line hatena

デザイン業界の職種マップ|グラフィック・UI/UX・プロダクトの役割分担と、求人票の職種名の読み方

デザイン業界の職種マップ|グラフィック・UI/UX・プロダクトの役割分担と、求人票の職種名の読み方

デザインの求人を眺めていると、「デザイナー」「UIデザイナー」「プロダクトデザイナー」「アートディレクター」「デジタルプロダクトデザイン」と、似ているようで違う職種名が並びます。同じ「デザインの仕事」でも、扱うもの・組む相手・評価のされ方はかなり違います。この記事では、デザイン業界の職種を「領域」と「階層」の2軸で地図にして、それぞれがどこでつながっているのか、求人票の職種名をどう読み解けばいいのかを整理します。

「自分はどの職種を目指すか」を決める段階の方にはデザイナーになるには?職種の違いと自分に合う選び方が向いています。この記事はその一歩先——業界全体の並びと、職種同士の関係を俯瞰する地図として使ってください。

デザイン業界の職種は「4つの領域 × 3つの階層」で整理できる

デザイン職の求人は数が多く、職種名も会社ごとにばらつきます。混乱を減らすいちばん簡単な方法は、「何をデザインするか(領域)」と「どこまで決める立場か(階層)」を分けて考えることです。この2軸さえ持っていれば、初めて見る職種名でも大体の位置が見当をつけられます。

領域デザインする対象求人票で見かける職種名主な所属先
グラフィック/ブランドロゴ、印刷物、パッケージ、広告ビジュアル、サイネージグラフィックデザイナー、デザイナー(グラフィック/タイポグラフィ)、アートディレクターデザイン事務所、広告制作会社、印刷会社、事業会社の宣伝部
UI/UX・デジタルプロダクトアプリ・Webサービスの画面と体験UIデザイナー、UI/UXデザイナー、デジタルプロダクトデザイン、プロダクトデザイナー(デジタル文脈)事業会社(自社サービス)、制作会社、デザインファーム
プロダクト/空間工業製品、什器、店舗、展示、体験の場プロダクトデザイナー、コミュニティデザイナー、空間・什器のデザインデザイン事務所、メーカー、施工・ディスプレイ会社
CG・映像ビジュアル3DCG、モーション、映像内のビジュアル要素CGジェネラリスト、3DCGデザイナー、デジタルアーティスト、テクニカルアーティスト映像プロダクション、ポスプロ、ゲーム・XR系スタジオ

ここで注意したいのが、「プロダクトデザイナー」という同じ職種名が、まったく違う2つの意味で使われていることです。デジタル領域では「アプリやWebサービスの画面と体験をつくる人(UIデザイナーの発展形)」、工業・空間領域では「触れられるモノをつくる人」を指します。求人票を読むときは職種名だけで判断せず、仕事内容の欄に「Figma」「ユーザーテスト」と書いてあるのか、「3D CAD」「試作」「量産」と書いてあるのかで見分けてください。

領域別に見る職種マップ

グラフィック/ブランド領域

ロゴ、名刺、パンフレット、パッケージ、屋外広告、サイネージ——「見て伝わる形」をつくる、デザイン業界のいちばん古い幹にあたる領域です。近年の求人では紙だけで完結することは少なく、「グラフィック/タイポグラフィ/ウェブ/サイネージ」を横断して担当する募集も見られます。ブランドの世界観をつくり、それを媒体ごとに展開していく力が中心のスキルです。

この領域の日々の仕事はグラフィックデザイナーの仕事内容|1日の流れ・印刷とWebの違いで、パッケージに特化した進み方はパッケージデザイナーになるにはで詳しく扱っています。将来性について気になる方はグラフィックデザイナーに未来はあるの?もあわせてどうぞ。

UI/UX・デジタルプロダクト領域

アプリやWebサービスの画面をつくる領域です。求人数が多く、年収の掲載レンジも高めに出やすいのが特徴で、サクサク仕事探しの掲載でもUI/UXデザイナーで650万円、デジタルプロダクトデザインで700万円といった提示が見られます(いずれも正社員・上限側の提示)。

