・営業系/作ったものの質で評価されたい→制作系
  • ひとつのものを長く育てたいか:育てたい→事業会社のプロダクト系/いろいろな案件に関わりたい→制作会社・代理店
  • 学習に時間を投資できるか:できる→エンジニアリング・デザイン/実務の中で覚えたい→ディレクション・営業
  • 働き方の希望はあるか:リモート可の募集は職種によって差がある。制作・開発系のほうが選択肢は多め

もうひとつ知っておきたいのは、この業界では職種の移動が珍しくないことです。アシスタントディレクターからディレクターへ、ディレクターからプロジェクトマネージャーやプロデューサーへ、デザイナーからアートディレクターへ、といった流れは実際によくあります。エンジニアからテクニカルディレクターやエンジニアリングマネージャーへ進む道もあります。最初の職種は「その後どこへ行けるか」も含めて選ぶと、選択の重さが少し軽くなります。

求人票で確認したいポイント

職種名が同じでも、会社によって仕事の中身は驚くほど違います。応募前に次の項目を確認してください。書かれていなければ、面談で聞くべき質問リストになります。

  • 会社の立ち位置:制作会社・代理店・事業会社のどれか。案件の入り方も働き方も変わる
  • 担当する工程の範囲:先ほどの工程表①〜⑦のうち、どこからどこまでを任されるか
  • ひとりで持つ案件数:同時進行の本数は忙しさに直結する
  • チームの構成:デザイナーやエンジニアが社内にいるか、外部パートナーが中心か
  • 裁量の範囲:提案や仕様の決定に関われるか、決まったものを進めるのか
  • 年収の決まり方:レンジの下限と上限、どんな評価で上がるのか
  • 未経験者の受け入れ実績:教育体制と、直近で入った人の前職
  • 働き方:リモートの可否、出社頻度、クライアント先への常駐があるか

とくに「会社の立ち位置」と「担当する工程の範囲」は最優先で確認したい2つです。この2つが違うと、同じ職種名でも日々の仕事はまったく別物になります。発注側の事情も知っておきたい場合はWeb制作会社の選び方と費用相場を読むと、案件がどう発生してどこにお金が動くのかが見えてきます。

よくある質問

未経験からいちばん入りやすい職種はどれですか?

募集の数で見ると、アシスタントディレクターやアシスタント職、営業・セールス系が入り口になりやすい傾向があります。専門ツールの習熟より、段取りやコミュニケーションが問われるためです。ただし「入りやすさ」と「向いているか」は別の話です。手を動かして作りたい人がディレクションに入ると、やりがいを感じにくいこともあります。前の章のチェック項目と照らして選んでください。

制作会社と事業会社、どちらを選ぶべきですか?

短期間で多くの案件を経験したいなら制作会社や代理店、ひとつのサービスを長く育てたいなら事業会社が合います。制作会社は幅広い業種・多様な制作物に触れられるのが強みで、経験の密度が上がりやすい環境です。事業会社は公開後の数字を見て改善を重ねられるため、運用や成長の視点が身につきます。どちらが上ということはなく、身につく経験の種類が違います。

職種名が求人ごとにバラバラで混乱します。どう読めばいいですか?

職種名は読み飛ばして、業務内容の箇条書きから読むのが確実です。「進行管理」「スケジュール」「見積」といった語が並べばディレクション系、「要件定義」「実装」「テスト」ならエンジニアリング系、「新規開拓」「アポイント」なら営業系です。そのうえで冒頭の5グループ表に当てはめると、聞いたことのない職種名でも位置づけがつかめます。

資格は必要ですか?

Web・アプリ業界では、資格が応募の必須条件になることはあまりありません。実績や制作物のほうが重視されます。ただし基礎知識を体系的に学んだ証明として役立つ場面はあり、未経験からの応募で学習の意欲を示す材料にはなります。優先順位としては、資格取得より手を動かした成果物を1つ用意するほうが効果的です。

いま募集が多い職種はどれですか?

掲載を見ていくと、ディレクター・プロジェクトマネージャーなどの進行系と、デザイナー系の募集が目立ちます。案件のほぼ全工程に関わる職種であることと、案件数に比例して必要人数が増えることが理由と考えられます。ただし募集状況は時期によって変わるため、上のリンクから実際の掲載を確認してみてください。

まとめ

Web・アプリ業界の職種は、ディレクション・デザイン・エンジニアリング・マーケティング・ビジネスの5グループに分けて捉えると全体像がつかめます。そしてそれぞれは独立しているのではなく、案件獲得から要件定義、制作、公開、改善までひとつの流れの中でつながっています。

年収は職種名よりも「何にどこまで責任を持つか」で動き、掲載では300万円台の入り口から800万円台まで幅があります。職種名の表記は会社ごとに揺れるため、名前ではなく業務内容の記述で判断するのが求人を読むときの基本です。

そして、最初に選んだ職種がそのままキャリアを固定するわけではありません。この業界は職種間の移動が比較的活発です。まずは自分が続けられそうな働き方から入り口を決めて、実際の求人でどんな仕事が募集されているかを見てみることをおすすめします。

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