パンフレット制作の進め方|作り方の手順と折り方・製本・紙の選び方、入稿データのチェックリスト

商品やサービスを紹介したい、会社案内とは別に事業ごとの資料を用意したい、展示会で配るものが要る——パンフレットは今でも営業や販促の現場で出番の多い印刷物です。ところが初めて担当すると、「三つ折りと冊子のどちらにするか」「紙は何を選べばいいのか」「入稿データの『塗り足し』とは何か」といった、作り方そのもののところで手が止まりがちです。
この記事では、パンフレット制作を初めて担当する方向けに、判型とページ数の決め方、折り方と製本方法の選び分け、紙の選び方、入稿データの決まりごと、制作の工程表、費用が動く要因、入稿前のチェックリストまでを順番に整理します。
会社案内として何を載せるか(掲載項目と台割)は会社案内パンフレットの作り方で、依頼先の選び方や著作権を含むデザイン発注全般の基礎はグラフィックデザインの依頼ガイドでまとめています。本記事はパンフレットを「どういう形で、どう作るか」に絞った内容です。
パンフレットとは|チラシ・リーフレット・会社案内との違い
パンフレットは、複数の面やページで情報を伝える印刷物の総称です。1枚の紙を折って作る「折りパンフレット」と、複数枚の紙を綴じて作る「冊子パンフレット」の2系統があります。呼び名の使い分けは業界や会社によって揺れがありますが、発注の場面では次のように整理しておくと話が通じやすくなります。
- チラシ:1枚もので折らないもの。告知やキャンペーンなど、短期間で使い切る用途が中心
- リーフレット:1枚の紙を折ったもの。三つ折りなど、ページ数の少ない案内物
- パンフレット:折りもの・冊子の両方を含む広い呼び名。商品・サービス・施設の案内など、繰り返し配るもの
- 会社案内:パンフレットのうち、会社そのものを紹介するもの
1枚ものの費用の組み立て方はチラシ・ポスター制作の費用相場が参考になります。パンフレットはそこに「折り」や「製本」という加工が加わり、ページ構成の設計が必要になる点が大きな違いです。
最初に決めるのは「判型」と「形式」|ページ数はあとからついてくる
パンフレット制作で最初に決めるべきなのは、デザインの雰囲気ではなく仕上がりのサイズ(判型)と形式(折りか冊子か)です。ここが決まらないと、デザイナーはレイアウトを始められず、印刷会社も見積もりを出せません。
判型は「どこで、どう渡すか」で選ぶ
日本の印刷物ではA4・A5・B5などのJIS規格サイズが標準です。標準サイズは紙の取り都合がよく、封筒やクリアファイル、パンフレットスタンドなど周辺の備品とも合わせやすいため、特別な理由がなければ標準サイズから選ぶのが無難です。
- 書類と一緒にクリアファイルで渡す・郵送する → A4(閉じた状態)が扱いやすい
- 店頭やカウンターに置く・持ち帰ってもらう → A4三つ折りの仕上がり(細長い形)やA5が手に取りやすい
- 情報量が多く、カタログ的に使う → A4やB5の冊子
- 正方形などの変形サイズ → 印象には残るが、紙の取り都合や封筒が合わず割高・手間になりやすい
ページ数は「載せたい情報」から逆算する
載せたい情報を項目ごとに書き出し、1項目にどれくらいの面積が要るかを見積もると、必要な面数が見えてきます。面数が6面程度までなら折りパンフレット、8ページを超えてくるなら冊子、というのがひとつの目安です。冊子の場合は後述のとおり製本方法によってページ数の単位が決まるため、中身を詰めてから最後に帳尻を合わせるのではなく、早い段階で「何ページの冊子か」を仮決めしておくと手戻りが減ります。
折りパンフレットの折り方の選び方【比較表】
折りパンフレットは、同じ1枚の紙でも折り方によって開いたときの見え方と面数が変わります。代表的な折り方と、向いている用途を整理しました。

