医療と患者の未来を明るく照らす。ANOBAKAの萩谷聡が注目する、ヘルスケア スタートアップ5社
各業界に特化したキャピタリストから、日本と世界を代表する100社のユニコーン企業になり得る注目のスタートアップを先取りでピックアップする本企画。今回ご登場いただくのは、シード期・アーリーステージの起業家を支援するベンチャーキャピタル(VC)※、株式会社ANOBAKA パートナーの萩谷聡さんです。
今、萩谷さんが注目しているというのが、最新技術をいかして病気の治療や予防に取り組む事業を展開する「ヘルスケア」領域のスタートアップ。なぜ今、ヘルスケアが注目なのか。はたまたその伸びしろとは? 萩谷さんにそんな率直な疑問をぶつけつつ、ヘルスケア領域で注目のスタートアップ5社を選出していただきました。
※ 未上場のスタートアップ企業に出資を行う投資会社のこと
ANOBAKAとは?
“Empowering Mad Dreams”をビジョンとして、シード期(創業前)やアーリーステージ(創業直後)の起業家の支援を行うVC。「チャレンジ」を至高の概念とし、とくに希少価値の高い起業家の原石がいるシード領域に特化。これまでにスタートアップ120社以上へ投資とその成長のサポートを行っている。
「覚悟」「軸」「成長率」を鑑みて、シード期のスタートアップに投資
国内のVC業界も盛り上がってきてはいますが、海外に比べたらまだまだ。だから、私たちVCこそ挑戦者であるべきですし、同じく新しい事業に挑戦する起業家たちをサポートしていきたいという気持ちが強いんです。
そのため、当事者意識で支援できるのが強み。頻繁に起業家と壁打ちしながら相談に乗りますし、採用支援や人材の紹介、事業連携の提案も行っています。
また、日本ではシード期のスタートアップに投資する件数が、アメリカと比べて20倍以上も少ないといわれています。日本からユニコーン企業を生み出すには、こういった社会の構造を変える必要がある。だから、私たちが挑戦できる環境を整え、起業家たちが戦える土壌をしっかりと築いていきたい。そこで挑戦を続ける起業家たちから選ばれるVCになっていきたいという思いがあるんです。
投資の成果がわかるには7〜10年かかるのですが、一番のリスクは起業家が事業を途中で諦めること。だから、強い使命感を持って事業で取り組む覚悟があるかどうか。起業家の言動から、私はそれを見極めています。
ANOBAKAの萩谷聡さんが選出! ヘルスケア領域を牽引するスタートアップ5社
ここからは萩谷さんに、ヘルスケア領域で注目のスタートアップ5社をそのポイントとともにお聞きします。
製薬会社と患者の架け橋に|株式会社Buzzreach
製薬会社と患者の課題を解決し、両者を結びつけるプラットフォームサービスを提供。テクノロジーを用いて、新薬承認に必要な治験の情報提供を行い、患者の声を形にした薬の開発、新薬の早期承認に導く。1日でも早く患者が自由に治療法を選べる世界の創出に尽力している。
女性向けオンライン診療サービス「smaluna(スマルナ)」|株式会社ネクイノ
医師や薬剤師、弁護士などが集まり、2016年6月に創業。「世界中の医療空間と体験をRe▷designする」メディカルコミュニケーションカンパニーを掲げ、テクノロジーと対話の力で世の中の視点を上げ、イノベーションの社会実装を推進する。2018年6月に、婦人科領域に特化したオンライン診察プラットフォーム「スマルナ」をリリース。スマホで医師にピルの相談から診察、処方までを行える。
ヘルスケア×シェアリングのプラットフォーム「HANOWA」|株式会社HANOWA
歯科医療従事者と歯科医院のシェアリングプラットフォームの運営を行う。シェアリングプラットフォーム「HANOWA」は、新卒求人倍率およそ20.7倍と言われる歯科衛生士の人材不足解消を目的として2019年にリリース。人材不足に頭を抱える歯科医院へ、歯科衛生士や歯科医師を最短翌日で勤務をお願いできる。
入退院支援クラウド「CARE BOOK(ケアブック)」|株式会社3Sunny
オンライン上で、入退院調整業務を可能にする全国初のクラウドサービス「CARE BOOK」を提供する。これまで病院のスタッフが電話やFAXで行っていた患者の退院調整をクラウド化し、リハビリ病院や介護施設、在宅クリニックなど後方施設に一括打診できるように。
咽頭画像でインフルエンザを判定|アイリス株式会社
病院や医師向けの人工知能技術(AI)関連医療機器を開発。医師の診察技術である「匠の技」をほかの医師でも再現できるよう、AI技術を用い新しい医療の実現に向け取り組む。なかでも注目は、AI化に適した咽頭撮影ができる自社製カメラの開発。こちらで撮影された咽頭画像をもとに、インフルエンザなど感染症の判定を実現させている。
ヘルスケア領域のスタートアップがユニコーン企業になるために
個人的には、AIを使った医療機器など精密なテックを使い、社会課題の解決に導くスタートアップが増えることを期待しています。
萩谷聡(はぎや さとし)
2013年3月東北大学大学院理学研究科修了。在学中は自身でWebサービスを立ち上げ、運営。2013年KLab株式会社に入社後はゲーム事業部にてモバイルゲームの運用、新規ネイティブゲームの立ち上げに企画として従事。2015年4月よりKLab Ventures株式会社に参画し、複数の投資先ベンチャーの支援を実施。2015年10月に株式会社KVPに参画し、30社以上の投資実行、支援を実施。
撮影/武石早代
取材・文/おかねチップス編集部
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