合同会社とは?わかりやすく解説|株式会社との違いと向き不向き
会社をつくろうと調べはじめると、必ず出てくるのが合同会社という選択肢です。株式会社より安く早くつくれると言われますが、では何を諦めているのか。ここを曖昧にしたまま選ぶと、あとで困ります。
この記事は、合同会社と株式会社の違いを法律で決まっていることに絞って整理します。
合同会社とは?【結論】
- 合同会社は、出資した人全員が有限責任を負う持分会社です(会社法576条4項)
- 出資した人がそのまま経営する形が原則です(会社法590条1項)。所有と経営が分かれている株式会社と、ここが根本的に違います
- 設立の登録免許税が最低6万円。株式会社の最低15万円より安く済みます(登録免許税法17条の2)
- 役員の任期がなく、決算公告の義務もありません
- ただし株式を発行して広く出資を集めることはできません
ひとことで言えば、小さく始めて、自分たちで回し、外部からお金を集める予定がない会社に向いた形です。
合同会社の3つの特徴
① 出資者全員が有限責任
会社法576条4項は、合同会社をつくるとき定款に「社員の全部を有限責任社員とする」旨を記載しなければならないと定めています。
ここでいう「社員」は従業員ではなく出資者のことです。会社法の用語なので、日常語とずれている点に注意してください。
有限責任とは、会社が負債を抱えても出資した金額を超えて責任を負わない、という意味です。同じ持分会社でも、合名会社は全員が無限責任、合資会社は無限責任と有限責任が混ざります。個人の財産まで追及されるリスクを避けたいなら、持分会社の中では合同会社一択になります。
② 出資した人が経営する
会社法590条1項は「社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する」と定めています。つまり出資と経営が一致しているのが原則です。
株式会社では、お金を出す人(株主)と経営する人(取締役)が制度上分かれています。合同会社にはその分離がないので、株主総会も取締役会もありません。決めたいことを、出資した人たちだけで決められる——これが速さの正体です。
③ 任期と公告の負担がない
株式会社の取締役には任期があり、満了のたびに改選と登記が必要です。また決算を公告する義務もあります(会社法440条)。合同会社にはどちらもありません。
数年おきの登記費用と、毎年の公告費用。金額としては大きくなくても、続くかぎり毎回かかるので、小規模な会社では効いてきます。
株式会社との違い
| 項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 出資者の責任 | 全員が有限責任(会社法576条4項) | 株主は有限責任 |
| 経営するのは誰か | 出資者本人が原則(会社法590条1項) | 株主が選んだ取締役 |
| 設立の登録免許税 | 資本金の0.7%。最低6万円 | 資本金の0.7%。最低15万円 |
| 定款の認証 | 不要 | 公証人の認証が必要 |
| 役員の任期 | なし | 取締役は原則2年(非公開会社は定款で最長10年) |
| 決算公告 | 不要 | 必要(会社法440条) |
| 利益の分け方 | 定款で自由に決められる | 原則として持株数に応じる |
| 株式による資金調達 | できない | できる |
| 上場 | できない | できる |
税金の扱いに差はありません。法人税のうえでは合同会社も株式会社も同じ「法人」として扱われます。「合同会社だと節税になる」という説明を見かけたら、それは誤りです。
設立費用はどれだけ違うか
法律で金額が決まっているのは登録免許税です。登録免許税法17条の2は税率を1000分の7(0.7%)とし、下限を株式会社15万円・合同会社6万円と定めています。
| 資本金 | 合同会社の登録免許税 | 株式会社の登録免許税 |
|---|---|---|
| 100万円 | 6万円(0.7%が下限未満のため) | 15万円(同) |
| 1,000万円 | 7万円 | 15万円(0.7%が下限未満のため) |
| 3,000万円 | 21万円 | 21万円 |
資本金が増えれば0.7%のほうが効いてくるので、差がつくのは資本金が小さいうちです。加えて株式会社は定款の認証が必要で、合同会社は不要。この分も合同会社のほうが軽くなります。
※認証手数料や専門家へ支払う報酬は、資本金額や依頼先によって変わります。総額を知りたい場合は、依頼先に見積もりを取って確認してください。
合同会社が向いている場合・向かない場合
| 向いている | 向かない |
|---|---|
| 出資する人と経営する人が同じ | 外部から出資を受ける計画がある |
| 少人数で始めて、意思決定を速くしたい | 将来の上場を視野に入れている |
| 毎年の維持コストを抑えたい | 取引先や採用で会社の種類が問われる業界にいる |
| 利益の分け方を出資比率と変えたい | 株式を使った役職員へのインセンティブを考えている |