この領域が他と違うのは、デザインしたものが「使われた結果」で評価される点です。見た目の完成度だけでなく、離脱率や完了率といった数字、ユーザーインタビューでの反応が判断材料になります。だからエンジニア・プロダクトマネージャーとの距離が近く、UIとUXの守備範囲もチームによってかなり変わります。両者の線引きはUXデザイナーとは?UIデザイナーとの違いで整理しています。周辺職種との連携までまとめて見たい場合は、姉妹記事のWeb・アプリ業界の職種マップが地図になります。

プロダクト/空間領域

工業製品、什器、店舗、展示空間など、物理的に存在するものをデザインする領域です。デジタル領域と決定的に違うのは「あとから直せない」こと。量産や施工に入ってしまえば修正はコストに直結するため、試作・検証の工程が厚く、素材や製造方法の知識が必須になります。募集数はデジタル領域ほど多くありませんが、デザイン事務所が業務委託と正社員の両方で募集していることがあります。

空間デザインの仕事がどんな会社で行われているかは、発注側の視点でまとめた空間デザインが得意なおすすめの企業15選を見ると具体的にイメージできます。

CG・映像ビジュアル領域

3DCG、モーショングラフィックス、XRなど、動くビジュアルをつくる領域です。CGジェネラリスト、3DCGデザイナー、デジタルアーティスト、テクニカルアーティストといった職種名で募集されます。テクニカルアーティストのように、制作とエンジニアリングの中間に立つ職種があるのがこの領域の特徴で、ツールの自動化やパイプライン整備まで担当することもあります。映像制作の座組み全体は映像・動画業界の職種マップで扱っています。

3つの階層|手を動かす人から、方向を決める人まで

領域が「横」だとすれば、階層は「縦」です。どの領域にも、おおむね次の3階層があります。同じ会社の同じチームでも、階層が変われば1日の使い方がまるごと変わります。

階層代表的な職種名主な責任時間の使い方
実制作アシスタントデザイナー、デザイナー、UIデザイナー、CGデザイナー決まった方向性のもとで、実際のアウトプットをつくる制作7〜8割、打ち合わせ2〜3割
ディレクションアートディレクター(AD)、リードデザイナー、デザインマネージャービジュアルの方向性を決め、複数人のアウトプットの水準をそろえる制作3〜4割、レビュー・打ち合わせ6〜7割
クリエイティブ統括クリエイティブディレクター(CD)、デザイン責任者企画の骨格・コンセプトから関与し、案件やブランド全体の質に責任を持つ制作はほぼなし、企画・提案・意思決定が中心

この階層は年収にも素直に反映されます。掲載を見ると、アートディレクターで400万円台の提示、ディレクション業務を含むデザイナー職で600万円台、クリエイティブディレクターでは400万円台から1,000万円台まで大きく開いた提示が見られます。同じ「クリエイティブディレクター」でも、10人の制作会社と大手代理店では意味も待遇も別物だと考えたほうが安全です。アートディレクターの具体的な仕事内容はアートディレクターとは?仕事内容と有名アートディレクター15人で紹介しています。

誰と組んで案件が進むのか

デザイナーは一人で完結する仕事ではありません。とくに制作会社・代理店では、案件はおおむね次の順番で進み、その各地点でデザイナーの隣に別の職種が立ちます。「隣に誰がいるか」が分かると、求人票の体制説明が読めるようになります。

工程主導する職種デザイナーの関わり方
案件の獲得・与件整理営業/プロデューサー実現可能性と工数の目安を聞かれる
企画・コンセプト設計プランナー/クリエイティブディレクター方向性のたたき台をビジュアルで示すことがある
設計・構成ディレクター/UXデザイナー構成案をもとに画面や誌面の骨格を組む
制作アートディレクター+デザイナーここが主戦場。ADのレビューを受けながら仕上げる
実装・出力エンジニア/印刷会社/施工会社データを渡し、再現できる形かを一緒に詰める
公開・納品後ディレクター/運用担当改善要望を受けて更新版をつくる

この表で分かるとおり、デザイナーの上流には必ず「案件を動かす役割」がいます。Web案件ならWebディレクター、技術的な実現性を握る場面ではテクニカルディレクターが入ります。デザイナーとして経験を積むうちに、この上流側へ移っていく人も少なくありません。