| 折り方 | 面数 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| 二つ折り | 4面 | 中央で1回折る。開くと見開きの大きな面が使える | 見開きで写真や図を大きく見せたい案内、メニュー |
| 巻三つ折り | 6面 | 両端を内側に巻き込む。内側に入る面を少し短く作る必要がある | 商品・サービス案内、施設案内など定番の用途 |
| Z折り(外三つ折り) | 6面 | 交互に折るため、開く途中で面が順に現れる。全面同じ幅で作れる | 手順や時系列を順に見せたい案内、地図 |
| 観音折り | 8面 | 両端を扉のように中央へ折り込む。開くと中央に大きな面が現れる | 開いたときの印象を重視する案内、商品の発表 |
| DM折り(十字折り) | 8面 | 縦横に1回ずつ折る。広げると1枚の大きな紙になる | 郵送物、広げて見る地図・路線図 |
巻三つ折りや観音折りでは、内側に折り込まれる面を他の面より少し短く作らないと、折ったときに紙端がはみ出したり、折り目に波打ちが出たりします。縮める量は紙の厚さや印刷会社の仕様で変わるため、入稿先が配布しているテンプレートの寸法に従うのが確実です。
冊子パンフレットの製本方法|中綴じと無線綴じの違い
8ページを超える冊子にする場合は、製本方法を選びます。パンフレットで使われるのはほとんどが「中綴じ」か「無線綴じ」です。
| 比較項目 | 中綴じ | 無線綴じ |
|---|---|---|
| 綴じ方 | 重ねた紙を二つ折りにし、折り目を針金(ホチキス)で留める | 紙の背を糊で固めて表紙でくるむ |
| ページ数の単位 | 4の倍数(8P・12P・16P…) | 製本の仕様による(入稿先に確認) |
| 向いているページ数 | 少なめ〜中程度の冊子 | ページ数が多い冊子 |
| 開きやすさ | 根元までしっかり開く。見開きの写真もつながりやすい | 根元(ノド)が開きにくく、中央付近の文字が読みにくくなる |
| 背表紙 | なし | あり(背に文字を入れられる) |
| 注意点 | ページが多いと中央のページほど外側にずれ出す | ノド側に文字や重要な図を寄せすぎない |
中綴じが「4の倍数」になるのは、1枚の紙を二つ折りにすると表裏で4ページ分になるためです。たとえば台割を作った結果10ページ分の内容になった場合、8ページに絞るか、12ページに増やすかを決める必要があります。ページ数は内容ではなく製本の都合で決まることを、構成を考える段階から意識しておきましょう。
紙の選び方|種類と厚さで手触りと印象が変わる
同じデザインでも、紙が変わると色の出方・手触り・高級感が大きく変わります。パンフレットでよく使われる紙の種類を比較します。
| 紙の種類 | 表面の特徴 | 向いている内容 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| コート紙 | 光沢があり、写真の発色が鮮やか | 商品写真の多いパンフレット、カタログ | 光が反射して文字が読みにくくなる場合がある |
| マットコート紙 | 光沢を抑えた落ち着いた質感 | 文字と写真のバランスがよい案内全般 | コート紙より発色はやや控えめ |
| 上質紙 | コーティングなしで書き込みやすい | 申込書付きの案内、文字中心の冊子 | 写真の発色はくすみやすい |
| ファンシーペーパー(特殊紙) | 色や凹凸・風合いがある | ブランドの世界観を伝えたい案内 | 割高になりやすく、色の再現が紙によって大きく変わる |
紙の厚さは「kg(連量)」や「g/㎡(坪量)」で表されます。数字が大きいほど厚くなりますが、同じ数字でも紙の種類で体感の厚さが異なるため、実物の紙見本(サンプル)を取り寄せて手で確かめるのが失敗しないコツです。冊子の場合、表紙だけを本文より厚い紙にすると、持ったときにしっかりした印象になります。一方、折りパンフレットは厚すぎると折り目が割れやすくなるため、厚さと折り加工の相性も印刷会社に確認しましょう。