判断の軸はひとつです。将来、外の人からお金を集めるか。集める予定がないなら合同会社で十分ですし、集める可能性があるなら最初から株式会社にしておくほうが、あとの手間が少なくて済みます。
なお、合同会社から株式会社へ変更すること自体は可能です(組織変更)。ただし手続きと費用が別途かかるので、「とりあえず合同会社」で始めるかどうかは、その手間を織り込んで決めてください。
合同会社をつくる流れ
株式会社と比べて工程が2つ少ないのが合同会社です。定款の認証が要らず、設立時の役員選任の手続きもありません。
| 順番 | やること | 押さえておく点 |
|---|---|---|
| ① 決める | 商号・本店の所在地・事業の目的・出資する人と金額・事業年度を固める | 商号は同一住所に同じものがないかを確認する。事業の目的は将来やる予定のものも入れておく |
| ② 定款をつくる | 会社の基本ルールを書いた定款を作成する | 公証人の認証は不要。ここが株式会社との大きな差 |
| ③ 出資金を払い込む | 出資する人が、決めた金額を払い込む | 会社法578条により設立の登記をする時までに全額を払い込む必要がある |
| ④ 登記を申請する | 本店の所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請する | 登録免許税は資本金の0.7%、最低6万円。申請した日が会社の成立日になる |
| ⑤ 各所へ届け出る | 税務署・都道府県税事務所・市区町村・年金事務所などへ届け出る | 従業員を雇うなら労働基準監督署とハローワークも必要 |
③の払い込みは、会社の口座がまだ無い状態で行います。出資者の個人口座に振り込み、その通帳の写しを登記に使うのが一般的な流れです。会社の口座は登記が終わってから開設します。
有限会社とはどう違うのか
合同会社は、しばしば「有限会社の後継」と説明されます。実際、2006年5月1日に会社法が施行されて有限会社をつくれなくなったのと入れ替わりに、合同会社という形が新しく用意されました。
| 合同会社 | 有限会社(特例有限会社) | |
|---|---|---|
| 新しく設立できるか | できる | できない |
| 法律上の種類 | 持分会社 | 株式会社 |
| 役員の任期 | なし | なし |
| 決算公告 | 不要 | 不要 |
使い勝手は似ていますが、法律上の分類はまったく別物です。いま残っている有限会社は法律上は株式会社で、商号だけが「有限会社」のまま。この仕組みは 有限会社とは?株式会社との違いと、いま設立できない理由 で詳しく説明しています。
よくある質問
合同会社は信用されないと聞きましたが本当ですか?
会社の種類だけで取引を断られることは、多くの業種では起こりません。相手が見るのは事業の内容と財務状況です。ただし業界や取引先によっては株式会社を求められることがあるので、自分の取引先がどうかを先に確かめるのが確実です。
資本金はいくら必要ですか?
法律上の最低額はありません。1円でも設立できます。ただし資本金は取引先や金融機関が見る数字でもあり、当面の運転資金を賄える額にしておくのが実務的です。
社長は何と名乗りますか?
合同会社に「代表取締役」という役職はありません。法律上の呼び方は代表社員です。名刺やWebサイトで「CEO」「社長」と併記することは自由にできます。
あとから株式会社に変えられますか?
できます。組織変更という手続きで、合同会社から株式会社へ移ることが認められています。ただし総社員の同意・債権者保護の手続き・登記が必要で、最初から株式会社にする場合より手間と費用がかかります。外部からの出資が視野に入っているなら、最初の選択で決めておくほうが結局は安く済みます。
一人でも設立できますか?
できます。出資者が1人だけの合同会社も認められています。その場合、その人が代表社員になります。
決算公告をしなくて本当に問題ないのですか?
問題ありません。決算公告を義務づけている会社法440条は株式会社の規定で、持分会社である合同会社には適用されません。
まとめ
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 合同会社とは | 出資者全員が有限責任を負う持分会社。出資者がそのまま経営する |
| 株式会社との最大の違い | 株式を発行して資金を集められないこと |
| 設立費用の差 | 登録免許税の下限が6万円と15万円。定款認証も合同会社は不要 |
| 税金の差 | なし。法人税の扱いは同じ |
| 選ぶ基準 | 外部から出資を受ける予定があるかどうか |
会社の形は、見栄えではなく毎年かかる手間と、将来お金をどう集めるかで決まります。その2つに答えが出ていれば、選択はほとんど自動的に決まります。
※この記事は一般的な制度の説明です。実際の設立手続きや個別の判断については、司法書士・税理士など専門家にご確認ください。
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