年収の目安とキャリアの伸ばし方

デザイン職の求人は、年収を明示せず「月給」や「経験に応じて決定」と書かれているものが一定数あります。とくに実制作階層のグラフィック・CG系はその傾向が強く、掲載レンジだけで領域全体の相場を判断するのは危険です。そのうえで、サクサク仕事探しに掲載されている求人から読み取れる傾向をまとめると次のようになります。

ポジション掲載で見られる提示読み取れること
UI/UX・デジタルプロダクト650万円〜700万円の提示が見られるデザイン職の中では上限側が高く出やすい
ディレクション業務を含むデザイナー職600万円台の提示が見られる制作+方向性決定の兼務で上がりやすい
アートディレクター400万円台の提示が見られる肩書きより担当範囲で幅が出る
クリエイティブディレクター400万円台〜1,000万円台まで幅がある会社の規模・扱う案件で大きく変わる
グラフィック・CG系の実制作年収非掲載(月給・応相談)の募集も多い面接でレンジを確認する前提で臨む

年収を伸ばす道筋は、大きく3つあります。①階層を上げる(デザイナー→AD→CD)、②高単価な領域に移る(グラフィック→UI/UX、実制作→事業会社のプロダクト)、③希少な組み合わせをつくる(デザイン+コード、デザイン+3D、デザイン+事業理解)。とくに③は、テクニカルアーティストやデジタルプロダクトデザインのように領域の境界にある職種で強く効きます。

領域をまたいで移るとき、何を持ち込めるか

「グラフィックからUIへ」「UIからプロダクトへ」といった移動は現実に起きています。ただし持ち込めるものと、学び直しが必要なものははっきり分かれます。

  • 持ち込めるもの——余白・階層・タイポグラフィといった造形の基礎、コンセプトを言葉にする力、レビューに耐える説明力、締切内で仕上げる進行感覚
  • 学び直しが必要なもの——その領域固有の制約(印刷なら色と製版、UIならOSのガイドラインと実装コスト、プロダクトなら素材と量産、CGならツールとパイプライン)

つまり移動のハードルは「センス」ではなく「制約の知識」にあります。ポートフォリオでは、移りたい領域の制約を理解していることが伝わる作品を1点でも入れておくと、書類選考の通過率が変わります。

未経験から入るときの現実的な入口

デザイン業界は、実務経験を求める求人が多数派です。そのうえで、未経験・経験浅めの人にも門が開いているのは次のような入口です。

  1. アシスタント職から入る——アシスタントデザイナー、制作アシスタントなど。手を動かしながら現場の進み方を覚えられる
  2. 職種名が広い「デザイナー」求人を狙う——少人数の会社ほど守備範囲が広く、複数領域を経験できることがある
  3. 業務委託・インターンで実績をつくる——正社員に絞らず、案件単位で入って実績を積む道もある
  4. 隣接職種から横に移る——コーダー、進行管理、営業アシスタントなどから社内異動でデザインに関わるパターン

どの入口を選ぶにしても、ポートフォリオは「作品集」ではなく「考え方の記録」として組むのが効きます。何を課題と捉え、どう解いたのか。実務経験がなくても、この思考の跡は評価できます。

求人票で確認したいポイント

デザイン職の求人票は、同じ職種名でも中身が大きく違います。応募前に次の点を確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。

  • 領域の実体——「プロダクトデザイナー」がデジタルなのか工業製品なのか。仕事内容欄のツール名で判別する
  • 階層の実体——「アートディレクター」の募集でも、実際は手を動かす比率が高いことがある。レビューする側か、される側か
  • クライアントワークか自社サービスか——受託は案件の種類が豊富、自社は同じプロダクトを長く育てる。向き不向きが分かれる
  • チーム構成——デザイナーが何人いるか。一人目のデザイナーなら、仕組みづくりから任される
  • 上流にどこから入れるか——企画から関われるのか、決まった方向性を形にするのか
  • 年収の提示方法——年収非掲載・月給表記・「経験に応じて」の場合は、面接でレンジと評価基準を必ず確認する
  • 働き方——リモート可否と出社頻度。フルリモートの募集もあれば、撮影や試作立ち会いで出社が前提の領域もある

とくに1つ目と2つ目は、職種名だけを見て応募すると入社後に「思っていた仕事と違う」となりやすい部分です。募集要項に書かれていなければ、カジュアル面談の段階で聞いておきたい項目です。

よくある質問

「デザイナー」とだけ書かれた求人は、何をする仕事ですか?