入稿データの決まりごと【チェックリスト】
自社でデータを作る場合も、デザイン会社に任せる場合も、入稿データの基本ルールを知っておくと、校正の段階で問題に気づけます。特に次の項目は、守られていないと刷り直しや入稿差し戻しにつながりやすいポイントです。
- □ 塗り足し:紙の端まで色や写真を敷く場合、仕上がりサイズより外側に一般的に3mm程度はみ出させて作っている
- □ トンボ(裁ち落としの目印):入稿先の指定どおりにトンボを付けている、またはテンプレートを使っている
- □ 文字の安全域:文字やロゴなど切れては困る要素を、仕上がり線から数mm以上内側に置いている
- □ カラーモード:印刷用データはCMYKで作っている(RGBのままだと色がくすんで見えることがある)
- □ 画像の解像度:配置画像は実際の使用サイズで300〜350dpi程度を目安に確保している
- □ フォント:アウトライン化する、またはフォントを埋め込んだPDFで入稿している
- □ 折り位置:折り目の上に文字や顔写真がかかっていない。内側に入る面の寸法を縮めている
- □ ページ順:冊子のページ番号と台割が一致している。中綴じは4の倍数になっている
- □ ファイル形式:入稿先が指定する形式(PDF/Xなど)や、保存バージョンに合わせている
入稿データの考え方は印刷物全般で共通です。箱やラベルなどパッケージ印刷特有の決まりごとはパッケージ印刷の基礎で詳しく扱っています。
パンフレット制作の進め方【工程表】
デザイン会社に依頼して印刷まで行う場合の、一般的な流れです。期間は内容やページ数、撮影の有無で大きく変わるため、あくまで目安として捉えてください。
| 工程 | やること | ここで決まること | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 企画 | 目的・読者・配布場面・部数を整理する | 判型・形式(折り or 冊子)の方向性 | 数日〜1週間程度 |
| 2. 構成(台割) | 面・ページごとに載せる内容を割り付ける | 面数・ページ数、必要な素材 | 1週間前後 |
| 3. 素材準備 | 原稿・写真・ロゴ・図版を集める。必要なら撮影 | 掲載する文章と写真 | 撮影の有無で数日〜数週間 |
| 4. デザイン | ラフ案の提示、方向性の決定、全ページのレイアウト | デザインの方向性 | 1〜3週間程度 |
| 5. 校正 | 誤字・数字・連絡先・写真の確認と修正 | 最終の内容 | 修正回数による |
| 6. 入稿・色校正 | 印刷データを入稿。必要なら色校正で色味を確認 | 印刷される色 | 数日〜1週間程度 |
| 7. 印刷・加工・納品 | 印刷、折り・製本などの加工、納品 | 仕上がり | 部数・加工による |
スケジュールが遅れやすいのは、デザインそのものよりも工程3の素材準備と工程5の社内確認です。展示会など配布日が決まっている場合は、納品日から逆算して社内の確認者と確認期限を先に押さえておきましょう。展示会向けの準備全体は展示会出展の準備と費用の内訳も参考になります。
費用が動く要因と、依頼先の選び方
パンフレットの費用は、大きくデザイン費(企画・構成・レイアウト)と印刷・加工費に分かれ、撮影やライティングを頼む場合はその分が加わります。金額は依頼先や仕様によって大きく異なるため、ここでは「何が金額を動かすか」を整理します。
- ページ数・面数:レイアウトする量が増えるほどデザイン費が増え、紙や製本の手間で印刷費も増える
- 部数:部数が増えると総額は上がるが、1部あたりの単価は下がる傾向がある
- 紙と加工:特殊紙、厚い紙、表面加工(PP加工など)、特殊な折りは割高になりやすい
- 撮影・取材・原稿作成:素材を自社で用意できるかどうかで、総額が大きく変わる
- 修正回数:見積もりに含まれる修正回数を超えると追加費用になることがある