会社の規模によります。少人数の制作会社やデザイン事務所では、グラフィックもWebもサイネージも横断して担当することが多く、職種名を細かく分ける意味がないため「デザイナー」と表記されます。仕事内容欄に並ぶ媒体名と使用ツールを見れば、実際の守備範囲が読み取れます。

グラフィックとUIは、どちらが求人が多いですか?

掲載を見る限り、デジタル領域(UI/UX・デジタルプロダクト)のほうが募集数も年収の提示レンジも出やすい傾向があります。ただしグラフィック領域は、ブランドの根幹をつくる仕事としてデザイン事務所や広告制作会社に安定して存在します。数の多さだけで選ばず、自分が長く続けられる対象かで判断してください。

アートディレクターになるには、何年くらいかかりますか?

会社と本人の担当範囲によって大きく変わるため、年数で一律に語れる職種ではありません。目安として意識したいのは年数より「自分以外のアウトプットに責任を持った経験があるか」です。後輩のレビュー、外部デザイナーへの発注、複数媒体の統一——こうした経験が積み上がるとADの候補として見られるようになります。

コードが書けないとUIデザイナーになれませんか?

必須にしている求人ばかりではありません。ただし「実装するとどれくらい大変か」が分かるかどうかは、エンジニアとの会話の質に直結します。書けなくても、レスポンシブの考え方、コンポーネントという単位、デザインシステムの役割を理解しておくと実務がスムーズになります。

生成AIが普及すると、デザイン職は減りますか?

現時点の求人を見る限り、募集はデジタル領域を中心に継続しています。作業としての「量産」は影響を受けやすい一方、何を課題と定義し、どの方向に振るかを決める仕事——つまりこの記事でいうディレクション以上の階層は、置き換えが難しい部分です。ツールを使えることと、方向を決められることは別のスキルとして積んでおくのが安全です。

まとめ

デザイン業界の職種は、「何をデザインするか(グラフィック/UI・UX/プロダクト・空間/CG・映像)」と「どこまで決める立場か(実制作/ディレクション/統括)」の2軸で整理できます。この地図を持っていれば、初めて見る職種名でも位置の見当がつき、求人票の記述からどの領域・どの階層の募集なのかを読み解けます。

そのうえで押さえておきたいのは、①「プロダクトデザイナー」のように同じ名前で違う仕事を指す職種名があること、②年収は職種名より担当範囲と会社規模で決まること、③領域の移動で問われるのはセンスではなく制約の知識であること——の3点です。気になる求人が見つかったら、職種名ではなく仕事内容欄とチーム構成から読み解いてみてください。

個別の職種をさらに深く知りたい方は、デザイナーになるには?職種の違いと自分に合う選び方、業界横断で職種のつながりを見たい方はWeb・アプリ業界の職種マップと映像・動画業界の職種マップもあわせてご覧ください。

知識を皆に
シェアしよう!

知識を皆にシェアしよう!
デザイン業界の職種マップ|グラフィック・UI/UX・プロダクトの役割分担と、求人票の職種名の読み方

デザイン業界の職種マップ|グラフィック・UI/UX・プロダクトの役割分担と、求人票の職種名の読み方

この記事のシェアをする

  1. Top
  2. お仕事ナレッジ
  3. デザイン業界の職種マップ|グラフィック・UI/UX・プロダクトの役割分担と、求人票の職種名の読み方
記事一覧に戻る

こちらの記事は
役に立つはずだよ!

こちらの記事は役に立つはずだよ!

編集部のおすすめ記事

新着記事

働き者ストーリー

WORKER STORIES

働き者ストーリーとは、「働くのが大好き」で、「その道を追求する働き手」の生き様を知れるインタビューです。それぞれのストーリーを読めばあなたも新しい仕事に出会えるかもしれません。

働き者ストーリーをもっと見る