依頼先は、デザインから印刷まで一括で任せられる制作会社、デザインに強いデザイン事務所やフリーランス、データ入稿を前提にした印刷会社などに分かれます。構成の提案から必要なら制作会社、データを自社で作れるなら印刷会社、と自社で担える範囲から逆算して選ぶのが基本です。ロゴから整える必要がある場合はロゴ制作の費用相場と依頼の流れもあわせて確認してください。見積もりを比べるときは、同じ判型・ページ数・部数・紙・加工の条件で揃えて取ることが大切です。
よくある質問
Q. パンフレットは自分で作れますか?
配布部数が少なく、文字中心の内容であれば、テンプレートを使って自作することも可能です。ただし印刷会社に入稿する場合は、塗り足しやカラーモードなどの入稿ルールを守る必要があります。写真の見せ方や構成が成果を左右する用途なら、構成からプロに相談したほうが手戻りは少なくなります。
Q. 三つ折りと冊子のどちらにすべきですか?
載せる情報が6面に収まるなら三つ折り、それを超えるなら冊子が目安です。三つ折りは持ち帰りやすく単価も抑えやすい一方、情報量に限りがあります。冊子は情報を体系的に見せられますが、ページ数が製本の単位で決まる点に注意が必要です。
Q. 塗り足しを付け忘れるとどうなりますか?
裁断はわずかにずれることがあるため、塗り足しがないと紙の端に白いすき間が出ることがあります。多くの印刷会社では入稿時のデータチェックで指摘されますが、修正のために納期がずれる原因にもなるため、データ作成の最初から塗り足し込みで作るのが安全です。
Q. 印刷部数はどう決めればよいですか?
配布する場面と期間から逆算します。イベントの来場見込み、営業担当者の配布ペース、内容を改訂する予定時期などを踏まえ、使い切れる量にするのが基本です。部数違いで見積もりを取り、単価と在庫リスクのバランスで決めましょう。
まとめ|パンフレットは「形」を先に決めると迷わない
パンフレット制作で迷いやすいのは、デザインよりも前の「形」の部分です。判型と形式(折りか冊子か)を先に決め、折り方や製本方法、紙を選び、入稿データのルールを押さえておけば、デザイン会社や印刷会社とのやり取りもスムーズになります。
- 判型は渡し方・置き方から選び、特別な理由がなければ標準サイズにする
- 6面までなら折りパンフレット、それ以上なら冊子が目安。中綴じは4の倍数
- 巻三つ折り・観音折りは内側に入る面を短く作る
- 紙は実物の見本で確かめ、厚さと折り加工の相性も確認する
- 塗り足し・トンボ・CMYK・解像度・フォントの5点は入稿前に必ず確認する
何を載せるかを整理したい方は会社案内パンフレットの作り方を、依頼先のタイプや著作権も含めて発注全体を確認したい方はグラフィックデザインの依頼ガイドをあわせてご覧ください。
知識を皆に
シェアしよう!

パンフレット制作の進め方|作り方の手順と折り方・製本・紙の選び方、入稿データのチェックリスト
この記事のシェアをする
こちらの記事は
役に立つはずだよ!
編集部のおすすめ記事
新着記事
-

2026.10.09
制作デスクとは?仕事内容・プロダクションマネージャーとの違い・1日の流れと年収レンジ、未経験から目指す手順
-

2026.10.08
会社案内パンフレットの作り方|載せるべき項目・ページ数別の台割とデザイン発注の進め方、準備チェックリスト
-

2026.10.07
コンテンツマーケターとは?仕事内容・Webライターとの違い・1日の流れと年収レンジ、未経験から目指す手順
-

2026.10.07
合同会社とは?わかりやすく解説|株式会社との違いと向き不向き
-

2026.10.06
SNSマーケティングはやめとけと言われる理由|向く商材・向かない商材の見分け方と自社運用・代行の判断基準
-

2026.10.05
オリジナルの箱・化粧箱を作るには|箱の型式5種の違いと、既製品カスタム・フルオーダーの選び分け






















